観自在

身辺雑感を気ままに書き込んでいます。日記ではなく、随筆風にと心がけています。気になったら是非メールください!

いろいろな野菜パックがあるものです

2015-01-28 20:02:36 | コラム
 自分で言うのも何ですが、私は料理の腕にはちょっと自信があります。作るのも嫌いではないし、出来たものもたいていは皆がおいしいと食べてくれます。みなさんに喜んでもらえるのがやりがいです。
 現在は一人暮らしなので、ほとんど料理はしません。つまみを買って来て酒を飲むか、食事もたいていは麺類か、出来合いの弁当ですませています。
 昨日、いつものように近くのイオンに寄り、買い物をしていますと、ひらめくものがありました。私の料理は、費用を抑えて、オリジナリティーあふれるものを作ること。昨日は、ムール貝が1パック70円で出ていたところから、ブイヤベースのようなものを作ろうと考え、野菜売り場に行くと、「チーズフォンデュに合う野菜」というパックがありました。カットされた6種類の野菜を真空パックしたものが100円の特価でした。かぼちゃ、カリフラワー、ベビーキャロット、アスパラ、じゃがいもなどが入っていました。さらにベビーキャロット70円のパックを買い、セロリの特価品70円を買い足しました。
 帰宅後、それらを煮込み、家にあった白菜も入れ、味付けはコンソメを入れて煮ました。できあがったスープはいい味が出ていました。ワインを飲んだことは言うまでもありません。白ワインがあれば、スープの味付けに使用して、さらにコクが出たでしょうが、赤ワインだったので飲む専門でした。
 今日は、また趣向を変えようとイオンに寄ると、「アビージョに合う野菜」というパックが50円の特価でした。玉ねぎ、ブロッコリー、ぶなしめじ、パプリカ入りです。早速、昨日のスープに混ぜて煮込みますと、さらに深い味わいになりました。野菜のハーモニーがまろやかで何とも言えません。フランスパンによく合いました。スープとパンだけで十分でした。
 それにしても便利な野菜パックがあるものです。カットしてあるし、洗わなくてもよいし、少量で無駄も出ないので、一人暮らしには最適です。世の奥様方もぜひうまく利用されたらよいと思います。

車の無料点検にご注意を

2015-01-25 21:59:50 | メカ(機械)
 毎月、北関東に出かけるので、これまで、郊外の車用品店で、空き時間を使ってオイル交換をしてきました。今回は、間隔が半年ほど空いてしまいました。最近、リッター21.5キロ走っていたのですが、このところ、21.4キロに落ちて上がらないため、今日、オイル交換を決意しました。
 最近は、日曜日は結構混んでいて、ピット作業はかなりの待ち時間が必要でした。先月は3時間待ちと言われてやめて帰ったこともありました。しかし、今日は、11時頃にカウンターに行くと、すぐできるということでしたので、オイルとエレメントを替えてもらうことにしました。4000円ちょっとだったと思います。点検は無料なので、いつもやってもらっていました。
 30分ほどで作業が終わり、車に乗って帰ろうとすると、ナビに「プログラムがありません」という表示が!! 慌てて引き返し、受付カウンターに行きました。
 車は再びピットに入れられ、数人がかりで調べていましたが、結局、ナビを取り外し、メーカーに修理に出すことになりました。オイル交換しただけなのに、どうしてナビのプログラムに影響が出るのか、キツネにつままれたようでした。1時間以上待たされました。
 「無料点検にご注意を」というタイトルからは、点火剤とか水抜き剤を売り込まれるとか、バッテリーが古いから替えろとか、無用のものを売りつけられるから注意して!といったことを想像した方が多いのではないかと思いますが、さにあらず。お店の方の話によると、バッテリーのチェックの際に、ナビの壊れた可能性もあるということ。無料だからとお願いすると、私のように電装品が壊れるアクシデントがあるということです。
 お店の対応にも納得がいきません。一応、メーカーに送って調べてもらうが、たまたま壊れた可能性もあるので、それならば修理見積もりを出して、費用を請求するというお言葉でした。
 なにぃー⤴ 私は、お店までナビを入れて行ったので、データが飛んでいなければ、最終のナビの履歴は、その店が目的地になっています。少なくても、そこまでは、ナビは壊れていなかった訳で、私が、店に着いてエンジンを切ったとき、あるいは、作業を終えてエンジンをかけたとき、偶然、ナビが壊れたというのでしょうか? これはあり得ない確率だと思います。そんなふうに言うなら、作業員だって、駐車場からピットまで車を運転しています。そのときに壊れた可能性もあるはずです。店で起きた故障については、店が責任を負うべきではないでしょうか? 私には納得できません。
 1週間後くらいに、メーカーから結論が来るとのこと。「店に来たとき偶然壊れた」と言うなら、ちょっと戦おうと思っています。皆さんはどうお考えですか?
 今日は皆様に一言。いくら無料点検だと言われても、バッテリーの電圧を測定してもらうことはやめましょう! 非常に気分の悪い1日でした。チャンチャン♪
 

