好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 クリュイタンス/ベルリンフィル/ベルリン聖ヘドウィッヒ教会合唱団

2019-06-15 11:48:44 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…クリュイタンス
演奏…ベルリンフィル
合唱…ベルリン聖ヘドウィッヒ教会合唱団 他
好み度…4(5点満点)

出だしのゆっくりと、ためをつくりつつの響きは激しさは感じないが泰然とした美しさを感じるようで、第1楽章は落ち着いた厚い響きの中での弦の落ち着いた重みも効いた美しさが随所で印象的。18分超とのタイムにもあるようにゆっくりめに、柔らかい録音の関係もあるかもしれないが、どこか優しい印象を感じさせながらも、尖らず厚く、なかなか堂々とした第1楽章のように思う。
第2楽章も激しさというよりは弦を中心とした厚く柔らかいが緊張感も感じさせる響きはなかなか上質。
第3楽章も深いというよりは優しい美しさを漂わせる。
終楽章では、まずは弦による主題の調べがやはり柔らかく美しい。主題の全奏も厚くほのかに明るくおおらか。声楽が加わっての独唱はキンキンとがらず力みかえることなく、よいバランスと思われる。合唱は特に力強さは感じないが、豊かに柔らかみのある奥行きも感じられる響きと上質のアンサンブルという点で標準以上。
部分部分をつまみ聞きみたいに聞くと、おとなしめで力感不足のようにも感じられ、途中で聴き飽きてしまいそうな印象も受けるが、通して聴いてみると、そうでもない。鋭い緊張感とか激しさを求めるなら他の盤を聴いたほうがよいように思うが、全編包まれるような優しさと美しさを漂わせたようなしっかりした厚さと重みを湛えた雰囲気は、こんな第九もクリュイタンスらしいし、ありかと思う。
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チャイコフスキー 交響曲第5番 クーベリック/ウィーンフィル

2019-06-15 11:43:55 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…クーベリック
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

クーベリックとチャイコの組み合わせは何かピンとこなかったし、ましてやウィーンフィルとの組み合わせはチャイコの感情的な情や熱には向いていないのではと思いきや、第1楽章なんかはまっとうな展開の中に剛毅な強さや熱、あるいは濃く漂う情なんかも感じられ、木管や弦なんかもチャイコらしい雰囲気を出した響きで、ウィーンフィルならではとチャイコ色がうまいことかみ合ってよい響きを聴かせるし、第2楽章も弦やホルンの厚さ美しさは特筆もののような感を受ける。
第3楽章を少しゆっくりめにやった後の終楽章は、弦による主題提示まではそれまでの流れを受けてよい響きと力感だが、その後ティンパニがせりあがるところでティンパニを不発のように終わらせて以降、フィナーレまでは響きが急に少し力感が減じるかのようにやや控えめになる。フィナーレではまた盛り返すが、第1、第2楽章で聴かせた厚く情と力の漂う響きが終楽章でもあったら…と、それまでがよかっただけにちょっと残念。フィナーレを際立たせたかったのか、賑々しくなるの避けたのか、意図的なのかもしれないが。
アナログ録音の温かみのある録音(1960年にしてはかなり音はよい)も関係するのだろうか、感情的なだけとか騒がしいだけとかにならずに、響きに風格も漂わせたよい演奏とは思う。
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 若杉/ケルン放送響

2019-06-15 11:40:43 | ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ベートーヴェン 
交響曲第3番「英雄」
 
指揮…若杉
演奏…ケルン放送響 
好み度…4.5(5点満点)

器用だったり繊細な深みだったりとか、そういう演奏ではないが、実直な力強さを感じる堂々とした演奏。
ライナーノートでミュンヘンフィルの首席ファゴット奏者の言葉として「確かに指揮のテクニックに弱いところもあったが、ドイツの楽員は棒さばきの巧拙だけでは動かない。(略)その博覧強記が楽曲解釈の深さ、ドイツ音楽への傾倒と表裏一体のものであることをみな知っていたから、若杉の指揮には付いていけた。チェリビダッケも日本の「哲人指揮者」には一目置いていたため、毎シーズンの客演が実現した」というくだりがあるが、確かに、指揮者と奏者が思いを共有してそれを一緒に精一杯表現しようというような活力に満ちた力強さを感じる。
テンポはどちらかといえばゆったりめの印象、音色は明るく開放的だがズシリとした重心の低さを持ち、微熱を伴ったスケール感を感じさせる演奏となっている。
日本人指揮者といえば小澤、小林、朝比奈等がよく名を聴くが、ヨーロッパの有名オケとこんなに一体感をもってこれほど堂々とした演奏をした指揮者がいたとは、の感がある。
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