医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

司馬江漢の美挙9

2007年04月14日 06時15分33秒 | Weblog
・ わが国で最初の地動説公刊となった「地球全図」を著す

 →コペルニクスは地動説を唱え、キリスト教下では命にかかわる真実だったわけですが、幸い日本ではすんなりと受け入れられたようですね。

 それにしても、地球が丸いことすら知らない日本人の中、地球儀をつくったり、それを後述の老中、松平定信に送りつけ、あんたは世界を知らないと批判したり・・・。



・ 肥後秋月(筑前秋月の誤りではないでしょうか?)緒方春朔(おがたしゅんさく)と天然痘のワクチン治療をした

 →緒方春朔(しゅんさく)は、エドワード・ジェンナーの牛痘種痘法成功より6年早い時期に、予防接種として人痘種痘法をわが国で初めて成功させた、福岡は秋月(現朝倉市)の秋月藩医です。

 今でこそ天然痘は撲滅されましたが、当時は「天然痘にかかったことのない子供は、我が子と思うな」というくらい、子供たちの命を奪う憎き疾病だったのです。

 緒方春朔は軽い天然痘にかかった人のかさぶたを粉末にして、鼻から吸入させたそうです。

 この方法は、一度天然痘に罹患(りかん)するともうかからないことをヒントとし、中国の清の勅纂による『醫宗金鑑』(いしゅうきんかん、と読むのかな?)という本を頼りに、独自の方法を編み出したそうです。

 しかし軽い経過をたどるからとはいえ、死の病をあえて無理に発病させて免疫を作るという、現代でこそ予防として当たり前の発想を、江戸時代に行ったのですから、緒方春朔はさぞやクレイジーだと人々から思われたことでしょう。

 それにしても当時の中国ってすごいのね・・・。

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 江漢には『種痘の伝』という短文刊本があるそうです。