月組『桜嵐記』『Dream Chaser』-東京宝塚劇場公演(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f13b96a93bff087a1808231d2b405265
2021年8月15日(日)13時30分~、東京宝塚劇場千穐楽をライブ配信で視聴しました。
『桜嵐記』、
配信の画面にアップで映し出される弁内侍@美園さくらちゃん、後村上天皇@暁千星さん、美しい涙を流していました。役柄に命を吹き込み、千穐楽まで魂で役柄を生き続けてきたんですね。親兄弟を北朝に殺されて心が凍りついていた弁内侍が正行と出会い、解きほぐれれていく過程がよく伝わっきました。後村上天皇は優しい皇子感がマシマシでいちだんと美しかった。
ウエクミ先生の作品を観劇するときは、心のエネルギーを自ずとものすごく使っているので昨日は半ば放心状態でした。7月11日に劇場で観劇しましたが、あらためて気づいたことなどを思い出すままに断片的に・・・。
息子である後村上天皇が南北の争いのために犠牲を出したくない、亡くなった人たちの菩提を弔いながら生きていきたいと本心を明かした時、足利尊氏@風間柚乃くんが楠木正行@珠城りょうさんに北朝へ来て生き延びろと告げた時、天皇家による政権復活に執着して亡霊となって現れる後醍醐天皇@一樹千尋さん、こじらせ上司。勝ち目のない戦いで優秀な部下の命を散らしてしまう。どんな人に仕えるかで運命が決まってしまうのはいつの世も同じなのかと。台詞が難しくてわからないので「ル・サンク」を買って確認したいところ。
ジンベエ@千海華蘭さん、自分ら百姓は戦続きで食べるに困り金で雇われたに過ぎない、こいつらにまた畑をやらせてあげてくださいと地べたに頭を下げて命乞いをする場面、真実味がありすぎてたまりませんでした。血が怖いと震え上がる姿、うますぎて十分に表現できる言葉を持ち合わせないのが残念。北朝兵を助ける正行の人柄にほれ込んで仕えることを決意したジンベエ、四条畷の戦いで命果てようとする正行から、正儀@月城かなとさんについていくよう言われても「旦那をおいていくことなんかできますかいな」という姿もたまりませんでした。正行亡きあと40年間弁内侍に仕え続けたジンベエ。実在した誰かをモデルにしているのか、いないのかわかりませんが、歴史に名を残すことのない無数のジンベエがいたわけで、いつの世も争いの犠牲になるのは一般庶民である無数のジンベエ、彼らの命がつながっていってこその歴史、そんな思いをジンベエに託したのかなと勝手に想像しました。
正時@鳳月杏さんの妻、百合@海乃美月ちゃんもオリジナルキャラクターなんですね。実在の人物かと思っていましたが、正時は記録がほとんど残っていないので、お料理好きで優しくて百合を深く思う正時の姿はウエクミ先生によるあて書き。正行・弁内侍と対照的であってほしいとウエクミ先生から言われたと美月ちゃんがぽっぷあっぷタイムで話しています。義父の大田佑則@春海ゆうさんが、陣中で猪を料理する正時の姿に「婿選びを間違えた」と言っているので親同士が決めた結婚ということになりますが、百合にとって正時は「いなくなったら生きてはいけない」唯一無二の人。宝塚カフェブレイクの特別編で、中井美穂さんにあてた「正時が百合という時の温度差に違いがある」という視聴者の声が寄せられていました。正時が「百合」と呼ぶ場面4-5回あったと思います。仲睦まじい場面から義父が北朝に寝返ったと尊氏から知らされると離縁を申し渡す場面、そして義弟から「姉は自害した」と知らされると「百合ー!」と叫んで義弟を斬る場面、それぞれどんな思いの「百合」であったかと思うとたまりません。細かいところでウエクミ先生、丁寧に伏線はってますね。出番多くはなかったですが、『I AM FROM AUSTRIA』に続く夫婦役、鮮烈でした。姉を守るために離縁したのかと義弟の大田百佑@英かおとくんにいわせたところにどんな思いを託したのか・・・。
