『面白可笑しくこの世を渡れ』 遠藤周作
「悪戯のすすめ」「運命を知る知恵」「古女房とは女の形をした男」「とてもいい話」「年寄りの昔がたり」の5章から構成されています。
私が中学校時代に読みふけった「狐狸庵先生」の「ぐうたらシリーズ」から転載されたものが多く、久しぶりに懐かしく読みました。ユーモアとペーソスといいますが、面白くてちょっと哀しい内容は、狐狸庵先生(遠藤周作氏が面白おかしいエッセイを書く際のペンネーム?)の面目躍如というところでしょうか。おどけた内容は若い皆さんが読んでも面白いと思います。
グッと来たフレーズを紹介します。狐狸庵先生は、老年について次のように述べていました。
「その一つ一つが何の関連もなく起こったかのようにみえた昔の出来事や体験も、今、ふりかえるとそれぞれにひそかなつながりのあったことがわかってくる」
私も老年に達して、そんなことを漠然と感じていたので、納得できました。
「ぐうたらシリーズ」は今読んでも実にくだらない内容で、筆者を楽しませようとする狐狸庵先生のサービス精神が痛々しいほどです。「男と女の生きる道」では全編猫語で書かれるなど、今、読んでみると、しっくりきません。しかし、誰もいない北杜夫氏の別荘を訪ねて一人過去を回想する「女房に見せない顔」、近所に住む若い女性とのほのかな交流を描いた「窓からの情景」、愛犬との別れを描いた「別離」などは、しみじみと心に深く響くエッセイで、改めて遠藤周作という作家の力量を感じました。
「悪戯のすすめ」「運命を知る知恵」「古女房とは女の形をした男」「とてもいい話」「年寄りの昔がたり」の5章から構成されています。
私が中学校時代に読みふけった「狐狸庵先生」の「ぐうたらシリーズ」から転載されたものが多く、久しぶりに懐かしく読みました。ユーモアとペーソスといいますが、面白くてちょっと哀しい内容は、狐狸庵先生(遠藤周作氏が面白おかしいエッセイを書く際のペンネーム?)の面目躍如というところでしょうか。おどけた内容は若い皆さんが読んでも面白いと思います。
グッと来たフレーズを紹介します。狐狸庵先生は、老年について次のように述べていました。
「その一つ一つが何の関連もなく起こったかのようにみえた昔の出来事や体験も、今、ふりかえるとそれぞれにひそかなつながりのあったことがわかってくる」
私も老年に達して、そんなことを漠然と感じていたので、納得できました。
「ぐうたらシリーズ」は今読んでも実にくだらない内容で、筆者を楽しませようとする狐狸庵先生のサービス精神が痛々しいほどです。「男と女の生きる道」では全編猫語で書かれるなど、今、読んでみると、しっくりきません。しかし、誰もいない北杜夫氏の別荘を訪ねて一人過去を回想する「女房に見せない顔」、近所に住む若い女性とのほのかな交流を描いた「窓からの情景」、愛犬との別れを描いた「別離」などは、しみじみと心に深く響くエッセイで、改めて遠藤周作という作家の力量を感じました。