土地改良事業における代位登記の事務について

2012-12-08 20:40:18 | Weblog
土地改良事業における代位登記の事務について
(1)申立て
 県の土地改良事業の代位登記にかかる登記済証によって,司法書士として登記手続をするよう依頼された。そのため,県の代位登記に関連する書類を見ることになったが,そのなかに「相続分なき旨の証明書」があった。この書面は,法的に疑問があるうえ,代位登記手続終了後,相続人に返還されて当該事業とは関係のないところで用いられ,相続人間の争いのもとにもなっている。代位登記に関する事務を改善するべきではないか。

(2)調 査
 県に対して調査をしたところ,次のような回答があった。

イ 土地改良事業の実施にあたり,土地所有権の移動にともなう登記手続が必要となる。その場合,手続事務の不案内や費用の問題もあって,必ずしも所有者が登記してくれるものとは限らず,事業の実施に支障をきたすことがある。そこで,土地改良法第114条,土地改良登記令第2条等により,事業施行者には,所有者等に代わって登記手続を行う権限が認められている。この方法による登記が「代位登記」と呼ばれるものである。

ロ 「相続分なき旨の証明書」(民法第903条にもとづく特別受益者証明書)は,不動産が相続された場合の登記手続に際し,一般的に用いられている。これを有効と認めた判例もある。この証明書には実印による押印が必要であり,印鑑証明書の添付が義務づけられているので,県としては,これらの書類が提出されたときは,相続に関する協議が整っているものと判断している。

ハ 「相続分なき旨の証明書」(民法第903条にもとづく特別受益者証明書)は,不動産が相続された場合の登記手続に際し,一般的に用いられている。これを有効と認めた判例もある。この証明書には実印による押印が必要であり,印鑑証明書の添付が義務づけられているので,県としては,これらの書類が提出されたときは,相続に関する協議が整っているものと判断している。

(3)結 果
 代位登記に際して,土地改良事業における土地の相続が開始されている場合には,権利関係を証する書類として「相続分なき旨の証明書」の添付を求めているが,この証明書は実際の権利関係とは異なる形で作成される可能性もある。また,本証明書には使用目的の記載や不動産の表示がなく,原本が還付された場合,土地改良事業とは関係のない相続財産について使用することができるため,争いの原因になることも否定できない。そこで,県政オンブズマンは,上記のような取扱いには問題があると考え,県土木部が用地買収に関して行っている代位登記の取扱例も参考にしながら,県産業経済部に対して,土地改良事業における代位登記の事務を改善するように求めた。
 これを受けて,県は,次のような改善を図った。(1)代位登記の際に添付する相続を証する書面は,相続関係人が任意に提出した書面がある場合を除いて,対象となる土地の所在を明示した「遺産分割協議にもとづく証明書」によることとする。(2)登記完了後における原本は法務局より還付を受けないことを原則とするが,相続関係人からの求めに応じて証明書等の原本を還付するときは,受領書を徴するなどして授受の事実を明らかにしておく。
 これら改善策は,平成12年3月15日付けの文書で関係各所に通知した。  

http://www.pref.miyagi.lg.jp/soshiki/gyokei/h12-jirei01.html


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