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食の軍師


原作 久住昌之  画 和泉晴紀         日本文芸社

 小生はアホでせっかちな人間ゆえ、食べ物屋に入って、あまり悩まない。たいていパッと注文する。ところがあれこれ悩むムキもいるようだ。昼食で定食屋のテーブルの前で、とんかつ定食にしようか、焼き魚定食にしようか、はたまた丼物にするか、だったらカツ丼か親子丼か。さんざん悩む。そういう人にとって福音の書が本書なのだ。食べ物を食べるにも戦術戦略があるのだ。例えば鮨。何から食べて何で〆る。回転鮨といえども、これをおろそかにすると、とんだ恥をかく。
 主人公はソフト帽にトレンチコートのハードボイルドの男。名前は本郷とか。本郷は自分を三国志の天才軍師諸葛孔明だと思っている。モノを食べる時だけ。それ以外の時は漫画に描かれていないから知らない。
 例えばとんかつを食う。皿の上のとんかつをどう食うか。塩とレモンでひときれ、ソースでひときれ、みそ汁とごはんはどのタイミングで食うか。例えば、ホテルの朝食バイキング。まず合戦場(ホテルの食堂)全体を見渡して、戦略を立てる。和食で行くか洋食で攻めるか、はたまた朝カレーでいくか。途中で新たな敵(追加)が出現することも。下手をすると大惨事世界大戦となるのだ。
 しょうもないことを、たいそうに描くと、こんなにも面白い、という好見本の漫画だ。ある意味「美味しんぼ」なんかより、よくできた食いもんうんちく漫画だ。
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コメント
 
 
 
読書の軍師 (アブダビ)
2015-11-17 05:42:09
この作品、記事を見た後に職場の隣のブクオフで見かけてカイモトメました。
脱力…
でも、まぁ解るのですね。
幕の内弁当を食うときに、シャケ切り身を主軸に置いて、揚げ物、副菜をどう喰ってゆくか…確かに戦略を練って食います。
しかし、わざわざ孔明に例える話か?
機会あれば披露させて頂きますが、
私は孔明を世界最初の麻薬王だったと思っており、僧部クラスのテロリストだったと
思うていますので、脱力。

でも、まあ、こういうのって有りますね。
実は隆さんを巻き込んで大脱線したコメントの表題作品、
上下巻をメイン・ディッシュに、ティプトリーの短篇を合間に副菜にして、双方を読み進め、時間が余ったら薄い文庫の「大いなる惑星」を後詰めの要とする…
みたいな読書計画を立てています。
食い物か本かの違いで、やはり戦略は必要なようで(笑)
こういうの考えている時って、読書とは別に愉しいのです。
そういう下らない愉しさに満ちている作品だと思います。
続巻を読む気はないですが。
 
 
 
へっへっへ! (アブダビ)
2015-11-17 06:09:18
次の連休の前日は半日勤務。
ゆっくりと神田に往き、目星をつけてある新刊の大規模店、古本屋街を回る。
どこの店で、どの本が手に入るか予定がたっています。
メイン・ディッシュは予約済みです。
しかし…こういう時に限って、「大いなる惑星」やティプトリーのが売れていて、
探していた「化石の荒野」が入手したりする。すると読書計画が大幅に変更をよきなくされます。
シャケの切り身が猫に拐われて、小さいコロッケを主軸に戦略を立て直すような…
そこが、また愉しくもあるのです。
本を読まない奴には、このドキドキが解らないでしょうね。
めぽしは
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2015-11-17 09:03:37
なるほど。本を読むのにも、戦略戦術があるのですね。
私は、大まかなローテーションを決めてます。
海外SF→SF以外の海外小説→SF以外の国産小説→国産SF→漫画→ノンフィクション、という順番で、このあいまに、臨時に特に読みたい本や、大藪、西村、風太郎をまじえてます。
このローテーションが崩れるときもあります。
 
 
 
不覚にもまた読んでしまいました (アブダビ)
2015-12-03 13:18:33
熱が下がらず病院に注射、点滴、抗生物質の三点セットを求め行きました。
待合室に置いてあったので、何となく手に取り…
昼飯が弁当でない方は、何を喰う…から考えるのでせうが、そもそもそれが間違い。
最初から決めてあれば迷わない。
私は中華なら、レバニラ炒め定食、野菜炒め定食、中華ヤキソバ。
和食なら焼き魚定食、煮魚定食、ざる蕎麦
洋食ならトンカツ
それ以外のものは頼みません。
それ以外のものは外出して時間と予算に余裕がある時に悩む事にしてます。
悩む必要がなく時間の節約になりますが、じゃ節約した時間をどうするか?と言えば、店に置かれたゴルゴ13とか読むのに用いるので、有用しているとは言えません。
 
 
 
昼飯時のうんちく (アブダビ)
2015-12-03 13:28:58
飯屋って置かれた新聞、週刊誌の他によくあるのがプロレス、格闘技のマンガ。ギャンブル系 …でも以外な盲点なのは「うんちくマンガ」が多いことです。
ダメ親父の古谷三越の「寄席芸人列伝」
「バー・れもんはーと」
細野不二彦「ギャラリーフェイク」
里美○○「ゼロ」
ゴルゴだってある意味、国際関係うんちく劇画ですし。
胃袋に詰め込みながら、なんか情報を脳にも与えないと気がすまない…日本人は貧しいのか貪欲なのか分かりかねます。
では、薬飲んで寝ます
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2015-12-03 14:42:55
そうですね。飯屋のマンガって、そういうマンガが多いですね。で、ページの端に焼きソバの切れ端がへばりつてたり、ゴルゴの顔が醬油ではんぶんかくれてたりします。

お大事に。ご自愛ください。
 
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