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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【沖縄県知事】:コロナ感染拡大「米軍が要因」、管理体制を批判 県民に警戒呼び掛け

2022-01-03 07:10:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【沖縄県知事】:コロナ感染拡大「米軍が要因」、管理体制を批判 県民に警戒呼び掛け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【沖縄県知事】:コロナ感染拡大「米軍が要因」、管理体制を批判 県民に警戒呼び掛け

 在沖米軍内で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受け、玉城デニー知事は2日、沖縄県庁で記者会見し、県内で市中感染の広がりが警戒される新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が、米軍基地の感染拡大に由来しているとの遺伝子分析の結果を示した。玉城知事は「米軍が要因となったのは間違いない。米国の状況を日本に、沖縄に持ち込むな」と述べるなど、米軍の感染症対策に対して強い憤りを表明した。

直近の感染状況を踏まえ注意喚起する玉城デニー知事=2日午後、県庁(代表撮影)

 玉城知事は、県内でデルタ株からオミクロン株への急速な置き換わりが進んでいるとした上で、県民に対して大人数での会食を避けることや、初詣などは混雑する三が日を避けることなど、警戒を高めるよう呼び掛けた。

 在沖米軍では昨年12月31日に98人、1月1日に235人、同2日に70人と、多数の陽性者が確認されている。玉城知事は「米軍の感染防止対策と管理体制の不十分さを示すものと言わざるを得ず、激しい怒りを覚える」と厳しく批判した。

 一方、県は米側から感染者の総数について提供を受けているものの、基地ごとの陽性者など詳細な情報提供は得られていない。玉城知事は「軍に特権的な地位を与え、感染予防対策に関する情報共有もままならないなどの状況をつくり出している」と指摘し、感染対策の障壁となる日米地位協定の改定を日米両政府に求めた。

 県民に対しては「一丸となって感染防止対策を徹底することができれば、拡大のスピードは抑えることも可能だ」と呼び掛けた。正月のあいさつ回りや初詣での注意を呼び掛け、夜間の会食は控えることや会食は4人以下2時間以内とすること、混雑する場所への外出を控えるなど対策の徹底を改めて求めた。(池田哲平)

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 政治 【地方自治・沖縄県・新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が、米軍基地で感染拡大している問題】 2022年01月03日  07:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:地方の再生 集中是正へ機会逃すな

2022-01-03 06:43:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:地方の再生 集中是正へ機会逃すな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:地方の再生 集中是正へ機会逃すな 

 新型コロナウイルスとの闘いの出口は依然としてはっきりしない。それでも傷ついた地方の経済を再生し、衰退に歯止めをかけなければ、未来の安心な暮らしは描けない。

 感染症は人の大勢いるところで猛威を振るう。都市部、とりわけ東京一極集中のリスクを浮き彫りにした。このコロナ禍をかねて問題視されてきた過度な人口集中を是正するきっかけにしたい。都市と地方の在り方を見直し、分散型の国造りに踏み出さなければならない。

 地方の人口減少が始まってほぼ20年がたつ。地方からは東京を含む首都圏へ人や産業が流出し続け、集落の維持さえ難しくなってきた地域も出ている。

 このままでは半数の自治体が消滅する可能性がある―。民間研究機関の推計が衝撃を与えたのは2014年のこと。その年、当時の安倍晋三首相は「故郷を守る」と訴え、「地方創生」の旗を掲げた。

 20年までに東京圏への転出入を均衡させる目標を定めたものの、転入超過が続いた。日本全体の人口は08年をピークに減少に転じている。その中で東京への一極集中が進めば、地方の衰退がさらに深刻化する。地方創生の行き詰まりは明らかだ。

 ところがコロナ禍によって変化の兆しがもたらされている。

 首都圏を中心に多くの人がテレワークを経験し、「転職なき移住」への関心も高まっている。社員が出社しなくてもインターネットを使って仕事ができる。東京に本社を置く必要はないと考える企業も増えている。

 実際、東京から転出する人も増えている。昨年11月のデータでも7カ月連続で人口が流出していた。東京から周辺県への転居が多いが、一極集中の是正につなげるチャンスと言えよう。コロナ禍で芽生えた地方への関心を実らせ、人や企業が地方へ向かう流れを太くしたい。

 そういった観点から、岸田文雄首相が看板政策に掲げる「デジタル田園都市国家構想」の方向性は一定に理解できる。地方のデジタル基盤を整え、人口減少や人手不足といった課題を解決し、都市と地方の差を縮めることを目指す―としている。

 デジタル人材を26年度までに230万人確保するなどの数値目標を示し、総額で5兆7千億円を投じると昨年末に表明した。ただ目新しさには乏しい。テレワークの導入支援やオンライン行政のための交付金を創設するが、似たような交付金は地方創生にもいくつもある。

