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壬生義士伝(ビデオ)

2004-03-19 22:18:00 | 香港映画 (57)
miburo

監督 滝田洋二郎
出演 吉村貫一郎・ 中井貴一  
大野次郎右衛門・ 三宅裕司  
    沖田総司・堺雅人 土方歳三・野村祐人 
    斎藤一・佐藤浩市 ぬい・中谷美紀 
       2003年
幕末に咲いたあだ花・死に急ぎの集団「新選組」
斎藤一(佐藤浩市)はそう世の中を醒めた目で見ている。「切ってくれるヤツがいないから生きているだけだ」
吉村貫一郎は、大切な妻のしづと子供たちと暮らす家族想いの心優しい南部盛岡藩の下級武士であった。
「ぜにこがなげれば、おめたちに冬を越させることができね」貫一郎は、当時は亡命にも等しい「脱藩」を決意する。
(家族のために)死ぬ訳にはいがね。だから貫一郎は”ぜにこ”のために人を切る。「申し訳ねがんす・・・」

新選組に貰った初給金を押し頂き、国元に残した家族に送金に走る貫一郎。大げさで可笑しいけどホロリとします。
貫一郎は尊王攘夷側に誘われるが、これを断る。「わだすは一度主を裏切った身、二度は裏切れねのす」
彼は”義”のために最後まで新選組の隊士として戦う、両刀を抜き官軍に独りで突っ込む貫一郎が凄いです。
義・・・とは何だろうと思う。恩義、正義、忠義、大義。

中井貴一は少し地味ではないかと思ったのだが、期待以上に素晴らしかった。
佐藤浩市は、世の中を斜に見る不敵な様子がカッコよく、画面が締まる。
新選組は無残に敗退し貫一郎が皆に最後の握り飯を配る。それを食べた斎藤一は、貫一郎が食べていないと知るとつかみ掛かる。
「俺は最後の飯をくらったのか。たかが薄汚い同じ人間にすぎぬお前がどうして他人の腹を気にかける!」(貫一郎・この男はまことの武士だ・・・)この場面が好きです。
幼馴染の大野次郎右衛門(三宅祐司、善良な地方家老役が上手いです)は切腹せよと貫一郎に命じるが、自分の手で握り飯を作ってやる。この場面も心に残ります。

「たそがれ清兵衛」の小林稔侍がキラリと光ったように、日本の俳優も良い映画では別人のような芝居をするのですね。
大野次郎右衛門は、貫一郎を一人にする。武士の情けで切腹には介錯が必要な筈なのに。
大野は、密かに彼が逃げることを願っていたのではないのかな。
斎藤は貫一郎によって人間らしさを取り戻したのだと思う。
そうして皮肉にも生き延びた斎藤と、ある人物との回想で物語は告げられ退屈しない演出になっている。
ラストシーンはある事実によって暖かい余韻が残った・・・

貫一郎は故郷の藩校で子供達に教えた。
南部の桜は石を割って咲ぐ。おめさまがたも天下の先がけとなって花っこさがせてみろ。

以前、テレビで放送された渡辺謙さんの『壬生義士伝』もまた良かったです。
wata








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