平原綾香は大菩薩である

2015-01-24 08:06:00 | オーディオ・音楽
 平岡正明氏の著作に『山口百恵は菩薩である』という本がありました。私は読んでいませんし、同時代ながら、それほどのファンでもなかったので、「山口百恵は菩薩である」と言われても、そうかな……という感じでした。
 最近、スピーカーを買い替えたのを機に、過去のCDを聞き直しています。その中で、一番気に入っているのが、平原綾香さんです。先日、NHKのカバーという番組に出演されているのを見て感動しました。司会のリリー・フランキー氏は「包容力」という言葉を繰り返していましたし、夏葉さんに至っては「メロディー」という曲を聴いて、本当に泣いていらっしゃいました。生で聴いたら、きっとそうなるのだろうと思いました。父上がサックスで伴奏されていたので、平原綾香さんもいつも以上に力が入っていたのかもしれません。
 天に向かって訴えるような歌いっぷりは、もう神がかっているというしかないでしょう。かつて、銀座の銀巴里で三輪明宏氏の歌を聴いたときのことを思い出しました。三輪氏は間違いなくカリスマ的存在ですが、もう歌という領域を超えたステージだったと思います。好き嫌いはあるにしても、演劇を見ているような錯覚を覚えました。「濃い」というのは、良くも悪くもあのようなことを言うのだろうと思いました。平原さんにも同じような印象を持ちました。
 私は「平原綾香は大菩薩である」と言いたい。大乗仏教では、人を助けようという気持ちを持って行動する人は、誰でも菩薩になれます。その菩薩の中でも「観音菩薩」「勢至菩薩」「普賢菩薩」など、メジャーな菩薩を特に「大菩薩」と言うようです。平原さんは、大菩薩であると思います。Jポップとか歌謡曲とかいう範疇を飛び出して、多くの人が彼女の歌に癒されているでしょう。同じ時代に生まれてきてよかったと思うのは、小比類巻かおるさんと平原さんです。
 今日放映された「サワコの朝」という番組に徳永英明氏が出演され、最後に話していらっしゃいましたが、東京オリンピックの開会式か閉会式で、平原さんが歌いたいとおっしゃっていると聞きました。もちろん、徳永氏も歌いたいということで、一緒に「ジュピター」を歌おうみたいなノリになっていました。これは是非実現してほしいなあ。世界中に向けてお2人の歌を発信してほしいと切に希望します。
 さて、相変わらず、中古CDしか買わない私ですが、平原さんのベスト盤といえば何でしょうか? ファンの方にぜひご教示を賜れればと思います。ご本人から自薦というのはないでしょうねえ。成りすましはご遠慮ください。でも、それも面白いか!

最高の映画の原作本

2015-01-20 23:29:48 | 読書
『バベットの晩餐会』(イサク・ディーネセン著)