 地方創生では、地方自治体に計画を作らせ、国が認めた事業に充てる交付金を配ってきた。こうした補助金行政が、政策立案における地方自治体の自主性を損なった面も否めない。

 新たな田園都市国家構想は地方創生の看板の掛け替えとの見方もある。中央集権的な手法を用いれば、同じような失敗を繰り返すことになりかねない。中央と地方の上下関係をただし、地方自治体が主体となって地域の実情に合わせた政策をとれるようにする必要がある。

 人口の減少は国全体で進行しており、パイの奪い合いをしても仕方ない。さまざまな規制で東京圏の成長性を抑えることも現実的ではなかろう。「地方か、東京か」の二項対立から脱し、互いに補完機能を発揮し、共存共栄の道を探るべきだ。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月03日  06:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

 

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【社説】:年の初めに考える 「国民主権」取り戻そう

2022-01-03 06:43:40 | 【思想信条(保守・右翼・左翼)、イデオロギー(民主、共産、社会主義他)】

【社説】:年の初めに考える 「国民主権」取り戻そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:年の初めに考える 「国民主権」取り戻そう 

 新型コロナウイルスへの警戒を緩められないまま、再び新しい年を迎えた。新たな変異株オミクロン株が全国に広がり、各地で市中感染を起こしている。コロナに苦しむ日々からは、3年目に入った今年も抜け出せそうにない。

 ▽真剣に耳傾ける

 「足元から政治を変えよう」。ちょうど1年前、本欄はそう呼び掛けた。かすかであっても、変化の兆しが見え始めたのかもしれない。国民の疑問や不安に向き合おうとせず、説明を避ける姿勢が安倍・菅政権の8年余り続いた。しかしそれは、「聞く力」を自負する岸田文雄首相の誕生で、ようやく変わりつつあるのではないか。

 例えば、先月の臨時国会。野党議員だからといって最初から敵視するのではなく、疑問や批判、提案に真剣に耳を傾けてみる。その上で必要だと判断しさえすれば、自分たちの政策や意見でさえ柔軟に見直す…。そんな首相の姿が印象に残った。近年、あまり見られなかった対応だろう。朝令暮改とも優柔不断とも非難されたが、多くの国民は今のところ、好意的に受け入れているようだ。

 ▽民主主義の危機

 広島選出だからといって、岸田氏を身びいきするつもりはない。

 ただ、昨年9月の自民党総裁選で岸田氏が訴えた「民主主義の危機」という言葉は重いと言えよう。少なくとも、その要因が自分たちにもあるといった謙虚さをにじます姿勢は、安倍晋三元首相や菅義偉前首相にはなかった。

 「コロナ禍という国難の中で、政治と国民の心が離れてしまった」。民主主義の危機の例として、岸田氏は国民の声が政治に届いていないことを挙げていた。

 半分しか当たっていない。コロナ禍によって、政治と国民の心が離れたのではなく、コロナ禍がそれを明るみに出したにすぎない。以前から続く政治姿勢が不信を招き、増幅させてきたことを反省しない限り、信頼回復はできまい。ましてや、国民が主役となる政治の実現には程遠かろう。

 民主主義の危機はしかも、岸田氏が考えている以上に深まっている。視野を広げれば見えてくる。

 民主主義の手本とも言える米国で昨年1月、連邦議会が襲撃された。トランプ前大統領の支持者が議事堂に乱入して一時占拠、警官1人を含む5人が死亡した。歴史に汚点を残す事件となった。

 トランプ氏に代表されるポピュリストの下、専制主義に対抗する砦(とりで)だったはずの民主主義が支配のための道具と成りつつある―。政治学者の藤井達夫氏が近著「代表制民主主義はなぜ失敗したのか」(集英社新書)で指摘している。

 中国は、香港の立法会(議会)選挙を本土と同様、形だけの仕組みに変更した。市民の約6割に支持されているという民主派が徹底的に排除される中で先月行われ、親中派がほぼ全議席を得た。

 結果は中国の思惑通りだった。しかし30%そこそこの投票率は市民の示した「ノー」だろう。「高度な自治」を押しつぶし、民意置き去りの選挙に正統性はない。

 ▽熟議と参加必要

 選挙だけでは国民主権の政治が実現できないことは、昨年6月のイラン大統領選でも明らかになった。事前審査で穏健派や改革派の有力者は「失格」となり、保守強硬派が8年ぶりに政権を奪還したが、そうした現状への国民の不満は根強い。イラン革命以来、最低となった投票率や、当選者に次いで多く票を集めたのが「白票」だったことに表れている。

