たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

花組『ハンナのお花屋さん』_Make a Wish(願い事は?)

2017年10月22日 21時21分23秒 | 宝塚
 「Make a Wish(願い事は?)

 作詞:植田景子

 人生の途中で ふと立ち止まり
 振り返り 立ちすくむ
 分かれ道 曲がり道
 その先にあるのは


 子供の頃 迷子になった森の中
 ただ歩いた
 祈りながら 信じながら
 大丈夫 きっと見つかる
 辿り着ける 帰るべき場所へ


 Make a Wish
 自分の心が 
 見えない
 もどかしさ
 

 願い事を星に語り
 雲を追いかけた
 あの森で


 Make a Wish
 叶うならば
 Make a Wish
 叶うことのない
 あの日の願い 永久(とわ)の幻

 Make a Wish
 欲しいものは?
 Make a Wish
 願い事は・・・?」


 台風接近の中、『ハンナのお花屋さん』のライヴビューイング中継をみるべく映画館へ出向いてきました。いちいち心に沁みて、会場を出た後しばらくぼうっとなってエスカレーターの場所がすぐにはわからず、さまようようにふらふらと歩いてしまいました。心を揺さぶられすぎてちょっとつらくなるところもありましたが、やさしい物語。心の傷を抱え、自分だけが幸せになることなんてできないという仙名彩世さん演じるミアに対する、声がアルファ波をもっている明日海りおさんクリスの「幸せになっていいんだよ」がじんわりと心に沁みわたり、やさしく響いてきました。わたし、妹のお別れのあと、自分だけが笑ったりしてはいけない、笑うことすらしてはいけないと自分を責め続けてきました。自分を責めるミアの姿に自分を投影させていました。苦しいことが続いてきたけれど、幸せになっていいんだ、これからは自分の幸せを求めていいんだ、過去を変えることはできないので背負いながら先に逝った人の分まで精一杯歩んでいけばいいんだ、って素直に思えました。

 席は一番後ろ。老眼加速中につき、近くをみやすいようにかつ遠くもそこそこみえないと困るというレベルにコンタクトレンズを合わせている身にはちょっとみえづらいところもありましたが、オペラグラスでは追いきれなかったところが確認できるのはいいですね。自分の過ちによって小さかった弟は亡くなってしまったと重い過去を打ち明けるミアの話を必死に聴いているときのクリスの、眉間にしわを寄せた表情が美しすぎて見惚れました。『金色の砂漠』でも苦悩しているときのギィの眉間にしわをよせた表情が美しいと思いました。眉間にしわを寄せた表情がこんなに美しい方は他にいらっしゃらないかも。子供の頃暮らした森の中の家を買い戻して、デパート出店の話を断り、人の役に立つことがしたいと新しくフェアトレードビジネスを立ち上げようとしているところにミアを呼び寄せたクリス。「これからのことはゆっくり考えればいい」っていう言葉がほんとにやさしくってあたたかくって心に沁みました。現代ものなので衣装がシンプルな分、演じる人の人柄が自ずと滲み出るものなのかなと・・・。シンプルな衣装がどれもよく似合っていて着こなしが素敵すぎました。瀬戸かずやさんのスーツの着こなしも素敵すぎのかっこよすぎ。胸ポケットにチーフが入っているのが素敵過ぎました。

 わたしがクリスと出会うことはないと思いますが、あんまり希望がもてない社会の中でも自分の感性を信じて、上を向いて歩いていこうよ、って背中を押してもらえたような気がしました。会社の数字数字数字の犠牲になりズタズタのボロボロとなったところからここまで立ち直ってきました。信じて祈ることしかできなくなったわたしを包み込んでいた霧は、気がついたら晴れていました。収入は会社で働いていた時と比べるとかなり落ちますが会社で働くことはもうできないわたしが、少しは人の役に立つこともあるかもしれない援助職のはしくれへと、運とタイミングで足を踏み入れました。ハードな仕事、自分がつぶれない程度になんとかやっていければいいなと思います。


 先日断捨離中に妹から届いた葉書が出てきました。お別れの一年余り前。全部実家に持っていったつもりでしたがまだありました。自分を責める気持ちがまた沸き起こってきてつらいので、郵便で弟に送りました。仏壇に供えてもらうの。父がね、わたし宛になんつうも届いていた手紙やはがきを読みたいと言ったことがあったけれど果たしませんでした。だからね供えてもらいます。わたしはもう十分すぎるほど自分を責めてきたのでもう自分を責めません。幸せになっていいんだよ。そんなあったかいメッセージを明日海さんと花組のみなさんからいただきました。

 
 芹香斗亜さん演じるクリスの父アベルとクリスが舞台上で言葉を交わす場面はありませんが、心臓発作を起こして突然旅立ったアベルとクリスとのお別れの場面は描かれませんが、客席の想像力に訴えかける余白を残してくれた演出でよかったかなと思います。クリスがアベルのことを話すとき、舞台上に姿はなくてもずっとアベルがそばにいるような感覚でした。クリスが幼いころの自分の姿を出会い、若かりし頃のアベルと若くして事故により旅立った母ハンナと出会いながら自分を見つめ直していく物語。舞空瞳さんのハンナは天使すぎてアベルとの幸せな日々はいとおしすぎます。芹香斗亜さん、この公演をもって宙組へと異動。つらいですね。白いお衣装がよくお似合い、優しさと覚悟を決めたようなかっこよさがあって素敵すぎました。


 カーテンコールで明日海さんから「今日は販売用DVDの収録日でした。DVDをご覧のみなさま、お買い上げありがとうございました。」と明日海節の挨拶。「全国の映画館のみなさん」のよびかけに直接応えられないのがほんとに残念。「演じるものにとっては盆と正月とハロウィンとクリスマスがいっしょにきたような話」と。幕が降りるときに花組ポーズも。芹香斗亜さんの挨拶がなかったのはちょっとさみしかったですが千穐楽じゃないから仕方ないか。久しぶりにDVD買っちゃおうかな。心が折れそうになった時、やさしく背中をおしてくれそうな物語。大劇場のような派手さはありませんが、歌も素敵で繰り返し会いたい、やさしい物語。一人で多くの方にみていただきたい物語。宝塚は今女性演出家の熱い想いのこもった作品が素敵です。上田久美子先生、植田景子先生、小柳菜穂子先生。伝え方は違いますがそれぞれに想いが伝わってくる作品。こうしているとお金には縁遠い生活が続いてくことになりますが生きている間しか観劇できないし、こうして観劇できるのが幸せなのでまあいいか。小さな幸せはいつもそばに・・・。現実部屋にいる時間が長いとちっそくしそうで、でも部屋にいないとできないことたくさんあるし、外食しているとお金もたないし、一年間だけれど次の居場所が決まったのでなんとかやっていければと思います。

 色々と想いは尽きませんが、またゆっくりと振り返っていければと・・・。気がついたらまたとめどなく長くなったので今日はこれぐらいにしておきます。


 10月10日の赤坂ACTシアター。
 


 

 

 

 


  
 

 

この記事についてブログを書く
« 第四章 OLという存在_エピローグ | トップ | 『アンデルセンの生涯』より_... »

宝塚」カテゴリの最新記事