医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

円空と木喰のまぁるい美6

2007年04月04日 13時50分14秒 | Weblog
 日本のすごいところは、斬新でオリジナルな発想は苦手であったとしても、どこかから伝わった途端に、それがたとえ異文化でも、異宗教でも、特殊技術であろうが、貪欲に飲み込んで消化して、自分たちのものにしてしまい、それは時としてオリジナルより高位なものに変えてしまうところです。

 「カイゼン」の鬼、改善して自分たちに合わせてしまう点では世界屈指ですね。



 柔和な仏さまなど、敷居が低すぎて、権威がない、と言う意見もありましょう。

 しかし、仏さまとて、仏陀・お釈迦さまは神さまでもなんでもなく、人間だったわけですし、庶民を彼岸に救済してお導きくださるのですから。

 赤子や無垢な少年少女が見て、泣き出すような恐ろしい形相の仏さまには、日本人は馴染めないのではないでしょうか。

 白河上皇の院政時代の仏さまを見ても、それはまるで少年のようであり、優しく無垢な表情です。

 もう武士による戦国時代も終わったわけですから、金剛力士でもなく、平和な現代に調和する仏さまを拝みたいものです。

 宗教というものは研究者や、僧侶のためにあるものではなく、所詮は庶民のものであり、ある意味もっとも大衆文化的なのではないでしょうか?

 国民に仏教を浸透させるには、寺にこもり、修行する僧侶も大切だし、お経を研究することも大切だと思いますが、円空や木喰のように、全国を行脚して、柔和でやさしい仏さまを残し、それを広めることも、修行と同じように、あるいはそれ以上に大切なのではないのでしょうか?

 自ら絶滅危惧種となってはいけません。

 と、エールを送り・・・ちなみに小生は、不心得者ながら、なんと当代随一の天才仏師、慶派を名乗った松本明慶(みょうけい)さんが、ちょいちょいっと(といったら失敬ですが、彼の居並ぶ偉大な作品に比べたら)お作りになられた、手乗りサイズの「合掌童子」を大切にしております。