 選挙を軸にした代表制民主主義が機能不全に陥ったのであれば、どう立て直せばいいのか。藤井氏は、ありきたりだとしながらも、こう指摘している。じっくり議論する「熟議」と、市民の参加による改革が必要だ、と。政治家任せでは済まなくなるから、有権者の役割や労力が一層求められる。

 それを面倒だと感じるか。民主主義を充実させるコストだと考えるか。結局、私たち有権者が問われている。揺らぐ民主主義に命を吹き込み、国民主権の政治を取り戻そう。2022年は、そんな一年にしなければならない。年明けに当たって提案したい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月01日  06:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:コロナ禍の歯固め

2022-01-03 06:43:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【天風録】:コロナ禍の歯固め

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:コロナ禍の歯固め

 ウイルスはまだまだ油断ならないが、少しは外へ。そんな思いで新年を過ごしている人は多いのかもしれない。近所のスーパーの初売りが早速にぎわっていた

 ▲正月早々何を買うのか。わが身をさておき、レジ待ちの列でよそさまの買い物かごをのぞくと、酒や菓子に加え、個包装の餅のパックが目についた。保存も調理もしやすい手軽さからコロナ禍でヒットしているという

 ▲粘りが強く、長く伸びる餅。正月に食べる由来は諸説あるものの、古くは「歯固め」の行事だったともいわれている。歯はよわいと読み、齢(よわい)の意味がある。三が日に餅を食べ、歯の根を固めることで齢を重ねようとしたのだろう

 ▲やはりしっかりかむことが大事に違いない。毎年この時期、決まって耳に入るのが、餅による窒息事故のニュースである。東京消防庁は元日に都内で6人が救急搬送され、2人亡くなったと発表していた。餅をのどに詰まらせて亡くなる高齢者の2割が正月三が日に集中していると消費者庁も注意を呼び掛ける

 ▲お年寄りに限るまい。長らくマスクに覆われ、口やのどの筋力が衰える「フレイル」は、もはや誰しもわがことだ。コロナとの闘い、本年も粘っていこう。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年01月03日  06:43:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:寅年スタート

2022-01-03 06:43:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【天風録】:寅年スタート

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:寅年スタート 

 寅(とら)年が幕を開けた。この字を見て「寅さん」を思い浮かべる人もいるだろう。お正月映画と言えば「男はつらいよ」シリーズだったが、今は昔である。懐かしくなり調べていると、寅年生まれで寅次郎と思い込んでいたが違うと知り驚いた

 ▲長男を寅年生まれにちなんで名づけたのは、作家森〓外である。茉莉(まり)、杏奴(あんぬ)、類(るい)などと下の子どもたちも、外国で呼ばれやすい名前にしているが、長男はオットーに通じる「於菟(おと)」。古代中国でトラを表す語だという

 ▲そもそも寅の字に動物のトラの意味はなかった―。国立国語研究所編「日本語の大疑問」によると「月日などの順序を表す記号」だった十二支に、後から動物名が割り当てられた。人々が覚えやすいよう動物名を配したなどと諸説ある

 ▲十二支に入るため動物が競争したという昔話はどうなるのだろう。昨年の「丑(うし)」も元は「曲がる」の意味があり、種子の中に生じた芽が曲がっていて表面に出ていない状態を指すとも。中国の「漢書 律暦志」にある

 ▲ではことしの寅はどうか。「伸ばす」という意もあって、芽が引っ張られるように成長していく―と解釈する説があるそうだ。いい年になりそうな予感がする。

 【お断り】〓は「鴎」の旧字体ですが、JISコードにないため表示できません。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2022年01月01日  06:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:日本政治、この1年 「転換」の実感、なお乏しい

2022-01-03 05:06:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

《社説①》:日本政治、この1年 「転換」の実感、なお乏しい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:日本政治、この1年 「転換」の実感、なお乏しい

 この1年で与野党のトップが相次いで交代し、日本政治は転換点を迎えたようにみえる。だが、変わったようで、変わっていないのが実態だ。

 菅義偉政権は7年8カ月の歴代最長に及んだ安倍晋三政権を引き継いだものの1年で行き詰まり、10月に岸田文雄政権が発足した。

 9月の自民党総裁選で岸田氏は「聞く力」や「丁寧で寛容な政治」をアピールし、就任直後の衆院選で勝利した。前政権までの「負の遺産」を清算できるかが、新政権に突きつけられた課題だ。

 安倍・菅政権では強権的な姿勢が目に付いた。異論に耳を貸さず数の力で押し切る国会運営が続いた。身内を優遇する問題も相次ぎ、長期政権のおごりが露呈した。

 「官邸1強」と呼ばれたトップダウンの手法も新型コロナウイルスには通用しなかった。菅氏は感染拡大の中で東京オリンピック・パラリンピックの開催を推進したが、内閣支持率の回復につながらず、総裁選出馬を断念した。

