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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!モーレツオトナ帝国の逆襲


監督 原恵一
出演(声) 矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 津嘉山正種 小林愛

 傑作である。この「クレヨンしんちゃん」シリーズは「夕陽のカスカベボーイズ」「あっぱれ!戦国大合戦」の2本をこのブログでレビューしているが、この作品が小生は一番好き。上記の2作にもいえるが、子供を意識して作った映画ではないだろう。子供の親の世代を意識して作った映画ではないか。
 冒頭、いきなり出て来たのは70年の大阪万博。小生はこの年はまだ十代だった。万博には日参して、ほぼすべてのパビリオンを見た。で、この映画の万博の描写だが、ものすごく正確。43年前がよみがえる。
「20世紀博」なるイベントが開催されている。20世紀の、昭和の時代をリアルに味わえるイベント。大人たちは夢中になる。そして、とうとう大人たちは「20世紀博」の手の者に拉致される。残された子供たちはコンビニの食料品を奪いあいながらも、なんとか生き残る。
 だれの作品だったか(小松左京だったかな?)大人がいなくなり、子供だけが残るという設定の短編SFがあった。その短編を思い出した。子供たちは20世紀博会場に侵入して大人たちと遭遇するが、両親、幼稚園の先生といった大人たちは子供が眼中にない。なにかにとりつかれている。子供の身になれば、こんな不安でこわいことはないだろう。
 車がいろいろ出てくるがなつかしい車ばかり。トヨタ2000GT,1600GT、ヒノコッテッサ、マツダコスモスポーツ、スバル360、ダイハツミゼット、そしてケンメリのスカイライン(なんとCMソングまで聞かせてくれる。ううう)免許取り立てで、あこがれの車、欲しかった車、街でよく見かけた車。車好きの小生としては、涙がちょちょぎれる(これも20世紀の言葉だな)
 20世紀博をやって大人たちを20世紀人間に洗脳しようとしているのは、ケンとチャコの二人。(そういえばこんな番組もあったな)ケンは眼鏡をかけたオタクっぽい男。チャコはスラッとしたちょっといい女。こやつらは21世紀は汚れた世紀だ。大人たちを20世紀に戻して救ってやろうという意図のもと活動している。
 しんのすけたちカスカベ防衛隊は、しんのすけの父ひろしの足の臭いを頼りに、壮絶なカーチェイスの末、大人たちを助けだす。「21世紀はオラたちが作るんだ。ずるい」としんのすけにいわれたケンとチャコは・・・。
「三丁目の夕日」「20世紀少年」同様のテーマの作品はあるが、本作が一番建設的ではないだろうか。21世紀はこれから、子供たちが作っていくんだ。それにケンとチャコはよほどしあわせな20世紀をおくって来たのだな。20世紀はいいことばかりではない。戦争もあった。いろいろな差別もあった。そしてみんな貧しかった。そんなことを忘れているケンとチャコにしんのすけは「ずるい」と指摘する。  
 
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コメント
 
 
 
小松左京先生の「お召し」 (橘まるみ)
2013-08-13 00:55:38
平成24年1月21日(土)。
 今日の丸美先生は、東京・渋谷区で開催される、SFファン交流会(http://www.din.or.jp/~smaki/smaki/SF_F/ )に参加する予定である。
(略)
 昨年は、SF作家、小松左京先生が亡くなった年でもあった。
 大森先生が、
 大森望(編)「不思議の扉 午後の教室」(角川文庫)
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E6%89%89-%E5%8D%88%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A4%A7%E6%A3%AE-%E6%9C%9B/dp/4043944683 )
 という本を編み、小松左京先生の「お召し」という短編小説を入れた所、
「小松左京先生の名前は知っていても、作品は読んだ事がない」
 という若い読者に好評だったそうだ。
(略)
 
 
 
橘まるみさん (雫石鉄也)
2013-08-13 04:56:39
そうですか。
 
 
 
ぼくも好きです (齊藤 想)
2013-08-19 05:50:15
クレヨンシリーズで、ぼくもこの作品が一番好きです。
クレヨンシリーズは、意外と大人向けのシナリオが多かったりですね。
 
 
 
斉藤想さん (雫石鉄也)
2013-08-19 09:13:58
私も、このシリーズでこの作品が一番好きです。
この作品など、完全に子供向けではなく、大人を意識したシナリオですね。
 
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