goo

9月1日(土) カツ丼で白状


 カツ丼を作る。以前は揚げたとんかつをご飯の上に乗せておいて、調味したダシで玉ねぎを煮て卵でとじる。それをご飯ととんかつにかけていた。その方がとんかつのカリッとした食感を楽しめると思っていた。
 今は、ダシで玉ねぎとともにとんかつを煮て、とんかつごと卵でとじてご飯にかけている。この方がとんかつの衣にダシがしみておいしい。
 以前の作り方だと、とんかつ、ダシ、卵、ごはんがバラバラだったが、今のやり方はとんかつにダシの味がしむことによって、どんぶり全体が1つにまとまった感じ。丼物はどんぶりが1つの小宇宙を形成していて、どんぶり内が渾然一体カオスの状態でないとおいしくない。
 カツ丼といえば刑事ドラマの重要な小道具。あの手のドラマの容疑者の取調べは二人の刑事が交代でやる。
 たいてい「オニのヤマさん」とかいう恐い顔したコワモテの刑事さん。菅原文太とか室田日出男、刈谷俊介なんか。と「ホトケのトクさん」とかいう優しい顔の年輩の人情家らしい刑事さん。大滝秀治、志村喬なんか。
 まず、オニのヤマさんが机をバンとたたいて
「おんどりゃ。ええかげんにせえや。4人もホトケになったんやで。このままやったら全部お前が殺したことになる。死刑は間違いないな。共犯者がおるやろ。共犯者が。それは誰やゆうとんねん」
 次にホトケのトクさんと交代。
「ま、いっぷくしよや」
 タバコを容疑者にさし出す。
「ところでお前クニはどこや」
「松江か。松江はええな。これから食いもんがうまい季節や。宍道湖の七珍ゆうて松江は食いもんがうまいな。ワシもまた行きたいわ」
「松江には家族おるんか」
「お母さん。お母さんに心配かけたらあかんで」
 とかいいながら容疑者の里心をくすぐる。そうこうしているうちに出前のカツ丼が届く。
「ハラ減ったやろ。まあ食え」
 容疑者カツ丼をかっこむ。と、突然ハシを置いて、ガバッと泣き伏す。で、白状する。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 8月31日(... 9月2日(日... »