【天風録・11.30】:PRと真実
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.30】:PRと真実
本来の英語表記にぴんとくる日本人は少ないだろう。パブリック・リレーションズ。やはり頭文字を重ねた「PR」の方がなじみ深い。GHQが戦後、占領政策を行き渡らせようと持ち込んだ言葉という
▲今でこそ広報や宣伝の意味で通じるが、先人たちは他の日本語に訳そうと苦心したらしい。「公衆関係」という直訳は全く浸透しなかった。当時は理解されにくい概念だったに違いない
▲こちらの関係も理解に苦しむ。兵庫県のPR会社社長が、先の知事選で斎藤元彦氏の広報全般を担ったとするネット記事を公開した。事実なら公選法に触れる恐れもある。斎藤氏側は頼んだのはポスター制作だけと主張。両者の認識は食い違う
▲社長が記した戦略は具体的だ。斎藤氏の好感度を高めるためSNSに載せる写真や紹介文、ハッシュタグの細部まで工夫を凝らしたという。プロの手法だが、選挙となると民意を操る手口のような空恐ろしさを覚える
▲誰がうそをついているのか。兵庫県民の疑心は春から揺れっ放しだろう。例の会社は広島県や広島市のSNS戦略も請け負っているだけに、気にかかる。社長の口からはPRでも誇張でもなく、本当のことを聞きたい。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月30日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。