中国共産党の腐敗問題を論ずる場合の視点とは何か!
新潟日報、茨城新聞、南日本新聞、山陰中央日報が、中国の腐敗「重大な規律違反」問題について社説を書きましたので、検証してみることにしました。視点は日本の「一強他弱」国会と比べてみると、どうなんだろう?ということです。
1.周永康氏のような人物が日本の政界にいたら、日本のマスコミはどのように評価するでしょうか?
2.日本では、これほどの汚職でこれほどの大なたが振るわれたことはあるでしょうか?また都議会のヤジ議員は自民党を離党しただけでしたが、中国のように厳しくしてない方が問題ではないのでしょうか?これらの社説に共通する認識では、厳しくする方が問題であるかのような言い方になっていないでしょうか?
3.習氏は就任後「虎もハエもたたく」として、地位に関わりなく汚職を取り締まる方針を掲げて反腐敗闘争を推進しているとの認識ですが、同時に、反腐敗に名を借りた権力抗争で権力基盤を強固にするということですが、田中金脈・小沢金権問題などは、政権内部の権力闘争ではないのでしょうか?
4.万人にとって公平な「法治」を新たな政治システムの基礎として確立することが急務なのは当然ですが、また「党の特権を認めない「法の下の平等」を保障する政治改革が不可欠」などと言ってますが、日本の一票の格差によって誕生した安倍政権はどうするのですか?
5.「中国のような一党独裁国家では権力と経済界の癒着が横行する」とは驚きです。日本ではそういうことはないという認識なんですが、全く違っています。「原発メーカーと軍需産業と政界の癒着、安倍首相の外遊に同行する経済界との癒着はないと断言できるのでしょうか?
6.一党独裁を変える「政治改革」には「一貫して消極的」で、「少数民族との対立も深刻さを増すばかり」「習指導部は汚職の取り締まりだけでなく、民主化運動や少数民族運動への弾圧など政治的締め付けを強めている」習近平政権と「経済や民間交流に力を尽くしてほしい」ということは矛盾していないでしょうか?
以上、まとめてみましたが、明らかに矛盾していませんか?何故このような矛盾に満ちた社説を書いているのでしょうか?しかも他国の内部問題です。本来であれば、自国の問題点について、もっと掘り下げた社説をかくべきではないでしょうか?
1.政治腐敗は徹底して追求すべきだ。政治献金、政党交付金、パーティー券などはどうするのでしょうか?適法適正ということでしょうか?
2.政界と経済界の癒着は、徹底して追求すべきだ。大企業の内部留保や法人減税など、財界よりの成長戦略政治は正さなくて良いのでしょうか?
3、国民の思想信条の自由、平等の原則は守るべきだ。特定秘密保護法や一票の格差は放置して良いのでしょうか?
4.少数民族などの人権は保障されるべきだ。ヘイトスピーチ、在日朝鮮人・韓国人の人権はどうでしょうか?とりわけ朝鮮人学校への支援はどうでしょうか?「制裁」として認められるのでしょうか?
以上まとめてみました。愛国者の邪論としては、日本のマスコミが中国・北朝鮮・韓国の政治について、7系統的に、ある意味敵意をもって報道していることに、違和感を持ています。その理由は、以下のとおりです。
他の国家の政権においても、同様の人権と民主主義の問題は、何らかの形で存在しているのではないでしょうか?しかし、それらの政権の問題点が、中国・北朝鮮・韓国のように系統的に追及されることがあるでしょうか?
反腐敗に名を借りて実力者である周氏を排除したという側面ということまで?!
中国政権が日本の政治運営に容喙してきたら、どう評価するでしょうか?
侵略戦争のシンボルである靖国神社参拝についてはどうでしょうか?
