無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

自然農法見学会(その1 中川原敏雄さんの圃場見学)

2016-08-24 18:41:57 | 自然菜園スクール
本日、


先週、自然菜園スクールで自然農法の見学会を行いました。

午前中は、(公財)自然農法国際研究開発センターの元職員で、私のタネの師匠でもある中川原敏雄さんの圃場見学をさせていただきました。
中川原さんは『自家採種入門』(農文協)の著者でもあり、現在は採種農家兼、育種農家としてご活躍中です。


中川原さんの圃場は、常に進化しており、現在は、1mの畝に対して、両側に1mオーチャードの草生帯(通路全面に緑肥を育てている)のが特徴です。

草生帯には多年草のオーチャード(緑肥作物=牧草)が生えているので適度に刈ってあげることで、一年草の草が生えにくいものです。
畝の方は、裸地にすることで、1年草の草が生え、1年草の野菜が育つといった環境です。

近年は草生帯の草を畝には敷かず、その草生帯と畝の間に溝を掘り、その溝に、刈った草を敷き詰めるやり方に変化しております。

その溝にたまった刈った草は、ミミズのエサになり、草生帯と野菜を共に育むオアシス的な存在になっております。

刈った草を野菜の株元に敷くと、モグラやネズミの被害が拡大したり、根が浅くなってしまったりしたことから、どうやったら野菜の根を深く張らせ、野菜が自然に育つようになるか追求した結果ともいえます。

ちなみに、溝にたまって堆肥化(ミミズのフン土化)したものを1年に一回掘り上げ、畝に盛り上げます。
毎年溝を一掃し、新たに溝を掘り直すことで、草生帯の侵入も防ぐことができそうです。

また、畝の表土を使って育苗するするのも特徴です。




ピーマンも元気に育っています。

今年は、雨が余りに少なく大変なようです。

一見1本のピーマンに見えまが、実は数本が生えています。

というのも中川原さんの畑では、野菜の栽培でもあり、育種でもあるのが特徴だからです。
つまり、一つの実そのもの、もしくは同じ実から採った種を10粒ほど一か所から発芽させ、家族(コロニー)で育てながら、
その中で育つものから育ちも味も良いものを選抜しながら自家採種していくやり方だからです。

現在は、野菜の生産、種子の生産、育種はそれぞれの専門家によって行われているのが一般的です。

ところが、中川原さんの畑では、この3つが共存しているのが特徴です。


普段、うちの教室で草マルチをしている生徒さんや自然農や自然農法をいろいろ勉強している生徒さんは興味深々で、どんどん質問が出てきます。


それに、ピーマンの株元からキュウリやトマトが出ているからです。

なぜなら、去年のキュウリの残渣が溝に入れてあるので、溝から自然にキュウリなどが出てきています。

そんなキュウリも長い目で見れば、新しい品種の可能性を秘めているので、大切に野放しにされています。


カボチャと草生帯のオーチャードも相性が良いようで、オーチャードの上をカボチャのツルが登っていきます。

空いた所にはエダマメも育てていました。


その他にも、キュウリの種子生産も行っており、2本仕立てで平均5果の採種果がたわわに実っておりました。




スイカを食べて自家採種しながら、木陰で質問タイムをはさみ、




中川原さんの栽培の特徴でもある、立長鎌の実演もみせていただきました。


鎌は、荒砥石と中砥石などで研ぎながら刈っていきます。


立長鎌の場合、草払い機のようにビニールハウスなどの際もお手の物です。

この立長鎌は中川原さんのオリジナルで、地元の古間の鎌をベースに特注で打ってもらっています。

中川原さんは、健康と栽培の両立のために、この鎌でどんどん草を刈っていきます。

今回の中川原さんの圃場見学は、生徒さんにとても強烈に印象に残ったようです。
中川原さんの取り組みは、奥が深く自然に謙虚で、常に進化しております。

私も、見学会を通じて、師匠のひたむきな姿と飽くなき追求心に改めてインスパイヤーされました。


2016年内容充実で、
『無農薬・自然菜園入門講座』が第一水曜日長野市城山公民館で18:30~21:30までスタートしています。
城山公民館での「これならできる!自然菜園入門講座」講座が開催です。毎月の野菜と土づくりのテーマで質問時間もたっぷりあるので是非お越しください。

