ロバート・F・ヤング,伊藤典夫 編集.河出書房新社 (2013/5/30)
アマゾンの内容紹介*****
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
丘の上にいたのは、たんぽぽ色の髪が風におどる、未来から来た女。甘い出会い、ほろ苦い人生、そして時を超える愛……
永遠の名作「たんぽぽ娘」を名訳と定評のある伊藤典夫訳(改訳決定版)で収録する、待望のヤング傑作選。
著者ロバート・F・ヤングは、生涯で200編近い短編を遺した。その魅力を日本で初めて紹介した名訳者・伊藤典夫による編集でおくる。
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13編からなる SF 短編集.そのうち7編は伊藤典夫による本邦初訳.
解説は,目次順に解題してはいないが,作品の時代背景の指摘などが深い.ヤングへの愛情が感じられるが,長編は読むに値しないとはっきり書いてあったりする.
表題作は「ビブリア古書堂」に登場して一躍有名になった,らしい.
伊藤さんが編集にあたって特化したのは「ボーイ・ミーツ・ガールもの」とのことだ.「たんぽぽ娘」はその典型.氏は「わが国でたんぽぽ娘が高い評価を受けたのは,この作品が日本人の感性にうまく合うところがあったから」とおっしゃるが,ぼくの感性にも合うところがあった.
「神風」「失われし時のかたみ」「荒寥の地より」など後期の作品の特徴は「死の影」だろう.「河を下る旅」のように『ボーイ・ミーツ・ガール』に『死』が加味された作品もあるが (「神風」も,だが),「河...」は若い時の作らしくハッピーエンド.
エスエフ大好きだったが,ヤングの作品が盛んに日本に紹介されるようになったのは,その学生時代から二十年後あたりらしい.
表題作は初めて読んだはずなのに,不思議なことに既読感があった.
図書館で借用.
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