 私はこの作品を映画で見ました。ロードショーで感動したことを覚えています。私が、お気に入りの映画は?と尋ねられたら、おそらくこの映画を挙げるでしょう。静かで、素晴らしい作品でした。今回読んだのは、その原作です。
 ノルウェーの田舎町に住むオールドミスの姉妹、マチーヌとフィリッパは、牧師であった亡き父の遺志を継いで、地域の人たちの信仰を守っていました。そこへ、かつてフィリッパに求婚したことのあるアシーユ・パパンの紹介で、バベットという女性がパリから亡命して来ます。彼女は、家事の一切を引き受け、倹約をし、貧者に美味しい食事を提供します。
 14年後、バベットは宝くじで1万フランを当てます。そして、亡き牧師を偲ぶ会に合わせて晩餐会を開き、料理の腕を振るいます。その会には12名が招待されましたが、その中に、かつてマチーヌに求愛したレーヴェンイェルム将軍がいました。彼は、ただ一人だけ、その夜のディナーの価値に気づきます。それは、若い頃、パリのカフェ・アングレで食べたオリジナル料理と同じだったのです。さらに、コックが女性だったことも思い出します。
 皆はいつもと同じように食べ、ワインや料理を褒める者もいませんでした。しかし、皆幸福な気持ちになり、食後には、仲たがいしていた者同士が仲直りし、将軍とマリーヌと言葉を交わし、素直に好意を伝え合いました。
 姉妹が台所に行って、バベットに感謝を伝えると、バベットは、身の上を明かし、自分は芸術家なのだと宣言します。そして、芸術家は最善を求め、次善には耐えられないというオペラ歌手だったパパンの言葉を紹介します。パパンはかつてフィリッパの歌の才能に感動し、彼女をプロにしたいと申し出、その気持ちをずっと持っていたのでした。
 バベットは、その夜の晩餐会に10万フランをすべて使ったのでした。そこで料理の価値に気づいたのは将軍だけでしたが、皆が、幸福に満たされ、別世界に遊ぶことができたのでした。料理が芸術になると、食べる人の世界を変えるのです。料理の持つ力には、確かにそういう部分があるように思います。
 料理に関わるすべての方に、読んでいただきたい本だと思いました。
 文庫本に入っているもう1つの作品『エーレンガート』は絶筆だそうですが、こちらも美しく幻想的な作品でした。

有元利夫展 天空の音楽

2015-01-18 22:04:19 | 絵画
 高崎市美術館で開催中の「有元利夫展 天空の音楽」を見てきました。有元ファンの私は、わざわざ高崎まで出かけました。高崎市美術館はJR高崎駅下車徒歩3分といった至近距離にあり、交通の便はグッドです。建物は現代的で野心的な建築です。こじんまりとしていますが、そこが親近感をもてる感じで、小品をじっくりと見るには落ち着いていてよいと思います。
 今回は、有元の作品の中でも小さい作品が多く、そういう意味では、とてもよい雰囲気で鑑賞できました。
 12月から始まっていますが、奥様の容子氏によるギャラリートークが実施されてことをインターネットで知り、残念でした。それを知ったのは、すでにイベントの後だったのです。それでも、めげずに今日行って来ましたが、とても満足できる内容だったと思います。奥様の撮影した、在りし日の有元の姿が展示されていて、アトリエの姿を初めて知りました。こんなところで、こんな感じで作品を作っていたのだなと、納得できました。
 今回は「天空の音楽」と銘打っただけのことはあり、音楽にまつわる作品が展示されていました。改めて並べられると、有元と音楽の関係がよくわかって面白く見ることができました。静謐な画面から聴こえてくる音楽は、耳ではなく、目から感じられるという、実に不思議なもので、我々の五感(五官)とはどういうものなのかと、問題提起されたように思いました。そう思うと、有元の絵は哲学的です。
 前回、有元の展覧会を見たのは、東京都庭園美術館だったと思います(宇都宮美術館とどちらが先だったでしょうか)。今回は、小さな絵が多かったですが、粒ぞろいだったと感じます。2月15日まで開催しています。オススメします。

サブノート購入

2015-01-17 21:39:09 | メカ(機械)
 私のパソコン歴はかなりになります。オペレーションシステムがMSーDOSの時代からですから古いです。今はWINDOWSしか知らない世代の方が多いのでしょうね。
 現在はNECのLaVieGを愛用しています。オペレーションシステムはWINDOWS7、CPUはintelのCOREi7です。まだそれほど非力を感じませんので、不満はありませんでしたが、家を離れたとき、職場とか旅行とか帰省の折に、いちいち持って行く気にはなれませんでした。ノートパソコンとはいえ、でかいのです。メインのマシンが壊れたら困るし、やっぱりモバイルがほしいと思っていました。
 昨夜から、一念発起して、ネットで中古パソコンを物色しました。これまで、自分が買ったパソコンはすべてNECで、故障もなく快適だったので、今回もNECにしようと思ったのですが、モバイルではずっと気になっていたパナソニックのレッツノートもいいなと考えているうち、NECのVarsaProノートはやめて、レッツノートに決めました。レッツノートはタフなことをウリにしていて、ちょっとくらい乱暴に扱っても大丈夫な気もしますし、DVDドライブが内臓なのも使い勝手がよさそうでした。バッテリーのもちも良いようです。
 ある通販の店で、メモリとハードディスクを大容量に交換し、使用期間が短いという商品を発見、保証期間が無期限というのも説得力がありました。企業がまとめて売却したもののようで、使用感が少ない点がアピールされていました。実際に映像を見ても、キーボードのテカリなども見えませんでした。
 CF-Y9JWという機種を約3万円で買いました。本当はB5ノートが希望でしたが、1.5キロと軽いし、SXGA+という解像度の高い14インチのディスプレイも価値があると思いました。使用時間が短いというのが本当なら、バッテリーの劣化も少なく、6時間くらいはもつのではないかと期待されました。唯一の弱点はCPUがCore2Duo su9600、1.6Ghzと、現在のスペックからみれば多少非力なこと。WINDOWS7では少し遅いのかなと思います。
 来週には来るので、またレポートしましょう。値段的には、超お買い得というわけではありませんし、2010年製のマシンですから、参考にはならないかな。



