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とつぜんリストラ風雪記 36

とつぜんリストラ風雪記 35

 AF社の仕事は派遣の仕事。仕事そのものは単純作業で簡単だが、肉体的にきつい。小生もあまり若くないのだから、一日中立ちっぱなしの肉体労働はさすがに疲れる。給料は、派遣だから話にならない。高校生のアルバイトの方がマシなのではないか。
 昼から休んでハローワークに行くなどして求職活動をした。

2005年8月19日(金)
 小生の勤務は朝7時半から、午後4時まで。昼から夜9時までという勤務パターンの人もいる。午前中は小生一人だから気楽でいいが、昼からTという奴が勤務につく。Tは小生より少し先にここに来ていた。別に相棒ではなく、それぞれがそれぞれの仕事をしている。だから自分の仕事だけをしておけばいいのに、こやつが先輩面して、小生になんやかやと指図をする。人のことはほっとけ、とピシャといってやろうかと思ったが、こんな奴と喧嘩するのもナンだし、あまり長くここにおるつもりはなかったので、ぐっとがまんする。

8月31日(水)
 昼から退社。昼食後、西宮ハローワークへ行く。収穫なし。夜、阪神VS中日を観る。阪神負け。井川がアホや。

9月3日(土)
 夫婦で西宮市大谷美術館へ、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展を観に行く。久しぶりのデート。
 絵本の展覧会を見て、美術館の庭を散策して、館内の喫茶室でケーキにコーヒー。くつろぐなあ。平日は少々きつい派遣労働者。お休みの土曜日ぐらいこんなことをしてもバチは当たらんだろう。とはいえ、派遣労働者といっても、小生は恵まれている方だろうな。

9月6日(火)
 ORにて面接。神戸税関の横のきたないビル。電気製品の出荷、梱包作業の仕事。

9月9日
 S昆布にて面接。仕事はとろろ昆布の製造。実は小生、昆布会社に勤務した経験がある。コピーライターになる以前に、O昆布に勤務して、製造の仕事をしていた。その会社に勤務しながら、夜、久保田宣伝研究所コピーライター養成講座(現宣伝会議)に通っていた。
 O昆布で、キャラ蕗の原料の蕗の塩漬けを水洗いしながら、窓から外を見ていた。小生はまだ二十歳代の青年だった、絶対にこのコブ屋を抜け出してやろう。ワシはいつまでもこんなところでくすぼっていないぞ。モノを書く仕事をするんだ。もっとクリエイティブな仕事をするんだ。と、思っていた。
 コピーライター養成講座に1年通って、終了した。大阪教室17期生(情熱の17期といってあるスジでは有名)小生は優秀な生徒だった。3人優秀賞を受賞したが、そのうちの一人だった。この時、東京校の最優秀者が糸井重里だった。
 養成講座終了と同時にO昆布を退職した。当時の総務部長に、、そういう勉強をしたのなら、O昆布に残って宣伝広告の仕事をしないかと引き止められた。断って、養成講座が紹介してくれた広告制作プロダクションに就職した。
 O昆布はその後順調に成長して、関西では中堅の食品会社となった。もし、あの時、総務部長の提案を受け入れて、O昆布の宣伝広告の仕事をやっていたら、同社の宣伝業務を小生がゼロから構築することになっただろう。順調にいけばO昆布の宣伝担当の重役になっていたかもしれない。
 ともかく、今は大昔、青年雫石鉄也(当時からこのペンネームは使っていた)は、コブ屋を抜け出し、クリエイティブの世界に羽ばたいていったのであります。ほんと、薄暗いどぶの中から青空に出た気分だった。
 S昆布は職場体験就労という制度がある。2週間働いて、双方がOKなら正式に契約ということになる。契約社員である。正式契約となっても、給料はAF社の派遣とさして変わりはない。ただ、派遣より契約の方が少しは安定しているかもしれない。
 S昆布に行くことにする。思えばコブ屋から抜け出したのに、30年経って、またコブ屋に舞い戻るとは思わなかった。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (素浪人)
2009-09-20 00:16:23
ご無沙汰してしましました。
器用な方だなと感じていたのですが、元々はコピーライター志望だったのですね。すっかり電子部品の購買の専門の方だと誤解しておりました。

どんなところに向かっていくのか、この先を楽しみにしています。

私もなんとか仕事を見つけ、3ヵ月がたとうとしています。
幸い職場にはなじんで行けていますが、雫石さんのブログを読んでの仮想体験が役に立っていると感じることがあります。
 
 
 
素浪人さん (雫石鉄也)
2009-09-20 08:33:23
若いころ、広告の勉強をして、コピーライターしてたこともありました。
そうですか。3ヶ月たちましたか。試用期間は過ぎましたか。新しい職場になじんでいけそうとのこと、よかったですね。私の体験が少しでもお役に立っているのなら、大変にうれしいです。
 
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