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SFマガジン2012年2月号


SFマガジン2012年2月号 №671     早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター
1位 ウエイプスウィード(前篇) 瀬尾つかさ
 以下の4作は評価に値せず
   ヨハネスブルグの天使たち  宮内悠介
   小さな僕の革命       十文字青
   不思議の目のルーシー    片理誠
   真夜中のバベル       倉数茂

新連載評論
是空の作家・光瀬龍     立川ゆかり

連載
椎名誠のニュートラルコーナー第29回
海浜自由生活者はいまどこをさゆらうか  椎名誠
輝きの七日間(第10回)        山本弘
七十六分の少女 怨讐星域(第21回)  梶尾真治
十五夜物語 14章           夢枕獏―寺田克也
完璧な涙(第22回)          東城和実/神林長平
現代SF作家論シリーズ 監修 巽孝之
第13回 星新一論「なぜ一〇〇一話なのか?」 宮野由梨香

 毎年2月号恒例の日本人作家特集。今年はSFマガジン初登場にして、いろんな新人賞受賞者ばかり5人の競演。これから日本SFを創る若い作家たちだ。大いに期待して読んだ。結論からいおう。失望した。まだまだだ。若いから未熟なのは当然である。彼らのこれからを見よう。ただ、瀬尾、宮内の二人は才能を感じる。精進して欲しい。
「ウエイプスウィード(前篇)」25世紀の地球。ほとんどが海。人類はわずかに残った島で暮らす。海にはウエイプスウィードという海藻が繁茂して生態系を支配している。木星圏から調査に来た科学者は、地球の巫女の少女の協力を得てウエイプスウィード海域に潜水艇で潜る。後編が楽しみだ。
「ヨハネスブルグの天使たち」地獄と化した近未来の南アフリカ。故伊藤計劃を彷彿とさせたが、期待はずれ。作品として判りづらい。
「小さな僕の革命」このどうしようもない世の中。若いもんがネットを使って、世直しをたくらむ。ガキのいたずらで世直しができれば苦労しない。
「不思議の目のルーシー」パラレルワールドもの。アメリカ50年代SF風で、途中まで良い雰囲気だが、余計な説明が入る。こんな作品にハードSF的解説を入れるのは興ざめもいいところ。ヤボの骨頂。
「真夜中のバベル」どんな言語でも短時間で完璧にマスターする超能力言語能力少年。幼なじみの少女と逃げる。中途半端な話だ。
 新連載評論の「是空の作家・光瀬龍」が楽しみだ。作品には数多く接しているが、光瀬龍という人はよく知らない。小生は古くからのSFもんで、たいていの作家は、動いてしゃべっているところを知っている。ところが光瀬龍はあまりSFのイベントに出てこない人だった。眉村さんはもちろん、小松さん、星さん、筒井さんといった人たちとは、お会いしたこともあるし、言葉を交わした事もあった。ところが光瀬さんはよく知らない人だった。ほとんどの作品は読んだけれど、どんな人か知らない。
 第1回目だけれど大いに期待できる。最相葉月の「星新一 1001話をつくった人」に匹敵する評伝となることを期待する。
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