よみびとしらず。

あいどんのう。

オセロ

2021-04-06 14:42:54 | 散文
シロの日に
黒は全てを奪われクロとなる
クロ染めるシロの儚さは
真っ暗闇に落とされて
なおも白色の光をまとった
太陽とは異なるあなたの輝き

シロの日に
クロに贈られた花束を
手向けたわたしに餞(はなむけ)られた
大小さまざまな泡沫(うたかた)は踊る
あなたは目ん玉を白黒させて
大切なものの在処をその瞳の奥に閉じ込めた

薄情なあなたから溢(こぼ)れた吐息に
白色の煙は真実を語る
空昇る雲は全てを見ていた
その場所にあなたがいたことも
自白促した口は閉ざされて
海の底深くに思い出は眠った
海の中に涙を残した人魚姫の夢に入(い)る
全てはシロもなくクロもなく

ぱちぱちと弾ける泡沫に
ひっくり返されたのはわたしの素顔
いつでも微笑み蔑(ないがし)ろにした
辺りは黒色に囲まれて
もうあとは染まるしかなかった遠い空から
あなたのシロ色の光は落とされる
黒はクロとなり反転されて現れたのは道の跡
あなたは何故そこにあるのかと問いもせず
ただ真っ直ぐにあなたを目指した
生まれ出ずる光はやがて収束し
全てはシロとなりクロとなる

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