goo

マイマイ新子と千年の魔法


監督 片渕須直
出演(声) 福田麻由子、水沢奈子、本上まなみ 

 傑作だ。できるだけ多くの人に見てもらいたい。少年少女はもちろん、生活に疲れたおじさん、おばさんが見ても感動する。特に昭和30年代を知ってる世代が観たらウルウルするかも。
 蒸気機関車、氷冷蔵庫、紙芝居、ポン菓子、ラジオドラマ、などなど、あの頃のアイテムがいっぱい出て来て、なつかし心を満足させてくれる。とはいいつつも、この作品、うわ、昔の田舎はきれいだな、ああ、なつかしいな、というだけの映画ではない。
 新子は山口県の田舎にすむ元気いっぱいの女の子。おでこにマイマイ(つむじ)がある。麦畑を走り回る。競走の相手は「みどりのこじろう」
 新子のクラスに都会から女の子が転校して来た。貴伊子というおしゃれなお嬢様。引っ込み思案でおとなしい貴伊子は新子と友だちになる。
 新子、貴伊子、それにタツヨシたち男の子を加えた子供たちは、小川をせき止めて小さな池を作る。金魚が泳いでいた。その金魚にあこがれの先生と同じ名前「ひずる」という名をつけた。ところがひずるが死んじゃった。
 おてんばな田舎の女の子。おしゃれでおとなしい都会からの転校生。わんぱくな男の子。ちょっと影があるクールな年上の男の子。なんてことはない、定番中の定番なプロットである。ところがこの映画、タイトルにあるように「千年の魔法」がかけてある。
「千年の魔法」のカギは直角に曲がっている川。新子の競争相手「みどりのこじろう」はこの川の水面を走る。この川は1000年前から曲がっていた。このあたりは国の都があった場所。周防守の屋敷があった。実は余談だが、神戸市内にも同じような川がある。
 新子と同い年ぐらいの周防守の娘(清少納言の少女時代と思われる)は、大きなお屋敷で、しかも偉い人の娘だから、友だちがいなくてさみしい。一人の庶民の女の子と友だちになろうとするが。
 映画は昭和30年代と平安時代の天延年間とが、カットバックでつながっていく。場所は同じ所。山口県=周防。時間は1000年の隔たりがある。でも、そこにいる女の子は同じ。曲がった川は1000年の時間を越えて、子供たちに魔法を運んできたのかな。ところで「みどりのこじろう」とはなにもの。 
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
« 酢鶏 アニキ、晩節... »
 
コメント
 
 
 
意外かも。 (せぷ)
2010-09-13 21:31:20
雫石さんがこのアニメ映画をご覧になるとは、ちょっと意外な気がします。
何となく雫石さんの趣味ではないような気がして。

自分は本作を往復四時間以上掛けて山口県まで観に行ってきました。
福岡の映画館で上映されている頃はそこまでネットでも騒がれておらず、見逃してしまい、のちに山口のミニシアターで上映される際に観に行った次第です。

去年は『サマーウォーズ』がアニメ部門の賞をことごとく受賞していましたが、作品の出来だけでいえば、こちらの方がはるかに上だと思います。
まぁどちらもマッドハウス製作ですけれど。
ジブリの時代は終わった、と思いました。
 
 
 
せぷさん (雫石鉄也)
2010-09-14 09:40:52
私だって、こんなアニメも見ますよ。ドンパチのアクションも好きですが、こういうのも好きです。
しかし、最近のマッドハウスはすごいですね。
テレビの「四畳半神話大系」全部ではないが、いくつかみましたよ。オズがいいですね。
「時をかける少女」「パプリカ」「サマーウォーズ」名作ぞろいですね。宮崎引退後のジブリより、マッドハウスですね。
 
 
 
拾い物でした! (矢菱虎犇)
2011-12-09 21:48:25
コメント&トラバ、ありがとうございます。
ジブリさえろくに見ていない自分ですが、コレは本当にアタリでした。
一般の知名度は高くありませんけど、後々、評価がグングンあがっていくのはまちがいないですね。
イヤ~拾い物でした!
 
 
 
矢菱虎犇さん (雫石鉄也)
2011-12-10 09:13:26
コレはほんとうに、傑作ですね。
上のコメントにも書きましたが、このアニメの製作会社マッドハウスの作品はお勧めです。「四畳半神話大系」「時をかける少女」「パプリカ」「サマーウォーズ」いずれも
いいですよ。
 
コメントを投稿する
 
現在、コメントを受け取らないよう設定されております。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。