よみびとしらず。

あいどんのう。

GREEN

2021-04-11 10:50:09 | 散文
目から溢れだした光はこぼれてハラハラと散りゆく花びらの如くにそんな儚いものであるかと怒りにまかせてあげた咆哮は手のひらに太陽を受けとめて傷を負うそのなかに流れる血潮から海の息吹を求めて旅に出たわたしの身体は動かないままただ夜だけを欲して感情を喰らい尽くした不動の木立は光に晒され息を吐くまるで異なるあなたとわたしは同じ身体に住みついて背中合わせのくらいクライ思いは裏腹を厭(いと)うて朝日は昇るこんが . . . 本文を読む

リピート

2021-04-08 11:49:03 | 散文
目の奥に囚われた罪とがは目にうつる全ての景色に憎しみを与えた この世に歓びを感じるなかれと神様にそう言いつけられた可哀そうな悪魔の子眩しくて目も開けていられない現実を悔しくて仕方ないと頑張るあなたに春の日は穏やかに寒い冬を殺した   柔らかな木漏れ日に髪は靡(なび)いてあなた恋しやと風撫でるくらり立ちくらみ暗みに入(い)れば掌(たなごころ)まぶたに触れて温もりを知る早くおいでと赴くままにこっちには . . . 本文を読む

パレード

2021-04-07 11:00:47 | 散文
星にまぎれたものの正体は明かされることなく昨日になった明日を目指してどこまでも駆けてたどり着いた場所は成れの果て継(つ)ぎ接(は)ぎだらけの身体から受け継がれたのは悔し涙と同じ色した隠したい気持ちはいつも空回り空にからっ風吹けば歩みも難しといつも何処かで足止めをくらうそれは後に置いてきたものたちの思いから光だけ追い越して私はすぐに真夜中のさなかへ 蛹(さなぎ)似たかたちに包まればあたたかな布団の背 . . . 本文を読む

オセロ

2021-04-06 14:42:54 | 散文
シロの日に黒は全てを奪われクロとなるクロ染めるシロの儚さは真っ暗闇に落とされてなおも白色の光をまとった太陽とは異なるあなたの輝きシロの日にクロに贈られた花束を手向けたわたしに餞(はなむけ)られた大小さまざまな泡沫(うたかた)は踊るあなたは目ん玉を白黒させて大切なものの在処をその瞳の奥に閉じ込めた薄情なあなたから溢(こぼ)れた吐息に白色の煙は真実を語る空昇る雲は全てを見ていたその場所にあなたがいたこ . . . 本文を読む

FIRE

2021-04-05 13:37:44 | 散文
僕だけのものではない太陽に惚れて惹かれて虚しくなるも知らず頬の肉はゆるみ熱を持つ困ったものだと水を浴びれば世界は更に輝きを増したもう笑うしかない現実をあなたと笑いあったのは遠い夏の日取り残された思い出の写真も色褪せた儚い日々はその儚さを潔(いさぎよ)しとした写真嫌いなあなたの姿を頼みこんで撮り残せた一枚の写真をわたしは燃やした古ぼけたあなたの姿は灰となるそれはあなたの望んだ通りにあなたはわたしの手 . . . 本文を読む

サン

2021-04-02 10:13:15 | 散文
全てのいとなむ営みに活力を与えたのは明るい太陽僕は嫌いだと否定したそれでも無くならない身勝手な明日にささくれ立って噛みついたのはこっちを見て欲しかったからでは絶対にない絶対に違う間違った本音は誰にも僕にも見つからないよう頑丈な箱に押し込めたそれはいつしか宝箱となって輝きを増し見て見ぬ振りも難しくなって僕は地団駄を踏みたおすその美しさにもんどり打って拳をふるう触れることなど出来る筈もない拳は空をきり . . . 本文を読む

ケモノ

2021-04-01 11:15:00 | 散文
丸みを帯びて狼となるそんな風には見えなかったと見られたくなかったから必死に隠したそんな苦労も水の泡となるわたしの本音はモンスター獣じみた本質をあらわには出来ず月に託したどんどん満ちていくその姿からわたしは少しずつはみ出していく本性を取り繕うのは慣れたものだと指先はずっと微かに震えてたようやく訪れた明るい晩にそれでもわたしはお変わりないまま幾つもの皮をかぶって過ごす生臭い毎日にかぶっていた皮のひとつ . . . 本文を読む