ジャクソン・ブラウンのニューアルバム「Standing in the breach」
いいアルバムだ。
晩秋、初冬の11/15土曜日、
ジャクソン・ブラウンが6年ぶりにリリースしたアルバムを聴きながら、
きらめく海面を横目に西湘バイパスを通り、
紅葉色づく朝もやの箱根新道を抜け、
東名高速を時速95キロにクルーズセットし、
ゆったり大人しく御前崎方面に向かう。
70、80年代に聴いた素晴らしい音楽について、
知っている限りそのアーティストは絶対リタイアすることはない。
僕が50歳を過ぎても、Jackson Browneの名で新曲を届けてくれる。
今シーズンも、懲りることなく、飽きることなく、挫けることなく、また強風の地へ向かっている。
車から見える景色は快晴で空気も澄んでいてとても気持ちが良い。
一方、外の景色と僕の気持ちは相反する。
これから強風でウエーブライドするんだという緊張感で手のひらが少し汗ばみ、
革のステアリングが不要にもしっとりする。
ジャクソン・ブラウンはそのギャップを埋めるように適度なボリュームでスピーカーを鳴らす。
少しばかり無理をし続け若いつもりでいる男にはとてもナイスなウエーブトリップミュージックである。
2時間半ドライブし、千浜に着いた。
満車になりつつある駐車場にいる人たちの8割以上は知っている顔である。
みんなお互い知っているので和気藹々な雰囲気。
でも客観的にみると非常に独特な雰囲気。
みんな穏やかな顔をしているが、
その隙間から、これから向かう強風コンディションに緊張感も伝わってくる。
ウエーブライダーが集まる駐車場はいつも一種異様なベールに包まれる。
ビーチに出るため砂丘を超える。
道具を抱えてるし、砂に足が埋まり意外に疲れる。
ビーチには犬と散歩する人はいない。
手をつなぐカップルもいない。
グループ交際ではしゃぐ大学生もいない。
サーファーもいないし、フラダンサーもいない。
何もない。
風と波と水面を走るセイルしかない。
とても無機質で殺風景。 でも熱いね。ここは。
風は4.0~4.5。
波は小さい。 腹。
まだ11月半ばなので海水も風もまだ温かい。
やはり気温が高いうちは冬型の気圧配置であっても風が安定しないのだろうか、
風の強弱に翻弄され充足感に満ちるものではなかった。
なかなか掘れたブレイクが回ってこなかった。
だから板を返しても失速してしまう人が多く、
中にはリップするたびに停止する人もいたよ。
これはサーフィンではない。
FINを蹴っただけで、レイルが使われていない。
FINで飛ばすスプレーと、レイルで飛ばすスプレーは質が違う。
レイルで飛ばすとカーテンのような綺麗な水の壁ができる。
ブレイクしないのなら浅いダウンザラインの方がサーフィンライクに遊べる。
あとはこういうコンディションのときこそバックサイドにトライだね。
バックサイドだよ。
まあ、トライしようと思うのはこうやって反省するときだけどね。
セイルサイズは3.9。
ボードを76Lと69Lチェンジしながら乗ったよ。
セイルはたぶん4.2が正解だったね。
17時には周囲は真っ暗になり、気が付けばみんな帰路に着いたようだ。
駐車場には自分の車を含め3台しか残っていなかった。
道具を片付けシートに座り、朝コンビニで買ったパスタを食う。
冷たくなったパスタをむせながら口に運ぶ。
日中何も食べてなかったんだ。
口の周りがケチャップだらけで、鏡を見たら顔中潮だらけだったし、目は疲れていて、
だから人食い変態猟奇殺人者みたいに見えた。
でも、冷たくて恐ろしく不味いパスタだったけど、
でも心は本当に美味しいパスタだ!って言ってたよ。
やっぱりそれなりに乗ってたんだな。