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とつぜんSFノート 第88回

 1982年8月。東京で開催された第21回日本SF大会TOKON8。星群祭が初めて京都以外で開かれたイベントである。私たち星群の会にとって、忘れられないSF大会であるが、それ以外のことでもこのSF大会は星群の会にとって大変に意義深い大会となった。
 この年から、SFファンジン大賞が始った。全国で発行されているSFの同人誌、ファンジンの優秀なモノを表彰するという賞。
 大賞、創作部門、評論部門、翻訳・紹介部門、研究部門、アート部門、エディトリアルワーク部門、特別賞、柴野拓美賞の9部門。その1年、顕著な仕事をなしたファンジン、同人誌、および、その仕事、作品に対して贈られる。柴野拓美賞はファンダムで顕著な活動をした人物個人に送られる。
 で、1982年度第1回のSFファンジン大賞は私たち星群が受賞した。もちろんのことであるが、たいへんに喜ばしいことであった。その夜は、SF大会会場の都市センターホール近くの、ちょっと上等の居酒屋で、その場にいた巽孝之氏らを巻きこんで、祝いの酒宴をくりひろげて、おお盛り上がりに盛り上がったのである。あの時の酒はうまかった。あの夜は、私の生涯で楽しい夜のベスト5に確実に入るだろう。
 このファンジン大賞の創作部門を見ていこう。

1982年 汀線都市            新戸雅章 SF論叢
      軌道交差            三浦祐嗣 イスカーチェリ
1983年 影に満ちる領土の星       虚青裕  星群の会
1984年 コンタクト・ゲーム       大場惑  宇宙塵
1985年 ミネルヴァ森話         石飛卓美 星群の会
1986年 シュレディンガーのチョコパフェ 山本弘 星群の会
1987年 ピエール・モンテ徐霊記録    土本鷲 星群の会 
1988年 飛行機械ウィリー        周   筑波大学SF研究会
1989年 エモーショナル・レスキュー   松尾由美&柾悟郎 
お茶の水女子大SF研究会
1990年 二重ラセンの悪魔        梅原克文 宇宙塵
1991年 鏡の中のActiveなダンス     麻生新奈 
お茶の水女子大SF研究会 
1992年 該当作なし
1993年 夢現の鏡像           石坪光司 星群の会
1994年 鍋が笑う            岡本賢一 宇宙塵
1995年 牛車道             志田海市 ソリトン
1996年 レフト・アローン        遠藤慎一 宇宙塵
1997年 三月来る            嬉野泉 宇宙塵
1998年 該当作なし
1999年 旅行鞄             北川茨 パラドックス
2000年 カライナに風は輝く       山崎隆史 宇宙塵
2001年 該当作なし
2002年 輪の森         電気風見鶏 杉並太郎『てならひ草子』 
2003年 多様性のために     杉並太郎  杉並太郎『てならひ草子』

 このSFファンジン大賞は2003年で中止。2017年現在は再開されていない。だから、この賞の創作部門受賞者は総勢20人。このうち嬉野泉と山崎隆史は宇宙塵の同人でもあり星群の同人でもある。星群の会の会員が20人中7人。この年代が星群の最盛期といえるのかも知れない。      
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
なるほど (雨亭)
2017-04-29 01:38:55
読んでいて感心したのは、山本弘氏や梅原文氏らの名前があることでした。お二人とも何冊か読んでいますし面白かったから。
山本氏は怪獣SFを書いてますし、二重の螺旋の悪魔は90年代に読んでいて、おそらく受賞から何年もせずに新書ノベル化しいるはず。初版を持ってますが、突然に彗星のように現れた感がありました。やはり評価されて出版されたんだ。どうりで最初からエンタメ濃度の高い面白い作品だった訳ですね。
やはり創作研究性の高いファンジンは、プロやセミプロを育てる土壌なのですねぇ。
最近、今日泊亜蘭氏の「光の塔」が再版されてまして、今の主流とは別なガチガチした古典な文体なのに、活劇、ミステリ、謀略そして本格なSFのエンタメなのに驚きました。
野田大元帥の解説によると、上筆する頃は、宇宙塵の指導的論客であったと。
眉村専制についてはガキの頃のジャブナイルの鬼才イメージが強すぎてファンジン者だったかしらべる気にもならないですが、他に10代の私を狂わせた山田&田中(芳樹でなく光二)先生は、
宇宙塵の関係から引き抜かれた人であった気がします。やはりファンダムそれも創作学究肌の存在はジャンルには必要かと。
しかし、そのようなプロとアマのボーイ・ミーツ・ガールは両先生で終わっていたと思っていたので、SF界の事情通である管理人さんの記事を読んで興奮しました。

追記)今世紀初頭の番組ですが、ガイナックスの岡田氏と山本弘氏が平成オタク対談で、楽しそうに特撮音楽とアニメソングを語るのを観ました(YouTubeで)。管理人さんの過去記事で、私は勝手に星群側の作家と思うていたので、あれ少し衝撃でした。
私は個人的に雫石さんのファンなので、ちと許せん想いがあって、今回は作品の題名を挙げませんでした。
 
 
 
面白くないです! (雨亭)
2017-04-29 04:09:01
雫石さんがタイガース好きなように、俺は雫石さんの記事が好きです!
だから言わせて貰う。
山本先生のバカ!!
雫石さんを裏切りやがって!せっかく最近に好きになったのに。もう読まない。
次いでにデブはダイエット本でも書いてろボケが!
 
 
 
雨亭さん (雫石鉄也)
2017-04-29 08:41:31
山本弘は星群側というより、星群の同人でした。京都で例会をやっていたころは毎月あってました。
彼は、SF作家になったのは天職ではないでしょうか。
私は、確かに、武田、岡田といったゼネプロの両人には良い感情は持ってません。
でも、この両人と接したからといって、その人物まで嫌いになることはありません。
菅浩江は、かって私が星群の連絡人で、彼女が会計で星群の事務仕事の相方でした。その菅浩江は今は武田の嫁さんですよ。でも、私は彼女と会えばあいさつを交わすし作品も読みます。
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/e/7ed6055199c273a1ca334c2e4a958bec
彼女が、SFマガジンで始めた「新・博物館惑星」は楽しみです。
「博物館惑星」は良かったです。
 
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