スピーカー JBL LS80 続報

2015-01-10 17:09:47 | オーディオ・音楽
 年末にスピーカーを買い替え、JBLLS80を導入しました。中古なので、エージングなんかもいらず、セッティングをきちんとしていないのも、そのままなのですが、毎日聴いているので、また一言言いたくなった次第です。
 何度か聴いているうちに、メリットとして、より強く感じるようになったのは、圧倒的な臨場感です。よくライブ感が優れているのを「スピーカーが見えない」というように言われますが、まさにその通りだと感じることがあります。特に、少しボリュームを上げてやると、バイラジアルホーンの効能もあってか、フレッシュで抜けのいい音がします。たまにジャズのライブハウスに行くことがありますが、そういう感じがよく出る気がします。
 デメリットとして気になるのは、音がドライだということ。これはJBLの音なのでしょうが、艶やかさ、繊細さはあまり出てこない気がします。シャリシャリした音が嫌いな方は、このスピーカーは気に入らないだろうと思います。また、確かに立体的な音なのですが、トールボーイのせいか、ときに線が細いような印象を受けることがあります。
 メリットもデメリットもありますが、コストパフォーマンスを考えれば、よい買い物だったという印象は今も変わりません。しばらく使っていくことになると思います。でも、ハイレゾが評判らしいですね。私はまだよく知らないのですが、これから情報を集めていきたいと思います。買うのはもっと先でしょうが。

宮本輝氏のエッセイ

2015-01-08 19:36:08 | 読書
 先月発売になった新刊『いのちの姿』(宮本輝 集英社)を読みました。
 「あとがき」にもあるように、筆者のエッセイは少ないです。しかし、私は、氏のエッセイを小説よりも高く評価したいと思います。今回も「エッセイというものの滋味深さ」が感じられる14編が収められていて、じーんとさせられました。
 それでは、特に印象に残る3編を。

「人々のつながり」
 パニック障害に悩む筆者が、ラッシュアワーの電車に乗らずにすむように、近所の建築金物を売る会社に勤めた。小説を書く時間がなくなるために、二か月ほどでやめてしまうが、その後も縁は続き、やがて、父上の手記の話が出てくる。そこには、朝鮮の人々に援助されながら、150人の日本人が、海路、38度線を越えて帰国を果たす経緯が書かれていた。筆者は、それを小説に採り込んで「善き人々の連帯」を描くことになる。
 縁は異なもの味なものを実感。


「消滅せず」
 友人の家に転がり込んだ男の話。その男は、中二階の床を張り替え、毎日、無垢に板を焼酎を含ませた布で丹念に磨いた。後年、家を建て替える時に、その木材は高い値段で引き取られ、男はそれを置いて家を出て行ったという。
 歳月と、そこに費やした労力は、消滅しないということを教えられる。


「土佐堀川からドナウ河へ」
 小説の取材でブルガリアへ向かった筆者だが、ある地点で公共交通機関がなくなってしまった。遠回りしていくしかないとバスに乗ることを促す同行者に対して、筆者は、必ず援助してくれる人が現れると確信して、その場にとどまる。やがて、一人の青年が車で送ることを申し出て200ドルという値段交渉が成立する。しかし、途中で追いはぎに変身する危険は否めない。それでも、筆者には大丈夫だという確信がある。根拠のない確信ではあったが。
 最後に筆者はこう記している。「目に見えないものを確信することによって現実に生じる現象というものを、私は信じられるようになっていたのだ」
 私はまだそれを信じることはできない。