 ◆強権姿勢は修正したが

 新政権で何が変わったのか。

 まずは政治姿勢だ。首相は就任後初の衆参予算委員会で野党の質問に丁寧に対応する安全運転に徹した。

 政策の進め方も以前より柔軟になった。18歳以下への10万円相当の給付は、現金とクーポンを組み合わせる方針に批判が出ると、全額現金を容認すると転換した。

 政策を決定する際に自治体など現場の声を反映させなかったことが原因だが、誤りを率直に認めようとしなかった前政権までとは対照的だ。

 コロナのオミクロン株対応では、国内感染者が確認される前に水際対策を強化した。首相は「慎重過ぎるとの批判は全て負う」と語り、楽観的な見通しで経済を優先した菅政権との違いを見せた。

 しかし、政権の看板政策である「新しい資本主義」の具体像は見えない。

 成長と効率を優先する新自由主義からの転換を掲げ、「分配」に取り組むとアピールしていた。ところが格差是正につながる金融所得への課税強化は、早々に先送りした。首相の肝煎りの「新しい資本主義実現会議」も、「成長」に軸足を置いているようだ。

 官民協働で成長戦略を考えていくのが新しい資本主義だという。これでは、成長重視のアベノミクスの延長ではないか。壮大なキャッチフレーズを掲げたものの、構想や哲学がうかがえない。 

 自民党内ハト派の宏池会の領袖(りょうしゅう)でありながら、憲法改正に意欲を示し、北京冬季五輪への政府高官派遣を見送るなど安倍氏や保守派への遠慮も目立つ。

 「政治とカネ」の問題も本気度が問われる。首相の地元・広島での河井案里元参院議員陣営の大規模買収事件は、政治不信を高めた。その反省を踏まえて、政治資金の透明性確保に取り組むと総裁選で訴えていたはずだ。

 ◆路線対立で揺れた立憲

 ところが国会議員に月100万円が支給される文書通信交通滞在費の問題で、指導力を発揮しようとしなかった。野党が提案する使途公開に自民党が抵抗したため、法改正は実現していない。

 森友学園問題を巡る国家賠償訴訟は、疑惑を解明しないまま幕引きを図った。日本学術会議の会員候補を任命拒否した問題でも解決に動く気配はない。

 ソフト路線で支持率は上向いているが、表紙を替えただけで本質が変わっていないのであれば、いずれ国民から見透かされる。これからは聞くだけでなく、「岸田カラー」を打ち出し、実行する力が問われる。

 野党も新たなビジョンが求められる。安倍・菅政治への不満が高まっていたにもかかわらず衆院選で民意の受け皿になれなかった。

 立憲民主党の政権批判に傾斜した姿勢は、見直しを迫られている。枝野幸男前代表の引責辞任に伴う代表選では、「対決」か「提案」かという路線が争点になった。

 提案路線を訴えた泉健太代表は、党の新しい姿を示さなければならない。かつて政権交代を実現した旧民主党には「コンクリートから人へ」など大きなビジョンがあった。政権との緊張感を保ちつつ、有権者を引きつけられるような建設的な対立軸をつくることができるかが問われる。

 国民の信頼を取り戻すことは与野党の責任である。政治の再生に向けて真の転換を図る時だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月31日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:土地土地の小売店で…

2022-01-03 05:06:25 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【余禄】:土地土地の小売店で…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:土地土地の小売店で…

 土地土地の小売店で地場の商品を手にする。旅行や帰省の楽しみの一つだ。島根県益田市を拠点に24店舗を展開する「キヌヤ」もそんなスーパーである。生産地が記載された生鮮食品や加工品が陳列棚にずらりと並ぶ

 ▲地元の農家や食品会社が手がけた産品を「ローカルブランド(LB)」と銘打ち、てこ入れを始めたのは2010年のこと。大手スーパーやディスカウントストアの進出で地場の小売店が守勢に立たされる中、地域経済への貢献を打ち出して差別化を図る戦略だった

 ▲売上高に占めるLBの割合は、10年かけて目標の20%にあと一歩のところまでこぎ着けた。市内の牧場と加工業者が連携して生産した牛乳や、益田産大豆で作った豆腐といったヒット商品も生まれた

 ▲対極にある大企業の強みは、世界に張り巡らせた供給網だ。安価で工夫を凝らしたプライベートブランドには経営のノウハウが詰まっている。とはいえ、大手ばかりが売り上げを伸ばせば利益は本社に吸い上げられる

 ▲必要なモノの幾ばくかを地域でつくり消費する循環が実現すれば、生産や流通に携わる人の生活を支えられる。地域経済の持続性も高まろう。無論それだけでビジネスは成り立たない。巨大資本や市場経済がもたらす効率性と地産地消を調和させるところに、商いの妙味がある

