さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

ローゼンハイム市ガーデンショーでの演奏・2日目

2010-06-01 22:58:25 | ただの日記

ローゼンハイム2日目も、午前中は音楽学校でリハーサル。指揮者の先生よりちょっと早めにセッティング出来た我々、モーツァルトのディベルティメント1番をコンミスに合わせて、自主的にアンサンブル。昨日とは鳴りが違う! ここでの本番を一度経験して、同じ釜の飯を食って、一晩同じ屋根の下に泊まって熟成されたというか、何か昨日より心が一つになっている気がした。借りた楽器も馴染んできたのかもしれないね。途中から入ってきた先生が、「すごいイイじゃないですか!」と笑顔笑顔・・。

リハーサルでは、バレエとの合わせを念入りにやった。ディベルティメント1番の3楽章と4楽章にオリジナルのバレエの振付を入れているのだか、バレリーナの登場する時の呼吸と音楽のタイミングを合わせるのに、何回も調整。綺麗な衣装のバレリーナさん達、音楽学校の滑る床に若干苦労されているようだったが、日本での合わせの時と違って全員がそろうと本当に壮麗な感じで、本番がとても楽しみになってきた。



2日目は、日曜日ということもあって、前日よりも沢山の方がガーデンショーに来られているようで、トイレの前は長蛇の列だった。ちなみにドイツだとトイレを使うのにチップが必要なことが多い。チップは通常は50セント(1ユーロの半分)だが、20セントで入れてくれるところもある。



昨日は自分達のステージで精一杯だったが、2日目は我々のステージが若干短い分、前後の他の出し物を見ることが出来た。我々の前にはバレエとソプラノの先生の歌があり、後には和太鼓というプログラムであった。まずはバレエの人達。1曲目は通常のクラシックバレエで、タンバリンを持った非常に小気味よい曲で上々の滑り出し。2曲目はこんな風に十二単風のコスチュームを来た、平安時代絵巻のような踊りだった。いいなあ、これ着てみたいなあ・・・。

ソプラノの先生のステージのあと、いよいよ我々のステージ。演目は以下の通り。

  モーツァルト:ディベルティメントNo.11 1楽章
  アルプホルン+オケ(The spirit of Alphorn/A bout de souffle)
  モーツァルト:ディベルティメントNo.1 全楽章(3・4楽章バレエ付き)
  弦楽四重奏:リベルタンゴ
  シューベルト&ウェルナー:野ばら(合唱・Sopソロ入り)
  源田俊一郎編:合唱曲「ふるさとの四季(抜粋)」(合唱・Sopソロ入り)

1日目と比べて、ヴィヴァルディの春や早川先生の春がない分短くなっているが、見せ場として、午前中苦労して合わせたバレエが入っているのだ。

いよいよ本番が始まった。小さい子供達が何人か、ステージ近くに来てかじりつくように我々を見ている。さすがドイツ。クラシック音楽が生活に根付いているという感じがするね。

個人的には、アルプホルンソロのある「A bout de souffle(息せき切って)」という曲は、音源もないし、やたらテンポの速い曲だし、日本での合わせの時は気持ちが着いていかなかったのだが、ここに来て音楽が身体に入ってきたという感じで、綺麗なお庭を見ながら非常に楽しく弾くことができた。

ところが、会場に着いた時は非常に晴れていたのに、ソプラノの先生のステージの頃から雲行きが怪しくなり、バレエ付きのディベルティメント1番3楽章になって、テントの上にポツリポツリと音を立てて雨が降ってきたのだ。ううう・・一瞬集中力を奪われたのだが、結果的にはこれが吉と出た。雨が降ってきたので、ガーデンショーにいらしてたお客さまたちが雨を避けて我々のテントのそばに寄ってきたのだ。おまけにおそらく誰も見たことないであろう派手なバレエ付きのディベルティメントでしょう? 気がついたら舞台脇も含めてテントの周りはお客さまでびっしり。中には傘をさして立ったまま聴いてくださるお客さまも沢山見えて、恐縮至極。

実は狭いステージでバレエの後ろで弾くのは結構怖かった・・・っていうか、踊り手が激しいターンを繰り返してそのまま我々や指揮者の先生にぶつかってきそうな勢いだったので気が気じゃなかったのだが、実際にはそんな事故は起こらず、バレリーナさん達は、ギリギリのラインを見事に美しく舞って行き、最後のリフトでフィニッシュ。これにはお客さんは大喜び。オリジナル振付のバレエとの共演は大成功だった。

最後は昨日と同じく合唱団を入れた「ふるさとの四季」。この時点で雨はほぼやんでいた。最初に指揮者の先生がホラ貝のイントロをオリジナルで入れてるのだが、得意のドイツ語トークで、「昔、ホラ貝は農村で雨乞いのために吹かれていたのだけれど、(また雨が降るといけないので)吹くのやめましょうか」などと冗談をおっしゃって、昨日以上にお客さんにウケていた。

「ふるさとの四季」という曲は、文部省唱歌メドレーのようなアレンジ曲で、劇的な前奏に引き続き「ふるさと」「春の小川」「朧月夜」「こいのぼり」のアレンジが来る。本当はそのあとも曲が続くのだが、今回は季節をあわせて「こいのぼり」までで終わらせた。「いらかの波と雲の波~」の方のこいのぼりである。

この「いらか」の「こいのぼり」については個人的に思い入れがある。小学4年生の頃の音楽の時間、先生がみんなの前で一人で歌うという経験をクラス全員にさせた時、私はこの曲を選んで思いっきり歌い、先生に褒められたという思い出のあるのだ。ちょっと書いてみたかっただけ。

「ふるさとの四季」では「こいのぼり」は行進曲風の名アレンジがなされていて、弾いてると本当に元気が出てくる。原曲では2番まで歌って次の歌へ行ってしまうが、今回は2番を歌った後、「高く泳ぐや 鯉のぼり」の部分を繰り返してritで終わるようにした。合唱の方は最後の「こいのぼり」の部分を2ndバイオリンとあわせた高音のフレーズに変えて、高いGで終わる・・・という工夫をした。さらにエンディングでは合唱団の方が実際にこいのぼりを大きな旗のように揺らせて会場を沸かせた。

このエンディングは本当に感動的だったなあ。ドイツの人にとって初めて聴く曲かもしれないけど、絶対一度聴いてファンになったに違いない。絶対ドイツ人の心に響いたと確信できるほどの万雷の拍手をいただいて、気持ちよくステージを去ることが出来た。



自分の出演中は写真は撮れないけど、我々の直後の和太鼓のステージはこんな感じ。すごいでしょ?



ちょっと離れて見るとこんな感じ。1日目の開演前のテントの写真と比べていただきたいのだけど、野外のこんなテントのステージでもここまでお客さまを集めることが出来るのだが。

聴きながら、あらためて和太鼓っていいなあと思った。テレビで和太鼓を叩いているシーンを見ても、いままであまりイイと思わなかったのだが、生で聴くと心が揺さぶられるようだ。多分音響機器を通じて聴くとカットされてしまう音(倍音など)が、生で聴くとちゃんと聞こえるからだろう。もしかしたら音としてはっきり認識できないような音が我々の心と身体を共鳴させているのかもしれない。



和太鼓の音に元気をもらいながら、みんなで庭園をちょっと回ってみた。この、紫色を基調とした花壇は綺麗だね。丸いボールのような花は、ネギの仲間のギガンチウムだよね、きっと。

その後、記念撮影をしたりしながら、我々は名残惜しいローゼンハイムを後にし、バスで国境を越え、ザルツブルグへと向かった。
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