礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

戦争末期に講談社が発行していた図書

2024-04-05 04:17:26 | コラムと名言

◎戦争末期に講談社が発行していた図書

 三井甲之著『三条実美伝』(大日本雄弁会講談社)には、初版と第二版とがある。国立国会図書館に架蔵されているのは初版で、今回、私が入手したのは第二版である。
 初版と第二版の違いは、発行日および定価の違いのみ。初版のほうの発行日、定価は、奥付によると次の通り。

 昭和十九年十一月 十 日  初版印刷
 昭和十九年十一月廿五日 初版発行 (五、〇〇〇部)
   停  定価 二円五十銭
   特別行為税相当額十六銭 合計二円六十六銭

 一方、第二版は、初版の発行日と定価を記している部分に紙が貼られていて、そこに次のようにある。

 昭和十九年十一月 十 日  初版印刷
 昭和十九年十一月廿五日 初版発行
 昭和二十年 五 月 五 日 二版印刷 
 昭和二十年 五 月 十 日 二版発行 (二、〇〇〇部)
   許 定価 金二円七十銭
   査定番号 一ノ五二四智

『三条実美伝』の巻末には、「大日本雄弁会講談社発行図書」として、次の二十四冊の案内がある。この案内は、初版にも第二版にもあって、両者の内容は、全く同一である。
 以下、その二十四冊のタイトル等を紹介する。末尾の漢数字は定価である(円・銭)。案内には、それぞれの図書について、簡単な紹介文が付されていたが、この紹介文は割愛した。

  ――大日本雄弁会講談社発行図書――
 大串兎代夫著 日 本 国 家 論                      284頁  一・八〇
 湯浅 明著  生 活 の 単 位            258頁  二・〇〇
 蒲生俊文著  本居宣長 玉鉾百首論釈    231頁  一・八〇
 中川与一著  日 本 文 芸 論                        254頁  二・一三
 石川宰三郎著 明治大正昭和 日本絵画史   624頁  三・七九 
 東亜研究所編 異民族の 支那統治史     424頁  二・九九
 駒井徳三著  大 陸 小 志            244頁  二・三〇
 武藤正行著  勤皇家戸原卯橘        294頁  二・四三
 関 不可止著   吉 田 松 陰          442頁  二・八六
 望月 茂著  佐 久 良 東 雄          367頁    二・六二
 大崎勝澄著  大 国 隆 正          450頁  三・一一
 浅野 晃著  橘 曙 覧          376頁  二・五五
 吉野有武著  嗚呼乃木将軍         314頁  二・五九
 七卿顕彰会編 七 卿 回 天 史          262頁  一・八〇
 保田与重郎著 皇 臣 伝          346頁  二・五五
 樹下快淳著  慈 雲 尊 者          398頁  二・六七
 田崎 仁著  勤労青少年の指導       259頁  二・八〇 
 富沢喜一著  賃金と労務者指導       306頁  三・二〇
 蒲生俊文著  戦時下の産業安全運動     447頁  四・六二
 山根省三著  勤労者の創意工夫教育     334頁  四・二二
 川瀬一馬著  日本書誌学之研究      2030頁 二五・〇〇
 大西友太著  我 が 国 の 國 體        376頁  三・八〇
 原田伴彦著  中世における都市の研究    284頁  三・五〇
 藤井新一著  帝国憲法と金子伯       774頁  六・五〇

 なお、「大日本雄弁会講談社」は、1958年(昭和33)、「株式会社講談社」と改称され、今日にいたっている。

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