 ▲今年は久しぶりに帰省した方も多かろう。近所で仕入れた食材で郷土の味に舌鼓を打ちつつ、暮らしに根付いた新しい経済のありように思いをはせたい正月である。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2022年01月03日  02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:<新日記三百六十五日の白…

2022-01-03 05:06:20 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

【余禄】:<新日記三百六十五日の白…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:<新日記三百六十五日の白…

 <新日記三百六十五日の白 堀内薫(ほりうち・かおる)>。新たな日記帳を開けば、まだ何も記されていないまっさらな月日が白く希望に輝いている年明けである。今年はそこにどんな出来事がつづられることになるだろう

 ▲2022年は小紙が1872(明治5)年に創刊されて150年となる。150年といってもとらえどころがないが、ちょうど真ん中の折り返し点が1947年、戦後間もなく新憲法が施行された年といえば少し実感がわくだろうか

 ▲振り返れば、前半の日本は19世紀世界にうまく適応して近代化できたが、その軍事的な「成功」にとらわれて20世紀の文明への適応に失敗し破滅した。その後半は米国の主導する世界に適応して経済的な大成功を収めたが……である

 ▲パンデミック第3年を迎え、コロナ後の世界の構想が問われる今年である。だが、前世紀末からの長い経済停滞を生きる日本人は、コロナ禍においても国力の退潮を痛感し、少子高齢化のなかで時代の方向感覚の失調に苦しんでいる

 ▲これも多様性や脱炭素をキーワードとする21世紀の文明への適応を、前世紀後半の成功体験が邪魔したのか。歴史はくり返すのかとため息も出る。だが、幸いにも今年の日記はまだ真っ白で、その記述はこれからの選択次第で変わる

 ▲明治や戦後の人々がそうできたように、私たちは21世紀の世界で歩むべき道を見いだせるだろうか。「150年」後へ新たに踏み出す小紙も共にそれを考え、探究し、論議するメディアでありたいと願っている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2022年01月01日  02:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:五輪も政権もコロナに翻弄された2021年…

2022-01-03 05:06:15 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【余禄】:五輪も政権もコロナに翻弄された2021年…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:五輪も政権もコロナに翻弄された2021年…

 五輪も政権もコロナに翻弄(ほんろう)された2021年。

 いろはカルタで振り返る。

 【い】いけー!璃花子(りかこ)【ろ】露骨な軍集結【は】白寿まで恋バナ寂聴(じゃくちょう)さん【に】ニューヨーク、ニューライフ【ほ】報じる執念、平和賞【へ】変異で知ったギリシャ文字【と】と/う/しば分割【ち】知の巨人旅立つ【り】立憲ふらり「路線」の旅【ぬ】拭えぬ疑惑も強シンゾー【る】ルール無用のリコール署名【を】重い軽石被害【わ】我が身省みずほ【か】画面越しの平和の祭典【よ】4冠でも道半ば【た】誰の声を「聞く力」【れ】レイレイはどっち?【そ】総務省七光り接待【つ】翼広げたパラ開会式【ね】ネバーギブアップ核廃絶【な】内部告発でFBメタメタ【ら】楽観にスガって幕【む】無理やりの森友封じ【う】宇宙でやがてセレブ婚【ゐ】異郷で無念、入管の闇【の】ノーと言えぬ石炭火力【お】王者の証しグリーンジャケット【く】軍政に抗議の3本指【や】辞メルケル【ま】マナベばいつかノーベル賞【け】権力習中【ふ】文通するのに100万円【こ】ごっつぁん理事長【え】エンジンはないねん【て】天高くツバメ舞った秋【あ】あれ、COCOAどこ?【さ】サイゴンかぶーる陥落【き】銀ぶら男爵【ゆ】夢の満票、賞タイム【め】名横綱は孤高の花道【み】見せる野球がシンジョー【し】10万円で混乱分配【ゑ】えせ統計は消しゴムで【ひ】火の車半導体【も】盛られ続けた土砂リスク【せ】選挙より占拠のトランプ流【す】捨てマスク【京】きょうの祈り、鎮魂の10年

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2021年12月31日  02:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張】:コロナ禍と経済 感染抑止し着実な回復を 賃上げ実現へ生産性を高めよ

2022-01-03 05:04:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【主張】:コロナ禍と経済 感染抑止し着実な回復を 賃上げ実現へ生産性を高めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:コロナ禍と経済 感染抑止し着実な回復を 賃上げ実現へ生産性を高めよ 

 年が明けても、新型コロナウイルス禍が経済の重しとなっている状況に変わりはない。

 オミクロン株の蔓延(まんえん)で感染第6波が深刻化しないか。行動制限が強まることはないか。あるいは欧米や中国などの海外経済がコロナ禍で再び悪化し、頼みの外需に期待が持てなくならないか。