次回は、9/7(水)です。

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6 コメント

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実践。 (川原健二)
2016-08-25 22:08:37
竹内先生は中川原先生の方法を試してみようとお考えですか?
マルチは実際のところ…株元にまで無い方が良いのか、ある方が良いのか…。
難しくなってきました(笑)
返信する
ご質問ありがとうございます。 (竹内 孝功)
2016-08-26 05:15:28
川原健二さんへ

そうですね。難しいご質問かと思います。

1)安易なまねは、なかなか難しいと思います。
中川原さんのやり方は、余りに見事で、無駄もなく流石だといつも脱帽です。

もし真似をされる場合は、ただ表面的な草を敷く敷かないというだけでなく、

熟練の観察眼と栽培技術、毎日のように通えること、寒冷地であること、灌水設備があることなどに加えて

再現するには、オーチャードで数年土を養って、なおかつそれを剥いで野菜畑にするなどしっかりプロセスを踏む必要があります。

中川原さんのやり方は表面的にまねしてもなかなか難しいと思いますよ。かなり奥深く、理解し実践するには実際に観て、真似しながら、実際に中川原さんの畑を何回か通いながらが無難です。

本1冊分のコンテンツ内容と熟練の技術に加え、中川原さんの人柄が光る菜園だと思います。

もし真似される場合、最低、菜園全面にオーチャードグラスを生やし、それが安定(2~5年)するまで生やし、畝の分1mをはがし、1mの草生帯と溝、そして1mの畝というところから真似してみてください。
そして、適度に草を刈って、溝に入れるという過程までまでしてはじめてまねができます。

2)草マルチの実際
中川原さんの畑は、元々とても痩せていて、とても菜園にならないくらいの場所でした。実際に何十年も使われていなく、5年以上オーチャードグラスを生やしておくしかできなかった場所です。

オーチャードは、とても強い寒冷地の牧草です。これを数年生やすことで、オーチャードの強い根により開拓してもらい、そのオーチャードを土に還すことでかなりの団粒構造の発達があったと思われます。

(以上は、中川原さんの圃場補足説明)

実は、草マルチには欠点と利点があります。

草マルチの欠点
①草マルチし過ぎると、地温が上がらない
②野菜の生育を無視した草マルチは、根が浅くなり、発達せず根性がなくなる
③ミミズの発生などによるモグラ、イノシシの被害が出やすい
④市民農園など草の確保が難しい
⑤場所によっては、コオロギ、ナメクジなどの被害を招く

草マルチの利点
①土の団粒構造が発達しやすい
②根の乾燥を防ぐことができる
③大雨などの土の流失の防止
④雨などによる泥の跳ね返りの防止による病気抑制
⑤養分となり野菜の生育をよくする
⑥堆肥などを造り、投入する手間がなくなる
⑦不耕起の欠点(干ばつに弱い、時間がかかる)の克服
⑧失敗が少ない
⑨どのような土質でも対応できる
⑩どこでも手に入りやすい(生えてきた草を敷けば)
⑪草刈りが愉しくなる
⑫水やりの回数が少なくなる
⑬益虫などが増えるので無農薬しやすくなる
⑭収量が増える
⑮誰でも真似しやすい
⑯土の養分が失われにくくなる
⑰食味が良い
⑱数年草マルチを工夫しながら行い、土の団粒化が進んでくると欠点が克服されていき、草が敷いてなくてもよく育つようになる

など草マルチは欠点を良く理解し、草マルチの仕方を工夫することでそれを回避しながら行うことで、欠点以上の効果がすぐに出やすい。

なによりも土の団粒構造が発達するので、
ある程度土の団粒構造が発達してしまえば、草をそんなに敷かなくても、乾燥や大雨によって土の構造が壊されなくなることと、養分・水分を保持しやすくなるので野菜が育てやすくなります。

