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とつぜん対談 第59回 トナカイとの対談

 しかし、いいんでしょうか。今のこの時期、この方を対談の相手にお呼びすることが。私も気になって何度も確認しました。ところが、だいじょうぶとのこと。それではと、お呼びしたしだいです。では、お願いします。トナカイさんです。

雫石
 しつこいですが、ほんとにいいんですか。もうすぐクリスマスですよ。これから猛烈にいそがしくなるんでしょう。

トナカイ
 いいんですよ。ぼくはもうクリスマスなんて関係ないんですから。

雫石
 え、サンタさんといっしょにクリスマスプレゼント配りをするんでしょう。

トナカイ
 辞めました。あんな仕事。

雫石
 え、ほんとですか?

トナカイ
 やってられません。バカバカしい。

雫石
 クリスマスのプレゼントはどうするんです。

トナカイ
 ぼくの知ったこっちゃない。

雫石
 それじゃサンタさん一人でプレゼント配りするんですか。

トナカイ
 そうなるかな。

雫石
 年寄り一人で、かわいそうじゃないですか。

トナカイ
 なにがかわいそうなもんか。あんなじじい。

雫石
 え、トナカイさんとサンタさんは仲良かったんではないですか。

トナカイ
 ぼくが努力してそうしてただけ。もう我慢できない。限界です。

雫石
 サンタさんはやさしいおじいさんではないんですか。

トナカイ
 外面がいいだけです。プレゼント配りの相手の子供たちには、確かにやさしいんですが、ぼくにはケチで横暴で。

雫石
 へー、ほんとですか。

トナカイ
 クリスマスプレゼントの品はどこから仕入れてると思います。

雫石
 そういえばそうですね。

トナカイ
 昔は大天使ミカエルが経営してるミカエル商会から仕入れてました。ところが最近は人件費が安く安価なアジア系の企業阿弥陀商店から仕入れてます。予算は昔通り神さまからもらってるから、だいぶんお金が手元に残ります。サンタはそれを全部自分のふところに入れてます。

雫石
 予算を余らせるぐらいなら、子供たちのため少しでも良い品物を仕入ればいいのでは。

トナカイ
 あの強欲じじいがそんなこと思うもんですか。ぼくのエサ代をケチってねこばばしてるんだ。

雫石
 でも、きみとサンタさんは楽しそうに仕事してたじゃない。きみも赤鼻のトナカイといわれて人気がでたんだろう。

トナカイ
 ぼくの鼻は元から赤くなかった。じいさんは暖房のある部屋でぬくぬくと寝てるけど、ぼくの寝床は寒くって。ぼくは年中風邪をひいて鼻水ずるずる。だからぼくの鼻は年中真っ赤か。

雫石
 で、きみはこれからどうするんだ。

トナカイ 
 友だちのトナカイでトニートニー・チョッパーというのが、ある船で船医をやってる。こんど船にコンピュータを導入するそうで、ぼくコンピュータが使えるのでチョッパーに誘われてます。ぼく、海賊になるんだ。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
お願いします (はる)
2013-12-14 23:23:32
対談をトナカイにして下さったのですね。
クリスマス企画に入れさせて下さい。
宜くお願いします。

札幌は真っ白になりました。
残念ながらいつもどおりのホワイトクリスマスです。
 
 
 
はるさん (雫石鉄也)
2013-12-15 04:48:55
朗読OKです。
もちろん、クリスマス企画を念頭において書いた、対談シリーズです。
神戸はいま、ルミナリエの最中です。16日で終わりです。神戸も寒いですが、雪は降ってません。札幌は寒いと思います。ご自愛ください。
 
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