香取章子女史への手紙②

　貴方の場合、もっぱら外科的な治療の諸処置によって救命が可能となりました。
　バルーンやステントなど新しい医療器具や、心カテーテル、ATPCの術法などは、医学の素晴らしい進歩を示す成果であると私も感じます。
　しかし、依然として、心筋梗塞を含めた循環器系疾患による犠牲者数は減少傾向を示しておりません（但し、アメリカ合衆国では漸減傾向にあります）。

　ところで、人の死は病気のみで起こるわけで無いことはご承知の通りです。
　すなわち、事故や殺人によっても同じ死という結果が生じます。
　果たして、事故や殺人と病死との違いはどこにあるのでしょうか?
　私は、事故乃至殺人にせよ、病死にせよ、とにかく、強い打撃や傷害が体に加わらなければ、人間がそんな容易く生命を失うことは考えられないと判断するのです。
　しからば、病死ことに突然死は、例えば、棒で殴って人を殺せるのに匹敵するほどの強烈な打撃が、体の内側から突如加わることで生ずるのではないでしょうか?
　このように仮定した場合、体の内側から加わる強烈な打撃で、人間を急に死に陥れる原因となりうるものとして一体何が考えられるでしょうか？
　私ども（私並びに私の父・横田良助〔医学博士、医師〕）はこの問題を突き詰めて究明する研究を行った者であるのです（なお、研究成果の根幹は、私の父が得たものです）。