【関電金銭問題】:原発再稼働影響も ■政府関係者「ダメージ計り知れない」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【関電金銭問題】:原発再稼働影響も ■政府関係者「ダメージ計り知れない」
関西電力の会長ら20人が、高浜原発を抱える福井県高浜町の元助役から総額3億2千万円相当の金品を受領していたことが9月27日、判明した。資金の出元は関電から関連工事を受注していた建設会社とみられ、電力会社と立地側の後ろ暗い関係が表面化した。東京電力福島第1原発事故で大きく損なわれた原子力政策への国民の信頼は一層低下しかねず、各地の原発再稼働にも影響が出る可能性がある。

関西電力本店で開かれた臨時記者会見。右手前から2人目は岩根茂樹社長=9月27日、大阪府大阪市
●配慮
「そのような認識はない。対価的行為もなく、工事の発注も社内ルールに基づいて適切に実施した」
27日午前、大阪市北区の関西電力本店で開かれた臨時記者会見で、岩根茂樹社長は謝罪する一方、資金還流や不正の認識を強く否定した。
金品を渡した人物との関係について「支障が出ると、原子力の運営に悪影響が出るのではと思った」などと繰り返し言及した岩根社長。地元で「陰の権力者」とも呼ばれた元助役への配慮をうかがわせた。
●共存
原発事業を円滑に進めたい電力会社と、経済効果を期待する地元側の“共存”関係が垣間見える今回の問題。原発事故で今も全町避難が続く福島県双葉町の伊沢史朗町長は「他の立地自治体でも同じ構図があると思われるのは遺憾だ」と怒りをにじませる。
第1原発は1号機が運転を開始した1971年から事故までの約40年間、雇用や税収などで地元に経済効果をもたらしてきた。「事故前は、町が原発と共生するという感覚はあったかもしれない」と認めるが、「本来、われわれはお礼される側だ」。関電側に金品を提供していた元助役のケースは異様に映るという。
関電は他に美浜原発、大飯原発(いずれも福井県)を持つ。これらの原発について、関電は同様の事案は現時点で把握していないと説明。詳しい調査をするかどうかは「今後の検討」とした。
●盟主
原発事故で賠償などの対応に追われる東電に代わり、関電は電力業界の盟主として存在感を高め、岩根社長は電気事業連合会の会長も務める。原発への世論の風当たりが根強い中、再稼働に望みをつなぐ業界内で「停滞する原子力政策を前に進め、業界を引っ張っていくリーダー」(大手電力関係者)としての期待を一身に背負ってきた。それだけに、業界のみならず、再稼働を進めたい政府にとっても今回の問題の衝撃は大きい。経済産業省は27日午前、関電幹部を急きょ呼び付け事情聴取した。
ある政府関係者は「ここまで不透明な関係が、原発事故を経た今も続いていたと明るみに出たダメージは計り知れない」と指摘。「再稼働のために金をばらまいていたならまだ理屈は付くが、電力会社側が逆にもらっていたなんて」と憤る。
原発を持つ電力会社関係者は吐き捨てるように言った。「国民の不信感がさらに高まるのは間違いない。原発事故後、信頼回復に向けて努力してきたことが水の泡だ」
元稿:福井新聞社 主要ニュース 社会 【企画・連載・原発・関西電力・役員ら20人が福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から金品を受領していた問題】 2019年09月28日 00:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。