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ある冬の朝のできごと

2008-12-18 22:46:46 | Weblog
いつものように8:03発の電車は千里北部の住宅街と団地の中の
始発駅「北千里駅」から大阪都心へ向けて走り出した
僕もまたいつもと同じ席に向かい、walkmanで朝の音楽タイムが始まる

その各駅停車はたくさんの車が行き交う中央環状・中国道を越え、大阪モノレールと交差する山田駅へ
北千里駅でわずかに空いていた席はここで埋まり、立つ人も出てくる

その後、電車は阪急電鉄唯一の山岳トンネルを越え、南千里駅に到着
千里線で関大前・北千里に次いでの乗降客数のこの駅で車内はだいぶ混んで来る

朝の通勤ラッシュ 約5分間隔で天下茶屋行きと梅田行きが発車する
ほぼ並行する地下鉄御堂筋線(北大阪急行)みたいに主要な場所やターミナルを
行くわけではなく、ほんと住宅街の中を行く阪急千里線
住宅街の中を無理矢理行く急カーブもあるためMAX35kmの区間もあるほど
わりとのんびりと行く京都線の支線である

そのノロノロ運転がスタートするのが低規格の南千里以南
開通当時の終点「千里山駅」に定刻8:10に到着
眠たい日ならこの辺で眠りの世界に落ちている
そんな今日もウトウトしかけで、千里山駅を発車

・・・グラッ キキッ・・・
??
発車して間もなく、急ブレーキ!いや非常ブレーキのような 車内が大きく揺れる
ウトウトしてたのもあって、「あれっ?もう次の駅着いたのか?」と思って
外を見ると駅を出てすぐの踏切で停車 踏切での接触事故かなっと思ったら・・
ちょうど、次の駅の案内をしようとして、放送マイクを持っていたタイミングであろう
車掌さんの声が車内放送で響いた
「どうしました?」

通常の状態では、車内にそんな呼びかけをする事はない
車内の「緊急通報ボタン」が押され、非常ブレーキがかかったようだ
そして、それに対する応答がタイミング的に車内放送に流れたのだ
どうやら外的要因でなく、車内で何かが起きたみたい
その後、車内放送は切れ・・しばらく沈黙
混んだ朝の阪急電車もみんな???状態で軽く騒然状態
痴漢かなぁ?なんて思ってたら

と、間もなく
「お客様に急病人が出た為、運転を見合わせております。しばらくお待ちください」
とアナウンス
そして、しばらくして後方の扉を大きな音で車掌が走って入ってきて
「失礼いたします。お通しください」と混んだ車内の乗客を掻き分けてさらに前方に進んでいった
大丈夫かなぁと思ったけども事態も読めない

数分後、車掌が先頭側から戻って来て、最後尾に戻っていった
と、しばらくして、息を切らした声で車掌が
「急病人発生の為、停車しておりました。間もなく発車します」
と電車は進み、結局5分遅れくらいで次の関大前駅へ

関大前駅に到着
普通に扉が開いたが、なかなか閉まらない と、ホームから人の激しく走る音が何度もする
と、先ほどの車掌じゃない声で車内アナウンスが流れた 運転手だろうか?
「ただいま、急病人対応の為、電車の出発を見遅らさせていただいております。
ただいま、救急車を呼びました。しばらくお待ちください」
あっ、重症なのかな・・・と。ざわつくほどではないが、少し騒然とした車内に。

ホームに出て、もしくは小声で携帯で喋る人もチラホラ 会社に連絡しているのであろう
自分も大丈夫かなぁなんて、思ってたら救急車の音が聞こえてきた。
その間も何度か状況を知らせるアナウンスが流れる
「ただいま、救急隊が対応中です。しばらくお待ちください。」
「救急隊が搬送の準備をしています。しばらくお待ちください。」
「救急隊に引き渡しました。もうしばらくお待ちください。」
どうやらすぐ隣の車両で起きたみたいだ

普通じゃない状態に自分も時間の感覚がなくなるほど
さらに2.3回「お急ぎのところ大変申し訳ございません」とお詫びのアナウンス後
扉が閉まり、電車が動き出した

ふと、ホームを見ると、倒れた中年の男性に心臓マッサージを必死でする救急隊員たちの姿が
大丈夫かなぁ・・・なんて思ってたら、すぐに電車は駅から離れていく
そんな姿を見てたら、会社に遅刻とか、小さいことなんやなって吹っ切れた。

豊津駅へ向かう車内では
「大変ご迷惑をおかけしております。この車内で急病人が発生したため、
 ただいま、関大前駅を14分遅れて出発しております。」
と、時計を見て逆算。自分の降りる扇町へは何時に着くのかなぁって現実に戻り計算。
なんて、思ってたら、続くアナウンスに心打たれた。


「急病人発生の連絡をしていただき、並びに心臓マッサージのご協力大変ありがとうございました」
って。


あっ、・・・と。
その時、隣の車両の周りの人たちは協力して、倒れたその人へ緊急の処置をしたんだなって。
緊急のボタンを押した人。その混んだ車内で、心臓マッサージをした人がいたんだって。

普段、電車に乗ってたら、隣の人は赤の他人。まず話しかけたりもしないし、ほとんど気にもかけない、
それが当たり前の朝の通勤電車。温かい心を感じる瞬間は、席を譲るシーンを見るときくらいだけど。
そんな緊急事態には、周りの人が協力して精一杯尽くしたんだなって。
そのおじさんが倒れはってから救急隊員に引き渡すまで5,6分程のことなんだろうけど
その間に、きっとすごいそこはすごい温かい心で、みんなでその人を助けようというスピリットが
あったんだろう。
カーラーの救命曲線的にもほんとにその時間が重要なんだ。

中高の保健体育や教習所で心肺蘇生の実習はしたけど・・
自分ならそんな事出来るのかなって?「会社に遅れる~」バッカリ考えた自分に問いかけて
みると、なんかちっこいなぁと思った。
もし、自分が遅刻するくらいで、誰かの命が助かるなら、全然いいしって。
そして、自分が隣の車両に乗っていたら、そんな風に温かい心で積極的に行動が出来たらいいなって。
そんな人間になれたらなって。

そして、マニュアルには決して無いであろう、車掌さんのお詫びとお礼の言葉。
うわべじゃなくて、丁寧なそのアナウンスは、まるで車掌さんがその倒れたおじさんのセリフかのように
とても気持ちが伝わってきて、すごく気持ちよかった。

恥ずかしかったから出来なかったけど、ほんと心の中では大拍手、スタンディングオベーションしてた。
ほんと胸温まるそんな今朝の出来事。

結局、そのおじさんがどうなったのか知らないけど
その周りの温かい人たちの協力が無駄にならないように
一命を取り留めてくれていたらいいんだけど。これは祈る限り・・・・

その後、3本分の電車の乗客が各駅で乗ってきて超満員の車内でリアルに体が熱くなり
扇町の駅から会社まで軽く小走りで走り、体もさらに熱くなったけど・・・
(いつもかなり余裕見て会社行ってるんで、全然遅刻にはなりませんでした)
※AED設置に積極的な街の動きも嬉しいですね
コメント (1)
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