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現代カタストロフ論

2023-01-12 09:26:44 | 読書

金子勝,児玉龍彦「現代カタストロフ論 - 経済と生命の周期を解き明かす」岩波書店 (岩波新書 2022/12).

Amazon の紹介*****
コロナ禍の中で見えてきたのは,「周期的な破綻(カタストロフ)」という問題である.経済学と生命科学が専門である著者たちは,現在が50年周期の大転換点にある,とする.現代化したカタストロフ論の視点から,日本と世界が陥っている現状を経済と生命の両面から解き明かし,迫りくるカタストロフへの具体的対処法を示す.*****

カタストロフィー理論 (カタストロフ理論) は 1970 年代に話題になった.入門書くらいは読んだ.トップ左の画像を覚えている.Wikipedia によれぱ,これはホイットニーの定理「曲線から平面への滑らかな写像はすべて,適当に微小な変形をすることによって,その特異点が折り目とひだ (尖点,カスプ) だけになりうる」ことの一例を示している.

カタストロフ(ィー)ということぱを耳にするのは久しぶり.
いっぽう,日本経済がいわゆるカタストロフィーを迎えようとしていることは明らかである.この本は,カタストロフ(ィー)理論を発展させ,財政破綻,日銀ネズミ講,コロナ禍,ロシアによるウクライナ侵略,地球温暖化などの問題を,数学的に快刀乱麻を断つように扱ってくれるもの...と期待したが,裏切られた.

「周期的」という形容詞が頻出するが,フーリエもウェーブレットも現れない.「経済と生命の両面から解き明かし」とあるが,著者のひとりによる生命の部分,新型コロナウィルスの周期的変異の記述はやや理科的.しかし大局的にはここ数十年から現在に至る経済史が,文科的にずらずらと書かれているにすぎない.

アベノミクス批判は小気味良かった.ぼくが期待したものとは違ったが,ニッポンという泥舟がズブズブと沈みつつあることはよくわかった.それなりに面白くためになったと,言えなくもない.

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