よみびとしらず。

あいどんのう。

ケモノ

2021-04-01 11:15:00 | 散文
丸みを帯びて狼となる
そんな風には見えなかったと
見られたくなかったから必死に隠した
そんな苦労も水の泡となる
わたしの本音はモンスター

獣じみた本質を
あらわには出来ず月に託した
どんどん満ちていくその姿から
わたしは少しずつはみ出していく
本性を取り繕うのは慣れたものだと
指先はずっと微かに震えてた

ようやく訪れた明るい晩に
それでもわたしはお変わりないまま
幾つもの皮をかぶって過ごす生臭い毎日に
かぶっていた皮のひとつを指で弾いた
随分と醜くなったものだと悦に入り笑う
狼からはもう疾(と)うにかけ離れてしまった
明るい月夜は苦しくて
カーテンを閉めたままわたしは眠る

畢竟(ひっきょう)自分の姿は分からないままヒトリの夜は更けていく

猫も羊も愚鈍な生身も
全てにかぶりつき血肉となりて
わたしはどなたかとわたしに問うた
自分の姿に頓着もない月は
新たな光に向かって少しずつ静かに欠けていく
わたしもどんどん小さくなって
心優しき本心はその内側にかそけく灯る
真っ暗な夜を迎えいる日に
装いも新たに顔を出すのは
顔のないわたしの臆病なホンネ

獣じみたままでいたかったなどと思うわけもなく夜は明けタ

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