◎北九州の小倉に森鷗外の旧居を訪ねる
先日、北九州の小倉〈コクラ〉に、森鷗外〈モリ・オウガイ〉の旧居を訪ねた。小倉駅から南へ七、八分歩いたところにある。住所で言えば、北九州市小倉北区鍛冶町〈カジマチ〉一丁目七の二。それが面している通りを「鷗外通り」と呼ぶらしい。ただし、今日では、ネオンが似合いそうな飲食店街である。
保存状態は、非常によい。旧居の横には、管理棟があり、関連の書籍、絵葉書などが購入できる。私は、一組三〇〇円の絵葉書(旧居の写真など)を買い求めた。
森鷗外の旧居は、一九七九年(昭和四九)に北九州市の文化財「史跡 森鷗外の旧居」に指定され、一九八二年(昭和五七)に、「鍛冶町旧居」として公開されている。
松本清張の小説「鷗外の婢」には、主人公の考証家「浜村幸平」が、取材のために、飛行機で九州に飛び、小倉鍛冶町の森鷗外旧居を訪ねる場面がある。
「鷗外の婢」が、『週刊朝日』に連載されたのは、一九六九年(昭和四四)の九月から一二月だったという。松本清張は、それに先立って、「取材のために」、鍛冶町の旧居を訪れたと推察される。周知のように、小倉は、清張にとって、ゆかりの土地であり、十分に土地カンは持っていたはずだが、「鷗外の婢」を執筆するにあたって、あらためて九州に飛び、その際、森鷗外旧居についても、その現状を確認したと見るべきだろう。【この話、続く】
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