 令和4年の日本経済も、コロナ禍に左右される不確実性の高さから逃れられそうにはない。

 ただし、リスクを減らすことはできる。感染拡大を抑制することは大前提である。むしろ、その徹底が、最も効果的で優先すべき経済対策だと言い換えてもいい。

 ◆家計の貯蓄増を消費に

 感染力の強いオミクロン株の市中感染が広がりつつある中、いきなりゼロコロナを目指すのは無理がある。大切なのはコロナといかに共存するかだ。昨秋以降の行動制限緩和で再開してきた経済活動を維持できるかどうかである。

 そのためにも、医療崩壊に陥るような深刻な事態だけは回避しなくてはならない。3回目のワクチン接種を可能なかぎり前倒しすべきは当然だ。飲み薬の供給にも万全を期したい。政府が果たすべき責務は引き続き大きい。

 コロナ禍に伴い人為的に消費を抑制してきたことなどにより、貯蓄が急増している。昨年9月末時点で2千兆円目前まで膨らんだ家計の金融資産残高は、その半分以上が現金・預金だ。

 内閣府によると、2年度の家計貯蓄の増加額は29兆円近くにのぼる。景気を着実に回復させていくためには、家計の貯蓄を「リベンジ消費」につなげる流れを確かなものとしなければならない。

 政府は早ければ今月にも観光支援策「Go To トラベル」を再開することを検討している。旅行需要の喚起や地域経済の活性化に即効性が見込める政策だが、実施する際には、感染状況を慎重に見極めてもらいたい。

 行動制限の再強化が必要な事態を招くことになれば、元も子もないからだ。家計にため込まれた貯蓄を生かす機会も失われる。

 コロナ時代の経済には感染拡大以外にも懸念がある。とりわけ資源価格などの世界的な高騰や、これに追い打ちをかけて輸入物価を押し上げる円安がそうだ。

 昨年11月の国内企業物価指数が前年同月比で9・0%上昇となるなど、企業間で取引される価格はすでに極めて高い水準だ。このコスト増が企業収益を圧迫する。さりとて販売価格に転嫁されれば家計には大きな打撃となる。

 インフレが顕著な欧米と比べると日本の消費者物価はなお低水準で、11月の消費者物価指数上昇率は0・5%だ。もっともこの数値は、携帯電話の通信料値下げで1・5ポイント程度押し下げられたとされるから、この影響を除けば日本でも物価の騰勢は明らかだ。

 ◆物価上昇に懸念拭えぬ

 経済に勢いがあり、賃上げを伴う形で物価が上昇する状況ならば望ましい。だが、長年にわたり賃金が伸び悩む中、物価のみが上昇するというのでは話が違う。

 ガソリン価格は依然高水準であり、食料品値上げの動きも広がっている。生活必需品の価格高騰は低所得層ほど深刻だ。コロナ禍で非正規労働者などの所得環境が悪化し、格差の広がりが懸念される中で消費者心理が冷え込めば、消費回復も期待しにくくなろう。

 その点で岸田文雄政権が取り組んでいる賃上げの促進は極めて重要かつ急務である。ただし、主役はあくまでも民間企業だ。

 賃上げには原資となる収益の拡大が必要である。それには日本企業の積年の課題である生産性向上が欠かせない。日本の時間当たりの労働生産性は先進7カ国(G7)で最も低く、米国の6割だ。経済協力開発機構(OECD)加盟の38カ国中でも23位である。

 生産性を高めるには、成長性の高い分野に人材や資金、設備を投入するのが本筋だ。そのための設備投資や人材育成はもちろん、デジタル技術を駆使した新商品・サービスの開発やネットによる販路開拓など、付加価値を高める経営の変革が求められよう。

 事業環境や労働者の働き方が激変した今は、経営を抜本的に見直す好機でもある。これはコロナ禍で苦境に立つ企業だけでなく、業績が好調な企業も同じだ。コロナ時代の対応が、5年先、10年先の成長を左右する分岐点になると認識しておきたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2022年01月03日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【産経抄】:今月1日に97歳で亡くなった宗教哲学者の池明観さんは、

2022-01-03 05:04:40 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【産経抄】:今月1日に97歳で亡くなった宗教哲学者の池明観さんは、約20年間の日本滞在経験を持つ韓国屈指の知日派である。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄】:今月1日に97歳で亡くなった宗教哲学者の池明観さんは、約20年間の日本滞在経験を持つ韓国屈指の知日派である。

