減税でも弱者は冷遇される?
先ごろメディアは「名古屋の庶民革命」を報道した。本当に「庶民革命」か?
名古屋市の河村たかし市長が目指していた市民税の5%減税案が、市議会で可決、成立しました。減税は来年度から実施されます。 名古屋市・河村たかし市長:「日本で一番初めに(恒久的減税を)スタートさせることができた。名古屋にとって輝かしい、歴史的な日になった」
http://www.nicozon.net/watch/sm16496569
まずどのように報道されたか、全国紙を中心に見てみよう!
22日の臨時市議会本会議で、市長率いる「減税日本」や自民、公明、民主の賛成多数で可決、成立した。(共同)
http://www.47news.jp/news/photonews/2011/12/post_20111223021401.php
22日、臨時市議会本会議で、市長率いる「減税日本」などの賛成多数で可決、成立した。「東京」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011122201001562.html
22日の臨時市議会本会議で、市長率いる「減税日本」や自民、公明、民主の賛成多数で可決、成立した。「産経」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111222/lcl11122222540003-n1.htm
22日の臨時会で、2012年度から市民税を一律5%減税する条例案を賛成多数で可決、成立した。市民が実際に納める税率は6%から5.7%になる。市の試算によると、会社員で年収500万円の夫婦と子供2人世帯で、年間5800円の減税。減税による同市の市民税の減収額は、13年度以降で年間約110億円となる見込み。市は行財政改革や財政調整基金の一部取り崩しで財源を捻出するとしている。「日経」
http://www.nikkei.com/news/local/article/g
同条例案には、市長率いる「減税日本」と公明が既に賛成する方針を示しており、22日の本会議で過半数で可決される見通しだ。 一方、共産は「定率減税では金持ちが優遇される」として既に反対の方針を決定。自民、民主は22日、団会議を開き、意思決定する。「読売」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111222-OYT1T00181.htm
22日夜、開かれ、河村たかし市長が提案した市民税5%恒久減税条例案がチェック機能を強化した内容に修正され、減税日本、自民、公明、民主4会派による賛成多数で可決された。
自民は来年度からの減税実施に一貫して反対してきたが、修正案作成を主導した自民市議団の横井利明団長は委員会での採決後、記者団に「条例案が(減税日本、公明の賛成で)可決の見通しとなり、反対するよりも積極的にチェックできる仕組みをつくる方が有意義と判断した」と述べた。
議会内で自民と協調してきた民主に加え、減税日本も議会との融和を優先した河村市長が了承したため、自民案への賛成を決めた。市長案に賛意を表明していた公明も最終的に同調した。
5%恒久減税条例は来年4月1日に施行される。全国の自治体で初めて、個人と法人の市民税がともに恒久減税される。河村市長は本会議後の記者会見で「(可決まで)100年ぐらいかかった気がする。市民の皆さんに感謝したい」と喜びを語った。「中日」
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011122390101901.html
22日、名古屋市議会本会議で可決、成立した。共産党を除く減税日本、自民、公明、民主各党が賛成した。市の試算では、5%減税の減税額は、夫婦と子ども2人の世帯で、年間減税額は年収500万円で5800円、1千万円で1万7500円となる。「朝日」
http://www.asahi.com/politics/update/1222/NGY201112220026.html
22日午後の本会議(75人)で採決され、減税日本(28人)と公明(12人)の賛成で可決される見通し。自民、民主両市議団は同日午前、団総会で賛否を決める。「毎日」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111222k0000m010107000c.html
「庶民」と高額所得者の「減税」恩恵はどうなっているか、明瞭だ。
だが、こうした「事実」を各社はきっちり報道しているだろうか?
反対した共産党に対する報道は全くない。これでは政党の違いが判らないのではないか?
国民の「選択」を誤った方向に誘導していないだろうか?
そこで共産党について調べてみた。こんな記事があった!
5%減税 市民不在の「談合政治」で決めていいのか
年金250万円の夫婦の減税額1800円
市民税5%減税で1万円以上減税になる人は、年収700万円以上の世帯で、納税義務者の2割程度にすぎません。均等割のみの納税者(約5万人)の減税額は200円。庶民の減税額はますます“ちょっぴり”です。もちろん非課税者には何の恩恵もありません。一方、減税額トップの人は500万円の減税になります。
法人市民税の場合も、トップの大企業は1億円を超える減税になる一方で、赤字の中小企業は2500円しか減税になりません。 河村「減税」は、「大企業・大金持ち減税」であり、庶民減税ではありません。
http://taguti.way-nifty.com/blog/2011/12/post-512c.html
「福祉解体減税だ」山口清明名古屋市議が反対討論 11月名古屋市議会
一律減税は10%でも7%でも「大企業と金持ち優遇」で庶民支援にはなりません。減税額トップの人は1035万円、トップの大企業は2億2900万円なのに、納税者の過半数は1万円以下、赤字の中小企業はわずか5000円の減税です。
河村「減税」のもう一つの目的は、減税でわざと歳入不足をつくり、「行革」の名で福祉や暮らしを削る。そのために「事業仕分け」を行いました。
減税のための「仕分け」で敬老パスが改悪され、高年大学鯱城学園や女性会館などが廃止されたらたまらないと、市民の批判が広がっています。財源のメドが立たない中で減税を強行すれば、市民生活を削らざるを得ない。これでは「公的福祉解体減税」です。
巨額の内部留保をため込む大企業や高額所得者に減税しても、景気はよくならない。国政で経験ずみです。市長の減税では地域経済の主役である中小企業は救われず、経済の活性化も図れません。
地域経済を発展させるには、庶民の懐を直接あたためる施策こそ必要です。
減税を断念し、浮いたお金を、介護保険料や国保料、保育料引き下げなど、そして何より防災対策に振り向けるべきです。安心・安全のまちづくりでこそ、大勢の人々が名古屋に住み、商売したいと考えるでしょう。
http://aichi.kyodo-net.jp/minpou/111217-095802.html
「朝日」は「河村流減税―市民が責任負う覚悟を」と「社説」まで出して、以下のように論じています。
河村流が首長と議会の関係、大都市制度のあり方にも一石を投じたのは確かだが、その成り行きはまだ見えない。いま、大震災のための復興増税が決まり、さらに消費増税の議論が具体化しつつある。そんななか、名古屋市ではすったもんだの末に減税が決まった。市長が強調した減税による経済効果は、本当にあるのか。歳出削減が公的サービスの質的低下を招かないか。議会と約束したとおり、定率減税の恩恵を受けられない低所得層への対応策を充実できるのか。
こうした減税の是非、影響と効果を検証するのは、「庶民革命」を唱える河村市長や、条例を通した市議会だけの仕事ではない。「減税」を選んだ市民自身が、その責任を負う覚悟で見届けていく必要がある。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2
さて、実際に減税された時に、「庶民」のなかにどのような反応が出てくるか!?
また「『減税』を選んだ市民自身が、その責任を負う覚悟」を言う前に、「朝日」は「庶民革命」を煽り、持ち上げ「選ばせた」責任をどう自覚するか、しっかり見届けていきたい。
予防線をはっていることにも注目というか、ズルさもしっかり覚えておきたい!
昨日のコメントは24日付でした。
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