羽田圭介「御不浄バトル」集英社文庫 (2015/10).
大学出の主人公が就職したのが悪徳教材販売会社で,バトルは彼と会社との間に繰り広げられる.ただしトイレ個室の争奪戦もまたバトルである.トイレの個室は憩いと逃避の空間で,彼はここでオムライスを食べたり,オナニーしたり,ダッチワイフを抱いたりする.全体の実に2割がトイレ場面.ただしスカトロジー方向には踏み込まない.
社会学者・古市憲寿氏は会社とのバトル場面を縦糸,トイレ場面 (プラス,会社での日常や,能天気な彼女とのセックス) を横糸と言っているようだ.正直に言うと縦糸と横糸の関係にはたいした必然性は感じられない.でも横糸がなかったらつまらないとは思う.
おまけのようについている短編「荒野のサクセス」がつまらなく思えるのは,一本糸だからだろう.
初出は 2010 年で,今ほどブラック企業が話題になっていなかった.解説では著者の先見の明がたたえられている.
純文学らしく うじうじしたところが肌にあわず,ミステリのように一気読みはできなかった.今年度の芥川賞受賞作「スクラップ・アンド・ビルド」の方がよかった,というより,5年間で著者が進歩したというべきなのかもしれない.
関係ないけど...
「御不浄」は死語かと思っていたが,アメリカ人研究者とビールを飲んでいたら,彼が突然 go-fu-jp と言ってトイレに立ったのでたまげたことがあった.ぼくの英語もあるいは死語まじりかもしれない.
大学出の主人公が就職したのが悪徳教材販売会社で,バトルは彼と会社との間に繰り広げられる.ただしトイレ個室の争奪戦もまたバトルである.トイレの個室は憩いと逃避の空間で,彼はここでオムライスを食べたり,オナニーしたり,ダッチワイフを抱いたりする.全体の実に2割がトイレ場面.ただしスカトロジー方向には踏み込まない.
社会学者・古市憲寿氏は会社とのバトル場面を縦糸,トイレ場面 (プラス,会社での日常や,能天気な彼女とのセックス) を横糸と言っているようだ.正直に言うと縦糸と横糸の関係にはたいした必然性は感じられない.でも横糸がなかったらつまらないとは思う.
おまけのようについている短編「荒野のサクセス」がつまらなく思えるのは,一本糸だからだろう.
初出は 2010 年で,今ほどブラック企業が話題になっていなかった.解説では著者の先見の明がたたえられている.
純文学らしく うじうじしたところが肌にあわず,ミステリのように一気読みはできなかった.今年度の芥川賞受賞作「スクラップ・アンド・ビルド」の方がよかった,というより,5年間で著者が進歩したというべきなのかもしれない.
関係ないけど...
「御不浄」は死語かと思っていたが,アメリカ人研究者とビールを飲んでいたら,彼が突然 go-fu-jp と言ってトイレに立ったのでたまげたことがあった.ぼくの英語もあるいは死語まじりかもしれない.