四条畷の戦いへ出陣する前夜、桜吹雪の中で正行と弁内侍が契りを交わす場面。公家装束の正行と弁内侍のテーマソングにのせたダンスと正行が弁内侍の肩を抱いてせり下がっていく後ろ姿の美しさ、素敵でした。後ろ姿でさがっていくところがウエクミ先生のこだわりと思いました。テーマソングを歌う美しいカゲソロは詩ちづるちゃん。
四条畷の戦いの合戦シーンをスローモーションのようにみせて、少年時代の楠木三兄弟が楠木正成@輝月ゆうまさんと共に銀橋に登場する場面もたまりません。少年時代の正儀、竹の水筒腰にぶらさげていますね。正成が兄弟たちに生きてなんのために戦うのかその答えを自分でみつけるのだと言い聞かせ、そしてクスノキ音頭を歌う。ナウオンステージでたまきちが、ウエクミ先生に宝塚の日本物の伝統的な美しさを大事にしてほしいと言われたと話しています。なにが正しいとか、正行の生き方が正しかったのかそうでなかったのかは観劇する人それぞれに委ねて、ただただ儚く美しく描くことに徹した作品。
エピローグの四条畷の戦いへと向かう出陣式、劇場で観劇したとき2階席のてっぺんでしたが、左手で正行が花道へと消えていく姿をオペラグラスを通してくっきりと追うことができました。日の本の大きな流れのためにこの命を使いたいという決意、生きて戻ってくることはできないという覚悟、いろいろな想いを秘めながら前だけを見つめて去っていく美しさを自分がこの世にいる間、忘れないでいたいと思います。一度だけですが劇場で観劇できたことは人生の宝物。去り行く正行のアップから、ひきで配信のカメラが、その後ろ姿に追いすがるように見送る弁内侍の姿を、それぞれの想いを胸に見送る人々の姿を映してくれたいたのはよかったと思います。
『Dream Chaser』、
最後の最後、男役さんたちとのダンスが終ったあとたまきちがオケに向かって拍手していいたのが印象的でした。宝塚でオケに拍手する光景をみることはないので希少でした。紅ゆずるさんがサヨナラショーの紅子の姿で佐々田先生に、「新人公演の時先生のハイがないと歌えなかった」と感謝を伝えたように、佐々田先生とオケメンバーに感謝を伝えたかったんですね。
記憶があるうちにもう少し備忘録、書けるといいかな。
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/f13b96a93bff087a1808231d2b405265
2021年8月15日(日)13時30分~、東京宝塚劇場千穐楽をライブ配信で視聴しました。
『桜嵐記』、
配信の画面にアップで映し出される弁内侍@美園さくらちゃん、後村上天皇@暁千星さん、美しい涙を流していました。役柄に命を吹き込み、千穐楽まで魂で役柄を生き続けてきたんですね。親兄弟を北朝に殺されて心が凍りついていた弁内侍が正行と出会い、解きほぐれれていく過程がよく伝わっきました。後村上天皇は優しい皇子感がマシマシでいちだんと美しかった。
ウエクミ先生の作品を観劇するときは、心のエネルギーを自ずとものすごく使っているので昨日は半ば放心状態でした。7月11日に劇場で観劇しましたが、あらためて気づいたことなどを思い出すままに断片的に・・・。
息子である後村上天皇が南北の争いのために犠牲を出したくない、亡くなった人たちの菩提を弔いながら生きていきたいと本心を明かした時、足利尊氏@風間柚乃くんが楠木正行@珠城りょうさんに北朝へ来て生き延びろと告げた時、天皇家による政権復活に執着して亡霊となって現れる後醍醐天皇@一樹千尋さん、こじらせ上司。勝ち目のない戦いで優秀な部下の命を散らしてしまう。どんな人に仕えるかで運命が決まってしまうのはいつの世も同じなのかと。台詞が難しくてわからないので「ル・サンク」を買って確認したいところ。
