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奇想天外 復刻版


山口雅也編著        南雲堂
 わお。奇想天外だ。うう、なつかし、うれし。日本で唯一のSF専門誌と称するSFマガジンの劣化がとまらず、SF専門誌としての義務も責任も放棄したいま、あの奇想天外誌の復刻は干天の慈雨か荒野の泉か。
 表紙のイラストが懐かしの楢喜八。さっそくページをめくってみよう。目次のレイアウトも第2期奇想天外のものだ。
 「奇想天外」編集主幹の曽根忠穂さんへのインタビュー。第1期は福島正実、小鷹信光が編集顧問につき、第2期は小松左京、星新一、筒井康隆がアドバイザーについた。などなど、小生のような古狸SFファンにとっては興味深い話がいっぱい。
 短編小説もいっぱい載っている。H・F・エリス、ロッド・サーリング(あのロッド・サーリングである。ミステリーゾーンの)、エヴァン・ハンター(エド・マクベイン)、ヘンリー・カットナー、マック・レナルズ&オーガスト・ダーレス、鈴木いずみ、フィリップ・ホセ・ファーマー、そして大和眞也(「カッチン」再録)どうだ、この陣容、いかにも奇想天外じゃないか。懐かしさに涙ちょちょぎれるとはこのことだ。
 そして、最後にあの伝説の、第1回奇想天外SF新人賞選考座談会。新井素子を強力に推す星新一VS新井の文章についていけない小松左京&筒井康隆。結局、星さんの熱心さに小松、筒井ご両所が譲歩。星さんの慧眼である。その後の新井素子の活躍はご存知のとおり。
 このようなうれしい復刻版を世にだしてくれた山口雅也氏には感謝と慰労の言葉をささげる。こういう企画が次にあるのなら、編集はぜひ、永遠のSF少年で、奇想天外出身の山本弘氏にやってもらいたい。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (悠々遊)
2018-01-24 21:38:56
本件内容とは関係なく申し訳ありませんが、先ほどネットのニュースでアーシュラ・K・ル=グウィンさんの訃報を知りました。
私は長編は「ゲド戦記」全巻と「闇の左手」ぐらいしか読んでいませんが、どちらも記憶に残る作品でした。
 
 
 
悠々遊さん (雫石鉄也)
2018-01-25 05:08:54
ル・グインの訃報。私もネットで知りました。
私は「闇の左手」と「ラウィーニア」それにSFマガジンに載った短編ぐらいしか読んでませんが。うまい作家でしたね。
88歳。天寿をまっとうされたんではありませんか。
 
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