雫石鉄也の
とつぜんブログ
エド・ウッド
監督 ティム・バートン
出演 ジョニー・ディップ、マーチン・ランドー、ビル・マーレー
「史上最低の映画監督」「早い安いつまらん」「ゴミみたいな映画は数多あれど、映画みたいなゴミだ」これらは、この映画の主人公、プロデューサー兼脚本家兼監督兼俳優のエド・ウッドのことをいっているのである。大コケ必至のゴミ映画を真面目に真摯に、ありったけの情熱を注いで創った男の伝記である。
しかし、まあ、なんですなあ、なんとも愛に満ち満ちた映画であることか。ティム・バートンのエド・ウッドに対する愛、エド・ウッドのベラ・ルゴシに対する愛、そしてこの映画、および作中のエド・ウッドやベラ・ルゴシ、エドの映画創りを支えるスタッフたち、み~な映画に対する愛が満ちている。
若い映画作家エドは映画創りに燃えている。出資者をなんとか見つけ、金に出させ、数日で脚本を仕上げ、ごく短時間で映画を1本仕上げる。ところが出来上がった映画は壮絶なつまらなさ。そんな映画儲かるはずがない。出資する人はいなくなる。それでもエドは、肉屋のオヤジ、家賃の督促に来た家主さんにまで出資させて映画創りを続ける。
才能はまったく無いが、情熱だけは誰に負けない。そんなエドだが人望はある。色盲のカメラマン、4流の元プロレスラー、性転換予定のオカマ、おかしげな預言者、テレビをクビになったバンピレラのタレント。そして、エド・ウッド映画最大のスターベラ・ルゴシ。
ベラ・ルゴシ。かってバンバイア映画で一世をふうびした怪奇映画の大スター。落ちぶれてヤク中になっている。ひょんなことからエドと知り合い、エドの映画に出るようになる。エド・ウッド映画ゆいいつのプロの俳優ではないか。でも70を超した高齢の上、長年のヤク中。自殺を試みたりする。でも、映画に出たい。エド・ウッドのクズ映画でも嬉々として演技する。
才能と情熱。人間、幸せに生きたい。しかし、この二つがワザする。才能はあるが情熱がない。この場合、そもそも情熱がなければ、いくら才能があってもモノつくりなんかしないから問題ない。しかし、才能があることが知られると、周りがほっとかないから、本人はこれはこれで困る。
才能はないが情熱はある。これがこの映画のテーマだ。小生も、これに当てはまる。才能ないくせに小説なんか書いて、こんなブログに掲載したりする。困ったもんだ。小説を書くのは金がかからないからいい。エド・ウッドの場合、映画だから金がかかる。映画を創りたいというやむにやめない情熱に駆られて映画を創るが。当たらない。赤貧洗うがごとく生活をしながら、クズ映画を創る。そして酒に溺れて死ぬ。はたしエド・ウッドは幸せだったのだろうか。
エド・ウッドの映画はネットで簡単に観ることができる。この映画を観て興味のある方は観ればいい。できればお止めになった方が。想像以上につまらない。大学の映画サークル、いや高校の映画同好会、いやいや映画好き中学生の自主制作映画以下なんだから。
エド・ウッドの映画はクズだが、ティム・バートンのこの映画は傑作である。この映画を観ることはお勧めする。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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壮絶なまでに脱力した映画でした。
なにせカットとカットの繋がりを何も計算してないから、テーブル上の物品が瞬間移動するわ、走ってる車の車窓が、いきなり昼から夜に変わるわ…
なんとも「映画を撮る者がやってはいけない事」の教科書みたいな作品。
実はエド・ウッド特集を90年代にミニ・シアターで見たのですが、後ろのカップルは退屈さにペッティング始めるわ、連れはイビキをかくわ、でも誰も文句いわないわ。
何故か犬が客席を走り回るわ…
まあ…そんな体験でした。
ゆ
私もエド・ウッドの映画、ネットで観ましたが、想像を絶するつまらなさでした。
エド・ウッドの映画観るより、アブダビさんのこのコメント読んでる方が面白いですね。
でも、この映画は良かったです
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