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宵山万華鏡


 森見登美彦  集英社

 森見の妄想京都ワールドが堪能できる一冊。祇園祭宵山。夏の京都の最もハレな日である。その宵山で繰り広げられる万華鏡のような六つの異世界(いわゆるファンタジーでいう異世界ではない。『京都』という異世界)の物語。いつまでたっても宵山。どこまで行っても宵山。小生は押井守「うる星やつら2 ビューティブル・ドリーマー」を思い出した。あれはずっと学園祭前日が続くというアニメだったが、これはずっと宵山が続く。
「宵山姉妹」バレー教室の帰りの姉妹。妹は姉とはぐれる。彼女は、露店がならび提灯のあかりが連なる宵山の黄昏をさまよう。そして、赤い浴衣を着てヒラヒラ歩く女の子たちと出会う。
「宵山金魚」乙川は「超金魚」を育てた男である。毎年、乙川に夏の京都に誘われるが、ちゃんとした宵山を見せてくれたことがない。今年こそ見せてもらおうと思ったが。乙川とはぐれ、踏みこんではいけない場所に入ってしまったらしい。祇園祭司令部と称する連中に拉致される。宵山様のお仕置きを受けることになった。
「宵山劇場」小長井は「偽祇園祭」プロジェクトに巻き込まれる。かって因縁があった山田川敦子と再会。山田川の暴力的妄想力で生み出される異様な企画を実現していく。このプロジェクトの黒幕は骨董屋の乙川だった。
「宵山回廊」千鶴の従妹京子は15年前の宵山の日、行方不明になった。京子の父、千鶴の叔父は画家。その叔父がいう「千鶴とはもう会えない」千鶴は宵山の夜、金魚みたいな赤い浴衣の女の子たちに声をかけられる。
「宵山迷宮」画廊を経営している柳は、骨董屋の乙川から父の遺品の水晶玉を売ってくれとしつこくいわれる。ところがそんな水晶玉は何度探してもない。柳と懇意で千鶴の叔父河野画伯が宵山の黄昏に消えた。赤い浴衣の女の子たちが・・・。
「宵山万華鏡」バレー教室帰りの姉妹。宵山の黄昏に消えた妹を探す姉。ここでも赤い浴衣の女の子たちが。まるで水が流れるように宵山の雑踏の中をヒラヒラと歩いて行く。
 六つの連作短編であるが、登場人物はほぼ同じ。特に強い印象を残すのが、「赤い浴衣の女の子たち」彼女たちは何者?
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『宵山万華鏡』/森見登美彦 ○ (蒼のほとりで書に溺れ。)
京都のお祭り「宵山」の日、幼い姉妹はそれぞれの冒険をし、おバカな「偽祇園祭」は計画&実行され、ある人はひたすら宵山の日を繰り返し、別世界に「宵山様」が存在し・・・。 森見登美彦さんが描く、不思議なファンタジーワールドは自在に姿を変え、伸び縮みし、何かを...