ジンベエ@千海華蘭さん、自分ら百姓は戦続きで食べるに困り金で雇われたに過ぎない、こいつらにまた畑をやらせてあげてくださいと地べたに頭を下げて命乞いをする場面、真実味がありすぎてたまりませんでした。血が怖いと震え上がる姿、うますぎて十分に表現できる言葉を持ち合わせないのが残念。北朝兵を助ける正行の人柄にほれ込んで仕えることを決意したジンベエ、四条畷の戦いで命果てようとする正行から、正儀@月城かなとさんについていくよう言われても「旦那をおいていくことなんかできますかいな」という姿もたまりませんでした。正行亡きあと40年間弁内侍に仕え続けたジンベエ。実在した誰かをモデルにしているのか、いないのかわかりませんが、歴史に名を残すことのない無数のジンベエがいたわけで、いつの世も争いの犠牲になるのは一般庶民である無数のジンベエ、彼らの命がつながっていってこその歴史、そんな思いをジンベエに託したのかなと勝手に想像しました。
正時@鳳月杏さんの妻、百合@海乃美月ちゃんもオリジナルキャラクターなんですね。実在の人物かと思っていましたが、正時は記録がほとんど残っていないので、お料理好きで優しくて百合を深く思う正時の姿はウエクミ先生によるあて書き。正行・弁内侍と対照的であってほしいとウエクミ先生から言われたと美月ちゃんがぽっぷあっぷタイムで話しています。義父の大田佑則@春海ゆうさんが、陣中で猪を料理する正時の姿に「婿選びを間違えた」と言っているので親同士が決めた結婚ということになりますが、百合にとって正時は「いなくなったら生きてはいけない」唯一無二の人。宝塚カフェブレイクの特別編で、中井美穂さんにあてた「正時が百合という時の温度差に違いがある」という視聴者の声が寄せられていました。正時が「百合」と呼ぶ場面4-5回あったと思います。仲睦まじい場面から義父が北朝に寝返ったと尊氏から知らされると離縁を申し渡す場面、そして義弟から「姉は自害した」と知らされると「百合ー!」と叫んで義弟を斬る場面、それぞれどんな思いの「百合」であったかと思うとたまりません。細かいところでウエクミ先生、丁寧に伏線はってますね。出番多くはなかったですが、『I AM FROM AUSTRIA』に続く夫婦役、鮮烈でした。姉を守るために離縁したのかと義弟の大田百佑@英かおとくんにいわせたところにどんな思いを託したのか・・・。
四条畷の戦いへ出陣する前夜、桜吹雪の中で正行と弁内侍が契りを交わす場面。公家装束の正行と弁内侍のテーマソングにのせたダンスと正行が弁内侍の肩を抱いてせり下がっていく後ろ姿の美しさ、素敵でした。後ろ姿でさがっていくところがウエクミ先生のこだわりと思いました。テーマソングを歌う美しいカゲソロは詩ちづるちゃん。
四条畷の戦いの合戦シーンをスローモーションのようにみせて、少年時代の楠木三兄弟が楠木正成@輝月ゆうまさんと共に銀橋に登場する場面もたまりません。少年時代の正儀、竹の水筒腰にぶらさげていますね。正成が兄弟たちに生きてなんのために戦うのかその答えを自分でみつけるのだと言い聞かせ、そしてクスノキ音頭を歌う。ナウオンステージでたまきちが、ウエクミ先生に宝塚の日本物の伝統的な美しさを大事にしてほしいと言われたと話しています。なにが正しいとか、正行の生き方が正しかったのかそうでなかったのかは観劇する人それぞれに委ねて、ただただ儚く美しく描くことに徹した作品。
エピローグの四条畷の戦いへと向かう出陣式、劇場で観劇したとき2階席のてっぺんでしたが、左手で正行が花道へと消えていく姿をオペラグラスを通してくっきりと追うことができました。日の本の大きな流れのためにこの命を使いたいという決意、生きて戻ってくることはできないという覚悟、いろいろな想いを秘めながら前だけを見つめて去っていく美しさを自分がこの世にいる間、忘れないでいたいと思います。一度だけですが劇場で観劇できたことは人生の宝物。去り行く正行のアップから、ひきで配信のカメラが、その後ろ姿に追いすがるように見送る弁内侍の姿を、それぞれの想いを胸に見送る人々の姿を映してくれたいたのはよかったと思います。
『Dream Chaser』、
最後の最後、男役さんたちとのダンスが終ったあとたまきちがオケに向かって拍手していいたのが印象的でした。宝塚でオケに拍手する光景をみることはないので希少でした。紅ゆずるさんがサヨナラショーの紅子の姿で佐々田先生に、「新人公演の時先生のハイがないと歌えなかった」と感謝を伝えたように、佐々田先生とオケメンバーに感謝を伝えたかったんですね。
記憶があるうちにもう少し備忘録、書けるといいかな。