要は、草マルチも畑や野菜の生育に合わせて良くなるように活用できれば効果的ですし、ただやみくもに草マルチすると欠点が助長されやすいので、注意がいるということです。

是非、自分の畑(野菜)に適った草マルチのやり方(タイミング、量、間隔)を見つけてみてください。

余りに、大好きな分野だったので長文ですみませんでした。
返信する
草マルチの欠点 (浜屋)
2016-08-26 11:15:05
草マルチの欠点②の、
野菜の生育を無視した草マルチは根が発達しない、というのがよく分かりませんでした。もう少し詳しく説明をお願いします。
返信する
ご質問ありがとうございます。 (竹内 孝功)
2016-08-26 19:31:41
浜屋さんへ

そうですね。

草マルチの欠点②「野菜の生育を無視した草マルチは根が発達しない」というのは、

ただやみくもに、たくさん草マルチをした場合は例えば、
草マルチの下、つまり地表近くが一番乾燥せず、ミミズなど有機物の分解者もいるため、根は深く張らず、根性のない根になりがちです。

また例えば、梅雨明けまで、野菜が地表面に根が浅く張っています。梅雨明けで、どんどん暑く乾燥してくるので根を深くはらしたいのに、草マルチで保護してほしいところ。

草マルチが遅れ、草ぼうぼうになってしまい暑くなってから草マルチしても、急に草が刈られ、浅い根は、急に潜れず根は乾燥に耐えきれず、野菜が昼間ぐったり枯れたりする現象をもたらします。

そこで理想的な草マルチの仕方では、野菜の根が発達する働きを助けるように、試練(ムチ)と保護(アメ)になりょうに草マルチをします。

例えば、5月の定植の時期は、まだ草も少なく、地温も低い際は、野菜の株元は空けて、乾燥し地温が高くなるように草マルチはしません。今後根が伸びいていく外葉の先端15㎝位のところにしか草マルチしません。

そうすると、15㎝よりも先は草マルチがないため、当然地面は温かくなり、草も生えるので、野菜の根も15㎝よりも先に伸びたくて草を競合し、草に負けないように根を張ろうと思います。

ところが、多勢に無勢、夏野菜であれば1株の野菜の周囲15㎝よりも先は草だらけなので、そのままでは草負けしてしまいますので、ある程度草と競合(ムチ)させて、根性のある根に育ててから、草に負けないように草を刈って草マルチ(アメ)をしてあげると、草と戦って根性のある根が草マルチで保護され、また次の草と戦う一休み(養生)になります。

こうして、緩急、草を生やす(試練)と草マルチ(保護)を繰り返すことで、野菜の根はより強く、深く、根を広範囲に張ることができます。

ただ草マルチをしただけの野菜では、こうはならず、根が浅く張ったり、養分、水分がなくなるとすぐにくたびれる根性無しの野菜に育ってしまいいがちです。

そして、梅雨明けをしたら、一気に草が伸びてくるので、その草を野菜の株元にも、外葉の15㎝だけでなく、畝全体に草マルチし、梅雨上げ後の高温・乾燥に耐える根になるように、根が深く張れるように草マルチで保護してあげます。

ただ、草マルチ(アメ)だけにすると、地温が上がらないので、野菜の生育も悪く、根も浅いので、ミミズが発生し、モグラネズミの被害も起きやすく、草マルチの効力がなくなると、野菜は根性がないので、収穫期間も短く、良い種も採れないといったただ甘やかしただけになってしまいますという意味です。
返信する
なるほど(笑) (川原健二)
2016-08-29 16:23:15
ありがとーございました。
私は先生を師事していかせていただきます(笑)
返信する
コメントありがとうございます。 (竹内 孝功)
2016-08-29 21:17:38
川原健二さんへ

そうですか。
私は、野菜に師事しており、中川原さんから今でも多くを学び、教えていただいております。

野菜たち自然は正直なので、実際に育ててみて反応を観て、自分にとっても、野菜にとっても、自然な育て方を見つけてくださいね。
返信する

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