◎『現代日本文化の反省』と『第二芸術論』
市民文庫の桑原武夫『第二芸術論』(河出書房、一九五二年六月)には、「現代日本文化の反省」というサブタイトルが付いている。これは、同書の底本が、桑原武夫『現代日本文化の反省』(白日書院、一九四七年五月)だったからである。
『現代日本文化の反省』と『第二芸術論』の関係だが、これについては、桑原自身の説明を聞こう。桑原は、『第二芸術論』の巻末で、次のように述べている。
再 刊 に あ た つ て
この本は、一九四七年五月一〇日、白日書院から『現代日本文化の反省』という題で出版され、その後ながく絶版になつていたものの再刊である。題を『第二芸術論』と改め、もとのを副題としたのは、書店の希望にもよるが、また一方、この中の『第二芸術』という文章が大きな反響をよび、今日もなお批評ないし談話の対象とされ、著者にその借覧を求める人があつたりするので、こう改めた方が一般読者に便利ではなかろうか、と思つたからである。この本の一貫した態度は、俳句のみでなく一般に第二芸術的な封建的文化の批判にあつたのだから、改題は著者として気持にいつわりはない訳である。
再刊にあたつて、中村光夫、山口誓子両氏の批評に答えた短文二つはのぞいた。両氏の文章をのせずに私の答え、しかもまずい答えのみをのせるのは公正でないと思つたからだ。そのほかは、 カナヅカイを統一し、漢字を二三けずつた以外、もとのまゝである。
『第二芸術』については多くの批評を受けたが、そのうち、現代詩とは何か、短歌型文学流行の社会的理由、この二つは答える義務があるのだが、いまだに怠けている。
一九五二年七月 著 者
ここで桑原は、再刊にあたって「短文二つ」を削ったと述べている。市民文庫で削られたのは、次の二篇であった。
中村光夫氏の批評に答ふ
山口誓子氏に
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