夕方、畑に居ると住宅の1階の女性が「大変!こわい、ちょとと来て」と私を迎えにきた。
何か?と言って見ると、住宅と植え込みの間の雑草の上に、大きな黒いトランクが投げてあった。
海外旅行なら2週間分位はゆうに入りそうに大きなトランク。
普通なら、捨てたのかと思うけど、今時は考えられない事件が起きるだけに、事件を疑っても不思議じゃない。
集まって来た主婦達も夕餉の支度も放り出して見ているだけ。
私だって怖がりだし・・・・だけど見ているだけではらちが明かない。
いつもはべちゃべちゃ長い時間お喋りしている主婦も、「警察に電話したら?」と言うと
「怖くて電話出来ない」と言う。
じゃ何時までも解決しないじゃないのと仕方なく電話機を借りて110番をする事にした。
住所、名前、目的を告げると「10分で伺います」と言うので待つ事にした。
まあ自分の住んでいる住宅の敷地内だから、無視するわけにはいかないし・・・・
人間一人入りそうな大きさだから紛らわしい。もしそうだとしても警察に届ければ
何かの手がかりが有るかもしれないし。
交番から先ず一人だけ自転車でお巡りさんが来て、事情を聴き第一発見者(一階の主婦)に
何処を触ったか等聞いている。
その後パトカーが来て、3人の警察官が写真を撮ったりしながら、トランクをそーっと開けた。

何と、路上生活者の、生活用具一式が入っていたのだ。みんな腰が抜けそうに安堵した。
緊張感がすっかり取れて、警察官も書類を作り、そのトランクを引き上げて行った。
全くお騒がせのトランク。実際大人一人が入ってしまいそうな大きさなので皆を不安にさせた。
何の事件が有っても不思議でないこの時代、全く人騒がせな事だった。だけど事件でなくて
何よりホッとした。