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俺たちに明日はない


監督 アーサー・ペン
出演 フェイ・ダナウェイ、ウォーレン・ベイティ、ジーン・ハックマン、エステル・パーソンズ

 洋画を日本で公開する時、邦題をつける。映画の内容となんら関係のない下手な邦題もあるが、この「俺たちに明日はない」は実にうまい邦題だ。原題は「Bonnie and Clyde」主人公二人の名前を並べただけが、邦題の「俺たちに明日はない」はこの映画のテーマを的確に表現している。うまい題名だ。
 大恐慌の1930年代のアメリカ。ム所帰りのチンピラと田舎のウェイトレスのねえちゃんが知り合った。この二人の出会いが全米をゆるがす騒動の元となったわけ。
 悪事しか能のないクライド。アッパラパーのねえちゃんのボニー。クライドが強盗するところを見てボニーがほれこむ。クライドはボニーに銃の撃ち方を教える。ふたりは意気投合。銀行強盗を働きながら旅を続ける。少しアホだが車にくわしいC・W・モス。クライドの兄バック、バックの妻ブランチも仲間になる。5人はバロウ強盗団として各地で暴れる。彼らは銀行の金しか盗まない。一般市民の金には手を出さない。借金のカタに銀行に家を取られた人に同情する。凶悪なおたずね者として新聞をにぎわすが、逃亡に手をかす人や、かくまう人もいる。貧しい庶民から義賊として見られているフシもある。
 前半は高校のクラブ活動のような気分で強盗を働くボニーとクライド。やってることは悪事だが、ある種爽やかな青春ドラマと見える。ところが、映画の中盤、逃亡中に人を撃ち殺す。ここからお話しは冗談ではすまなくなった。あかるさ、能天気さが減って、反比例して暗さ、シリアスさが増してくる。そして衝撃的なラストとなる。
 クライドはボニーにいう一段落したら、結婚して家を持って安らかな生活を送ろう。この州では仕事はしない。他の州に出かけて仕事をする。結婚して金が出来たら足を洗うとはいわない。強盗は続けるつもりらしい。ほんとうに「明日のない」二人。しかし本人は明日を見ている。どんな明日かは知らないが。
 
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コメント
 
 
 
あーあ! (アブダビ)
2016-02-01 19:05:11
ラスブガスのどっかに彼らが最後に乗っていた車が展示されていて、もう蜂の巣みたいに穴だらけだそうです。
しかし…今、考えると、
3歳児を殺害して、どうのという若い夫婦とか、前世紀末から増えてきた激安人間カップルの犯罪そのものですね?
同じ時代背景の、同じ蜂の巣銃殺でも、
ジョン・デリンジャーの格好よさがない。
ため息…
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2016-02-01 19:16:08
3歳児殺害夫婦はクズでなんの救いもないですが、ボニーとクライドは悪者ですが、それなりのモノを持っていたのではないでしょうか。
 
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