礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

伴淳、定時制生徒として戦争体験を語る

2024-04-01 03:38:03 | コラムと名言

◎伴淳、定時制生徒として戦争体験を語る
 
 昨日の続きである。映画『見上げてごらん夜の星を』を観て、気づいたことを述べる。

・定時制に通っている主人公のタヘイは、同じ教室、同じ机で勉強している全日制の生徒に手紙を書く。その手紙に返事をもらったところから、物語が始まる。手紙の署名は、宮下ケイコ。手紙は、何とも美しい文字でしたためられていた。
・タヘイの級友たちは、おのおの、手紙の主が、どんな女性かを想像する。その想像として登場するのが三人の美人。順に、岩下志麻、清水まゆみ、倍賞千恵子である。
・岩下志麻と倍賞千恵子は、クレジットには出てこない。清水まゆみは、このあと、担任教師カマキリ(菅原文太)の婚約者という役どころで登場する。
・荒川高校では、全日制弁論部の主催で、弁論大会が開かれることになった。定時制からも、タヘイと同じクラスの寺山(山本豊三)が出場を申し出た。しかし、大会当日、その寺山がやってこない。仕事に都合で、欠席せざるをえなくなったのだという。
・担任のカマキリが起って、定時制は棄権する旨、表明する。すると、同じクラスの小森(伴淳三郎)が挙手し、自分にやらせてほしいと願い出た。
・小森は、小学校卒の49歳、国立博物館の守衛をしている。級友からは、「お父ちゃん」と呼ばれている。小森は、自分の戦争体験、戦後体験を語り、なぜ自分が定時制に通おうと考えたのかを語って、満場の喝采を浴びる。この大会で小森は、「特別敢闘賞」を受賞。
・小森によれば、彼は二等兵としてニューギニアで戦ったが、小隊40名のうち、生き残ったのは、わずか4名だったという。さすがは伴淳、小森の弁論の場面は、この映画のハイライトである。なお、小森がニューギニアで戦ったという設定は、1961年の東宝映画『南の島に雪が降る』を踏まえていると思われる。
・弁論大会が終わったあと、全日制の女子生徒二名が、定時制の生徒たちの控室にやってくる。ひとりは、大会に出場し、二位となった黒田セツコ(五月女マリ)。そして、もうひとりは、手紙の主・宮下ケイコ(榊ひろみ)であった。ここで初めて、タヘイは、ケイコと出会ったのである。

 明日は、話題を変える。

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