新潟日報 周永康氏摘発 反腐敗に名を借りた抗争 2014/8/1 10:05
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20140801126767.html
反腐敗を徹底するための摘発だろうが、背景には激しい権力闘争があることを物語る事件だ。
中国の習近平指導部が、党政治局常務委員だった周永康氏を「重大な規律違反」の疑いで立件することを決めた。汚職絡みでの摘発であることは間違いない。周氏が政変、軍事クーデターを企てたという情報も流れている。由々しきことだ。周氏は胡錦濤前指導部で治安・司法部門のトップを務めた。政治局常務委員といえば、党の最高幹部のメンバーである。引退後も公安部門に影響力を残していた。中国共産党では指導部の団結を図るために、常務委員経験者を調査することはタブーとされていた。今回は異例の事態だ。「石油閥」と呼ばれるグループの有力者だった周氏の後ろ盾になったのは江沢民元国家主席で、最高幹部に引き上げられたという。習指導部は周氏の側近だった人物を汚職の疑惑で調査しており、周氏の息子が「違法経営」の疑いで逮捕されることが決まったことも報じられている。当局は、周氏本人や親族などから日本円で1兆円を超す資産を押収したという報道もある。石油利権にメスが入ったといえよう。周氏が前妻を交通事故に見せかけて殺害したとの情報も出ている。このようなことが事実ならば、驚くほかない。
政変を図った疑いでは、薄熙来・元重慶市党委員会書記と周氏との深い関係が指摘されている。薄元書記は収賄罪などで無期懲役が確定している。今回の摘発は、やはり習氏が自らの権力基盤を確固たるものにするために、反腐敗に名を借りて実力者である周氏を排除したという側面が否めない。
官僚の汚職が横行していることに大衆は反発している。反腐敗の姿勢を強調すれば、強い支持を得られるだろう。だが、周氏を摘発した反腐敗闘争の実情は「極めて恣意的」であり、偏ったやり方だと疑問視する声も出ている。こうした抗争が新たな抗争を生んで拡大していけば、政治問題化し、指導部の権力が強まるどころか、党の信頼は低下していくことが危惧されよう。
習氏は一党独裁を変える「政治改革」には一貫して消極的だ。しかし、その一党独裁が腐敗の温床になっているともいえる。少数民族との対立も深刻さを増すばかりだ。新疆ウイグル自治区では武装グループの暴動で、住民らに多くの死傷者が出た。
日中関係は冷え込んでいるが、折しも広東省深圳市で「全中国新潟県人会」の交流会が開かれた。政治や外交問題があっても、それを超えて経済や民間交流に力を尽くしてほしい。習指導部には、民生の安定と対日関係の改善が求められるのは言うまでもない。大国の改革の行方を世界が注視している。(引用ここまで)
茨城新聞 中国元最高幹部摘発/法治の確立が急務だ 2014/8/1 4:05
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&
中国共産党は胡錦濤前指導部の中枢、党政治局常務委員会メンバー(党内序列9位)であり、「党中央政法委員会書記」として治安・司法部門のトップだった周永康氏(71)を「重大な規律違反」の疑いで調査することを決めた。習近平指導部が推進する反腐敗闘争の一環とみられるが、元最高幹部の摘発は極めて異例であり、中国指導部内で権力闘争が激化する恐れも指摘される。混乱を回避するには、習国家主席が強権と恣意(しい)による「人治」ではなく、万人にとって公平な「法治」を新たな政治システムの基礎として確立することが急務だ。
習氏は就任後「虎もハエもたたく」として、地位に関わりなく汚職を取り締まる方針を掲げて反腐敗闘争を推進。昨年は前年より約2万人多い約18万2千人を処分した。巨悪としては、少なくとも36人の閣僚級幹部を摘発した。胡指導部の政治局員だった薄熙来・元重慶市党委書記は昨年9月、収賄と横領などで無期懲役の判決を言い渡された。今年6月末には、元政治局員で軍の最高指導機関、中央軍事委員会の徐才厚・元副主席が党籍をはく奪され、収賄容疑で検察当局に送られた。
党員数約8600万人の中国共産党は、ピラミッド状の権力構造を持ち、上から政治局常務委、政治局、中央委員会約200人、党大会代表約3千人と続く。周氏摘発により、習氏は前指導部の政治局員25人(うち常務委員9人)の中の3人を切ることになる。最高指導部の元メンバーに対し、汚職でこれほどの大なたが振るわれたのは、1949年の中国建国後初めてだ。特に政治局常務委員は退任後も訴追されない特権を持つといわれていただけに周氏摘発は国内に大きな波紋を広げた。党機関紙、人民日報は「わが党の自浄と革新に向けた政治的勇気を体現した」と自賛。一般市民の間にも巨悪摘発を歓迎する声が多いが、党内には権力闘争の激化による政治の不安定化を懸念する声も少なくない。
中国のような一党独裁国家では権力と経済界の癒着が横行する。現・元指導部メンバーの家族や親戚の中で、権力に頼って私腹を肥やす者は多い。それゆえに今後、巨悪摘発をどこまで進めるか、習氏は難しい判断を迫られよう。一方で、習氏が国民の幅広い支持を得ようとするなら真の「法治」を徹底する必要がある。習氏は昨年11月の党第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で「司法の独立」を打ち出した。
今年10月に開く第4回総会(4中総会)では、あらためて「法治」の重要性を前面に打ち出す。だが、周氏摘発の発表ぶりをみても「法治」の上に存在する「党の指導」が浮かび上がる。周氏摘発を決定、発表したのは党中央であり、党規違反を党中央規律検査委員会が調査する。警察・検察当局の捜査より、党の調査が優先されるところに中国の「法治」の限界がのぞく。
習氏は汚職取り締まりだけでなく、民主化運動や少数民族運動への弾圧などで政治的締め付けを強め、強権体質を鮮明にする。しかし、腕力で安定は維持できない。「法治」を言うなら、党の特権を認めない「法の下の平等」を保障する政治改革が不可欠だろう。(2014・8・1)(引用ここまで)
以下、茨城新聞と同じ内容なので、掲載はカットしました。
南日本新聞 中国汚職摘発/真の法治の徹底めざせ 2014/8/1 8:06
http://373news.com/_column/./syasetu.php?ym=201408&storyid=58679
山陰中央新報 中国元最高幹部摘発/権力闘争激化する恐れも 2014/8/1 12:06
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=547295033