Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

消失の惑星

2023-01-13 08:42:39 | 新音律

ジュリア・フィリップス「消失の惑星」早川書房(2021/2).

Amazon の紹介*****
カムチャツカの街で幼い姉妹が行方不明になった。事件は半島中に影を落とす。2人の母親、目撃者、恋人に監視される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民の母親……女性たちの語りを通し、事件、そして日々の見えない暴力を描き出す、米国作家のデビュー長篇
*****

アメリカ女流作家による,ロシア・カムチャッカ半島を舞台とする小説.地図ページが有用.原著の出版は 2019 年.

八月,九月,...,七月の全 13 章.12 ではなく 13 なのは「十二月三十一日」という章があるため.最初の八月でふたりの幼い姉妹が拉致される.この事件についての具体的な記述は,最後の六月と七月まで待たなければならない.そこに至るまでの各月には,それぞれ女性が登場し,独立した短編として読める.ただし小説的な結末があるとは限らない.最初の拉致事件は通奏低音として奏でられるが,有機的に各編と絡み合っているわけではない.

カムチャッカ半島の住人はロシア人すなわち白人と先住民で,人種差別が背景にある.レズを扱った章もある.ソ連時代の記憶が残る時代設定.

原題 Disappearing Earth.この邦題とした理由を知りたいところ.
図書館で借用.

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