 平成15年の夏、その存在が一躍注目された。「私がT・K生でした」とソウルで名乗り出たのだ。

 ▼といっても、若い世代は何のことやらわかるまい。話は、岩波書店の雑誌「世界」で昭和48年から63年まで連載された「韓国からの通信」にさかのぼる。朴正熙、全斗煥両政権の人権弾圧と民主化への動きを伝えたものだった。

 ▼筆者をT・K生と仮名にしたのは、池さんと家族の安全と情報源の保護を考慮したためだ。大統領が直接選挙で選ばれるようになり、韓国に民主主義が定着したと確信して、実名の公表に踏み切ったと語っていた。

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 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【産経抄】  2022年01月03日  05:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:22県内政局展望 選挙の年、知事選が天王山

2022-01-03 05:03:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説】:22県内政局展望 選挙の年、知事選が天王山

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:22県内政局展望 選挙の年、知事選が天王山

 2022年は、沖縄の針路を決める非常に重要な年となる。7市11町村で首長選挙、30市町村で議会議員選挙が実施される統一地方選挙のほか、国政は3年に1度の参院選がある。中でも秋の県知事選は天王山だ。今年はいわゆる「選挙の年」である。

 新型コロナウイルスの感染症対策は引き続き県内、全国でも喫緊の政治課題だ。新種のオミクロン株が徐々に広がり、油断できない状況の中、備えが要る。医療従事者や病床など医療体制の確保、コロナ禍で傷ついた経済の立て直しも政治に求められる。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題も引き続き大きな政治課題だ。この問題を巡っては、軟弱地盤が見つかり改良工事が必要なため国の試算では、完成までに12年、工費は約9300億円に上ることが判明。県は国の設計変更申請を不承認とし新局面に入った。一方、10年ごとの期限切れに伴う沖縄振興特別措置法は4月から新たな仕組みとなる。
 1月の名護市長選、夏の参院選、秋の県知事選や宜野湾市長選、那覇市長選では、これら政治課題への対応に対する評価が大きな争点になる見通しだ。コロナ対策の成否も問われる。
 これらの選挙では、辺野古新基地建設に反対する勢力でつくる「オール沖縄」と、自民、公明両党協力の下に集まる勢力が事実上全面対決となる構図になりそうだ。その中で、2014年の知事選で故翁長雄志氏が当選し、玉城デニー知事が引き継いだ8年間の「オール沖縄」県政への評価が問われる。自公政権による国のかじ取りの是非も併せて投票行動の鍵を握る。
 参院選では「オール沖縄」が支持する現職の伊波洋一氏に対し、自公勢力が誰を擁立するかが注目される。同じように知事選では玉城知事が引き続き出馬する見通しの中、自公勢力が誰を対抗馬に選ぶかが当面の焦点だ。
 市部では、1月23日投開票の名護と南城の市長選を皮切りに、2月27日の石垣市長選、4月24日の沖縄市長選と続く。秋には宜野湾市長選のほか、豊見城市長選、県都・那覇の市長選も行われる。町村では、八重瀬町、読谷村、金武町、久米島町、与那原町、南風原町、南大東村、本部町、伊是名村、大宜味村、渡嘉敷村で首長選挙が実施される。30市町村では議員選挙もある。
 これらの選挙で各地の有権者は、まちづくりや暮らし、教育や福祉など多岐にわたる身近な問題について、各候補者の政策を見極めて投票先を決める必要がある。
 今年は沖縄が日本に復帰して50年の節目だ。県民所得は依然、全国の中で最低水準で、貧困問題を抱えている。米軍基地の集中は変わらず、新たに自衛隊の配備も進んでいる。50年を振り返り、50年後の沖縄をどうしたいか。投票の際には、そんな長期的な視点も問われる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:新年を迎えて 民意と自己決定権貫こう

2022-01-03 05:03:40 | 【第二次世界大戦・軍部の功罪・戦後80周年・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

【社説】:新年を迎えて 民意と自己決定権貫こう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:新年を迎えて 民意と自己決定権貫こう 

 2022年を迎えた。今年は沖縄の施政権返還(日本復帰)から50年の節目に当たる。半世紀前に琉球政府が日本政府と国会に求めたのは、自己決定権の確立であり、民意を尊重することであった。

