Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「運命の裏木戸」

2023-01-03 09:20:02 | 読書
アガサ・クリスティー,中村 能三 訳,早川書房 (ハヤカワ クリスティー文庫 2004/10).

実質的にはクリスティー最後の長編.1993 年の刊行時,著者は 83 歳.ミステリ通を自認する友人に「つまらなかった!」と言われ,読まなかった作品.
いくつまで生きるか? ではなく,いくつまで仕事ができるか? 83 歳で書いたミステリとはどんなものか...という興味で,図書館で借りてみた.

「BOOK」データベースより*****
長閑な生活をおくるべく、トミーとタペンスは田舎の家へ引っ越した。が、家で発見した古本には「メアリは自然死ではない」とのメッセージが!メアリという育児係が、のちにスパイ容疑をかけられ、不可解な死を遂げたことを知った二人は、大々的に聞き込みを開始する。すてきに齢をかさねた老夫婦探偵の大活躍。*****

登場するのはほとんど老人.探偵夫婦はともに 75 歳.83 歳のクリスティーは「10 年くらい前は元気だった」と思いながら執筆したのだろう.
内容は,昔のことを聞き込みしているだけなのに突然殺人事件が発生.国際犯罪組織らしいものが浮かび上がって,殺人がうやむやのうちに終わるのは,ミステリとしてはよくあることだが,読んで損した感じは否めない.
まぁ少なくとも,ストーリーに論理的な破綻がないことを評価すべきか,とは思う.
自分がイギリス人で,エッセイとして読めば,童話とか,トミーとタペンスの昔の事件とか,その他会話の随所に散りばめられた蘊蓄を,老人のための老人の著書として楽しめたかもしれない.

Wikipedia によれば,タイトル「運命の裏木戸」 原題 Postern of Fate は James Elroy Flecker の詩 Gates of Damascus によるのだそうだ.このことについて,解説 (大倉崇裕) してくれてもいいのに.
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