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ぼんくら

2005-08-27 17:16:21 | 本と雑誌
宮部みゆきさんの「ぼんくら」を読んだ。

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>>江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。

宮部さんの時代劇物を初めて読んだけど、
文句なしに面白かった!

まず、殺人事件が起こってハッとする。
そして、同心・井筒平四郎が登場すると、俄然話は面白くなって一気に読めてしまった。

時代物は少しくらいお話が荒唐無稽でも違和感がないので面白いと思う。
江戸は八丁堀の気のいい長屋の連中がのまるで落語の世界のような人情話。

世情に通じた、”適度にいい加減な男”が必要と見た与力の命で、馬があくびをしたような平四郎は同心となる。
小賢しい若者など目まぐるしい。
適度にいい加減・・これが題名の由来のようだ。
万事に無頓着でめんどくさがりの平四郎だが、情に篤く、人の道に外れることは嫌いである。

宮部さんの人間を観察する目と人を見る目の温かさを感じる。
物語に出てくる人物が生き生きと描かれて読んでいて楽しい。。
根っからの極悪人はほとんど出てこない。

長屋の若い差配人、真面目な佐助や、住人、鉄瓶長屋の肝っ玉、良心、お徳。
お徳とは間逆の生き方だが、いいコンビのおくめ。
ひどい近眼が玉に瑕の、大店の美人お嬢さん(笑)、みすず。
それから、子供たちが実にかわいい。

佐助が育てる孤児の純真無垢な長助、コンピューター並みの記憶力を持つ”おでこ”、何でも測らないと気のすまぬ狐が化けたか、人形のように綺麗な弓之助。

中でも、おでこがなんとも可愛らしい。
記憶の糸をたぐり寄せる時は黒目がアチコチ、上に寄ってしまう。爆
途中で話を遮ると、頭っから巻き戻してじゃべり直さないといけないのがおかしい。
ビデオテープの再生みたい;

頭脳明晰、平四郎も真っ青の弓之助は自他共に許す器量よし。笑
上等の生菓子みたいで、平四郎曰く、中身に白餡が詰まってそう。
さしずめ、平四郎んちの養子になれば、あんこの助か井筒屋の白餡だな。 あはは

>>それでも、お徳は泣き止んだ。
お徳のような人間はいつも必ず泣き止むのだ。
そういうたくましい女性はいるよねえ。ちょっと切ない。

平四郎はその人徳のお陰で子供たちや本職の岡引の親分、その手下に助けられ事件を解決してゆく。
岡引っていうのは元々悪行を犯してなる者たちがほとんどだとは知らなかった。
はてさて、その事件のなりゆきは、謎解きは。。

以下、結末に触れています。
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事件の元はと言えば男を挟んでの女同士の遺恨、痴情のもつれ。
罪もない者まで巻き込んでの大芝居。なんというハタ迷惑;

湊屋の内儀、おふじもおふじなら、葵も葵であった。
ケロッと長屋を見物に来たりして哀れな息子、佐吉のことなんか忘れたのだろうか。

平四郎にはまた出会いたいものだ、そんな愛着も湧いてくる。

柿食えば どこの犬の骨   字足らず^^