 県民が求めた新生沖縄県は復帰によって実現しただろうか。残念ながら「否」であろう。では先達が示した原点に立ち返り、その意思を実現しなければなるまい。
 思い起こすのは、復帰後の沖縄の将来像を示した「屋良建議書」である。建議書の「はじめに」は、沖縄戦や米国統治など日米両政府の「犠牲」になり「手段」にされた構図からの脱却を強調。基地撤去を前提に日本国憲法下で基本的人権が保障され、県民本位の経済開発など自己決定権の確立を基本理念に据えた。中央と地方は対等であるという、後の地方分権一括法(2000年)を先取りしている。
 ところが、米国は日本に沖縄の施政権を返したが基地の自由使用権は手放さなかった。このため復帰前と変わらず米兵による事件・事故や、環境汚染などの基地問題が繰り返されている。
 一方、日本政府は安全保障と外交の政策決定について国家の専権事項と主張し沖縄側を排除してきた。不平等な日米地位協定の抜本的な見直しを拒み、名護市辺野古の新基地建設に反対する沖縄の民意に向き合おうとしない。
 日米は沖縄の地理的優位性を強調する。在沖海兵隊幹部は、沖縄を起点に半径2000キロの円を示してこう説明する。「世界最大の武力が集中し、特に中国は軍事力を増大している。沖縄の基地の存在が抑止力になっている」
 視点を変えてみよう。国土事務次官を務め戦後の全国総合開発計画を牽引(けんいん)した下河辺淳という人物がいた。屋良主席時代から沖縄振興計画に関わり、米兵による少女乱暴事件をきっかけに県民の怒りが爆発し大田県政と橋本政権が厳しく対立したとき、両者を仲介した。その時、下河辺氏は「沖縄3000キロ構想」を提言した。
 米軍と同様に沖縄を起点に半径3000キロの円を描き、軍事面の安全保障に偏らず、経済交流・文化学術交流を通して域内の総合的な安全保障につなげようという構想だ。
 下河辺氏の構想は、沖縄の民意を尊重して、米軍普天間飛行場を閉鎖し辺野古新基地計画を撤回した上で、国連平和機関を誘致することにもつながる。そのほうが「基地のない平和な島」(「屋良建議書」)に近づくだろう。
 問題は沖縄の主体性だ。この50年間、あらかじめ基地問題の解決を排除した沖縄振興計画、他県と異なる一括計上方式による県予算編成が、自立の気構えと県の政策立案能力を弱体化させていないか。
 玉城デニー知事は復帰50年式典で新たな建議を発信する意向だが、むしろ未達の「屋良建議書」に一歩も二歩も近づくことこそ優先すべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:初体験の多い1年に

2022-01-03 05:03:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:初体験の多い1年に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:初体験の多い1年に

 最高齢は98歳―。名護市のデイサービス喜福の利用者14人が練習期間わずか2カ月弱で珠算検定に合格した。リハビリや脳トレの一環で週2回、そろばん教室を始めたというが、利用者の生き生きとした姿からはそれ以上のものを感じる

 ▼「年をとるということは、日々何かを失っていくこと。でも学べば頭の財産が増えていく」と話すのは、米アップルのティム・クックCEOに「世界最高齢のプログラマー」と称された若宮正子さん
 ▼今年87歳の若宮さんは60歳を過ぎてパソコンを使い始め、82歳でスマートフォン向けアプリを開発した。著著「独学のススメ」では、定年後に頑張らず楽しみながら学び続けるこつを説く
 ▼「怖がらずに飛び込む」「飽きたらやめちゃえ」。年を重ねると新しいことを始めるのがおっくうになったり、尻込みしたりしてしまう。そんな中年層にも若宮さんの言葉は響く
 ▼初売り、初日の出、初夢。新たな年の始まりらしく「初」が躍る。今年は年の初めだけでなく、年間通じて「初めて」を経験する1年にしたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年01月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:復帰100年への一歩

2022-01-03 05:03:20 | 【第二次世界大戦・軍部の功罪・戦後80周年・東京大空襲他・犠牲者へ無補償

【金口木舌】:復帰100年への一歩

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:復帰100年への一歩

 突然、教室に爆音が響き、先生の声が聞こえづらい。米軍普天間飛行場に隣接する沖縄国際大で学んでいた当時の体験だ。防音が不十分な教室の場合、米軍機が上空を通過するたびに集中力が途切れ、講義が中断したこともある
 ▼4年次に米軍ヘリが構内に墜落し住宅地や学校の間近に基地がある危険を実感した。墜落から8月で18年。生活圏の上空を米軍機が飛ぶ状況は変わらない

 ▼故・大城立裕さんの小説「普天間よ」の終盤、主人公の女性が琉球舞踊を舞う中、米軍ヘリの爆音が稽古場に響く場面がある。ヘリが去っても踊りは音楽と調和し乱れない
 ▼大城さんは「爆音にあらがって踊り抜くストーリーもアイデンティティーがテーマにある」と語った。琉舞の基本の歩みや所作を身に付けたウチナーンチュの自らの文化に対する自信を感じる
 ▼今年は復帰50年。50年の歩みを振り返り、次の50年を見据えて沖縄の将来像をどう描くか。爆音や不条理に屈せず、足元の文化に自信を持って力を蓄え、復帰100年への1歩目を踏み出す新年にしたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年01月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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