それでも前へ進む

2015-01-07 20:25:59 | 読書
 新刊を読むことはほとんどない私ですが、発売されたばかりの『それでも前へ進む』(伊集院静 講談社)を読みました。
 これはJRが出していて、新幹線に乗ると座席のポケットに入っている「トランヴェール」という雑誌に、氏が連載していたエッセイをまとめたものです。第一部の「車窓にうつる記憶」がそれで、今回は、特に第二部として、東日本大震災に寄せた「それでも前へ進む」を加えて出版されたようです。
 旅がテーマになっていることは間違いありませんが、季節の移ろい、花、幼少の頃の思い出など、氏のエッセイに共通する世界が描かれていて好感が持てます。氏は、これまでのエッセイの中では「夏目雅子」の名前はずっと出さずにこられたように思いますが、この本では前妻の名前として記されていたので驚きました。ちなみに、「家人」が「篠ひろこ」さんであることも編集者注として出ていました。伊集院氏の中で、気持ちの整理がつけられたのだろうと思いました。
 読んでいて、これほど心が落ち着き、人と人との出会いが人生のすべてなのだと教えられる本はありません。「元旦の空」と題したエッセイもありますので、お正月気分の抜けないうちに、1年の計を考えるためにも、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 今年は、私もまた石巻へ行ってお金を落としてきたいと思っています。




詩を書くということ

2015-01-07 19:06:42 | 読書
 谷川俊太郎氏は現役としては日本で最も有名な詩人ではないでしょうか。かなり高齢にも関わらず、ますますお元気でご活躍です。
 谷川氏の本で『詩を書くということ~日常と宇宙と』(PHP研究所)を読みました。この本は2010年にBSハイビジョンで放送された「100年インタビュー」という番組をもとにして書籍化したものです。本でも、途中、ご自身で詩の朗読をされていたり、中島みゆき氏の質問に答えていたり、小室等氏との対談が挟まっていたりしていて、なかなか面白い番組だったことがわかります。番組をテレビで見られずに残念でした。
 全体が、司会者の質問に谷川氏が答える形で進行していますが、私が最も印象に残ったのは「僕は割と最初から言葉を信用していなくて」という発言でした。詩人たる者、言葉が生業という気がしますが、だからこそ、強くお感じになることでしょう。
 私自身、自分の真意を言葉にしようとすればするほど、言葉に裏切られ、もどかしさが募ったり、誤解を受けたりしました。こうしてブログを書いていても、自分が本当に書きたいことは、なかなか言葉にできず、むしろ、違うことを書いていると感じることもあります。人は言葉によってコミュニケートするわけですが、それには限界があるということをよく知っておくべきです。
 谷川さんの詩はやっぱりいいなと感じる1冊です。


カズオ・イシグロを読む

2015-01-07 19:02:52 | 読書
 年末から年始にかけて、休暇も利用して3冊の本を読みました。
 まず、カズオ・イシグロの『遠い山なみの光』(小野寺健訳 早川書房)。これは、王立文学賞受賞作『A Pale View of Hills』(1982)の邦訳です。
 私は以前、映画で「日の名残り」を見て感動し、原作を読みました。これは英国最高の文学賞であるブッカー賞を受賞した作品で、貴族の執事が過去を振り返る内容で、重厚で素晴らしい作品でした。二度と戻れない過去の輝きに胸が痛んだことを記憶しています。それから、カズオ・イシグロがずっと気になっていました。今回は出世作となった初期の作品を読みました。
 英国に住む一人の日本人女性が、娘の死を乗り越えていこうとする姿と、浮気な米兵に夢を託し、アメリカへ旅立とうとする女友達の姿を対比させながら、かすかな希望に向かって生きようとする女性の姿を描いています。人間が感じる日常の不安を実に丁寧に描いていると感じました。
 私は『日の名残り』と『遠い山なみの光』を読んで、カズオ・イシグロをリアリズムの作家だと思いますが、実は、2005年に世界的なベストセラーとなった『わたしを離さないで』などはだいぶ趣が違うようです。次回は、そんな別な面が感じられる作品を読みたいと思います。幼いころに日本を離れ、日本語を解さないカズオ・イシグロの存在は、日本文学を考える上で特異な存在です。
 

ヘンネコ

2015-01-05 15:27:05 | コラム

 正月に帰省しました。現在、実家には猫が5匹います。3匹はクロネコ、2匹はアカトラです。
 クロネコの1匹の写真をアップします。私はネコ好きでいろいろなネコを見てきましたが、こんなネコは初めて見ました。顔全体がつぶれているような感じで、出っ歯です。目つきも尋常ではなく、いつも鼻を詰まらせてガーガー言っています。どうみても利口そうには見えません。初め見たときには驚きました。
 こんなネコ、見たことありますか?