無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

今年は雑誌のお仕事が多い年 (緑肥mix祭り)

2014-03-02 00:12:14 | 日々の自然菜園
本日、


一昨日、昨日と記事を載せていただいた見本誌が届きました。

今年は、去年からの連載の「やさい畑」(家の光)さんに加え、「野菜だより」(学研)さん、「田舎暮らしの本」(宝島)さんの連載がはじまり読者の方には、
どこでも私の連載なので、ご迷惑おかけすることをお詫びいたします。

一応、どの雑誌も自然菜園の特徴を載せていただいておりますが、各社の雑誌で光の当て方がことなるので、違った角度から自然菜園を学べるようにしているつもりです。

2冊も書籍を出させていただくと、こんなこともあるのかと正直驚いております。

そこに加えて、以前からちょくちょく出させていただいている拙著『これならできる!自然菜園』を世に出してくれた農文協さんの「現代農業」4月号にもこちらは単発ですが記事がのります。

いろいろな師匠、先生から教わったことが還元できてうれしいです。
その反面、責任も伴うので正直大変ですが、できるだけ自然菜園のおもしろさをいろいろな角度でお伝えできればと思います。




「やさい畑」(家の光)さんで出させていただいた拙著『失敗知らずのコンテナ菜園』のコンパニオンプランツの組み合わせの実践、検証版ともいえる今回の企画4回目。

全部で12回あるので、去年はひたすらプランター50個以上でつづけて栽培と取材、写真で大変でしたが、実りある企画になりました。

今回は、実のトマトをつかって、実際に割れない水に沈むほど濃厚な美味しいトマトをどのように育てるのか、コンパニオンプランツにバジルと2種類のパセリで検証してみました。


コンパニオンプランツとは共栄植物のこと。

一緒に植えるといいらしい。けれど、その関係は、相対的な関係なので、ただ植えれば効果が農薬や化学肥料のように一元的に効くわけではなさそうです。

より効果的に植えるには、コンパニオンプランツどうしの関係性を紐とき、その関係性が相乗的に発揮されるように混植するに限ります。

自然菜園では、野菜を自然に育てる観点から、たいがいの野菜をコンパニオンプランツどうしで一緒に育てます。
まさに、共立ち(友達)で育つ間柄を活かすわけです。

野菜は、人の手で育てられた植物なので、そのままでは自然に育ちにくいこともあります。
そのため自然に野菜を育てる工夫を自然菜園では重ねて行います。

今回の企画では、トマトとバジルの関係性や2種類のパセリによるそれぞれのトマトとの微妙な関係性を検証し、実際に活かせるコンパニオンプランツを探って確かめた企画になりました。



言わずと知られる農家も読む「現代農業」。

今回の4月号の特集「排水のいい畑にるす」に、僭越ながら緑肥mixによる元水田の畑化について詳しくご紹介させていただきました。

実際に、この内容は、小出しにこのブログにも書いておりましたので、今回はそれの総集編といった感じです。


拙著『これならできる!自然菜園』(農文協)に、自然耕(自然に耕す仕組みを活かす不耕起栽培)の王者としてライ麦をご紹介したばっかりに、
多くの方が、ライ麦を播けば土が深く耕されてよくなると思いこんでしまう水を犯してしまいました。

ライ麦は、その背丈2mを超すイネ科で背が高い緑肥作物兼、食用です。
その根も2mを越し、土の固盤をも破壊する凄い自然耕の持ち主であることは間違いないことです
が、
同時に、ライ麦は肥沃で水はけがよく、適期に種を播き、順調に生育し、2mを越す場合にのみその威力は発揮されるものでもあります。
そのため、1mにも満たない貧弱に育ったライ麦には2mを越す根の張りは期待できず、自然耕の力も半減しております。


水はけの悪い元水田では、強酸性の貧弱でかつ水浸しの土壌で、ライ麦はその自然耕を発揮できないというわけです。

そこで、春夏秋冬の1年かけて、春・夏・秋に3段階で緑肥mixを重ねていき、秋までにライ麦の自然耕がいかんなく発揮できる土壌に改良しておいて、ライ麦に本気を出してもらい翌年はじめて水はけが良いだけでなく、野菜が育つ豊かな畑に変わってもらうのです。


その手順が、上の写真です。

紙面では書ききれなかったことも加筆すれば、

ステップ1
①まずは、地力を知るためにも、今後の夏の緑肥mixがよく育つためにも、水田跡地に向いた品種のエンバク(前進)とイタリアンライグラス(ワセフドウ)を播きます。
その結果、エンバクが50cm以下の頼りないものであれば、鶏糞や米ぬかに油かす混ぜたものなど即効性があり、エンバクがよく育ち自然耕がよく働くように補ってあげます。
その際、前年からの秋からクリムソンクローバーやレンゲなどマメ科の緑肥作物を育てておいた上からエンバクを播けばより効果的です。

自然菜園では、自然の力を引き出すために、緑肥作物は極力2種類以上を混ぜて播くことがお奨めです。
その場にあった緑肥作物を単一で選ぶことも育てることも至難ですし、混ぜて播けば自然とその場にあった緑肥作物が主に育ち効果的だからです。


ステップ2
②水はけが悪い元水田のような畑は、痩せていて水はけも悪く植物が育ちにくく、畑にいる土の生き物も少なく、しかも腐植も少なく育たない悪循環が生まれています。
そこで、エンバクが穂をつけたころ6月頃に、エンバクの生えている上から、セスバニア、クロタラリアといったマメ科の中でも窒素能力の優れた緑肥mixを播き、種のついたエンバクを刈り敷きます。

自然菜園では、どんどん良くなるようにリレー栽培を行います。つまり上げずにどんどん栽培していきます。
その最たるものが、前作の上からばら蒔き、草ごと刈り倒し、覆土しない種まきです。梅雨時期に入り、水はけがうまくいかない畑で、種を播くのは非常に大変ですが、このやりかたですと、前の緑肥作物の上から次の緑肥作物を播き、刈るだけなので、とても簡単ですし、発芽率もよいものです。

ここで注意なのが、セスバニアの種まきのコツです。
セスバニアに着く根粒菌は日本にいないタイプらしく、セスバニアの種子を購入した際根粒菌の入った振りかけのようなものも添付されていると思います。
セスバニアの種子に多少水をかけ湿らせてから、この添付された菌を混ぜ種子に着けてから、すぐに播くとよく育ちますが、種子とその菌が古かったり、菌を種付けしてあげないとセスバニアは思うように育ちません。


ステップ3
緑肥mixをそのまま種までつけてしまう方が多いのですが、それでは効果は半減です。
緑肥作物の多くは、花が咲き種子をつけてしまうと、今までの栄養などが種子に移行し、ワラも土も痩せてしまいます。
そのため、花が咲いたら、刈り敷きます。刈って敷いた草マルチはとても高い養分を持ったまま土に還るため土を豊かにしてくれます。

今回は、7~8月にセスバニアやクロタラリアが開花したタイミングで、背丈半分ほどカットします。
そうすることで、栄養がある草が敷かれ、残った緑肥作物のわき芽や再生した葉がまた伸びてきます。

そして、9~10月に今度は、ライ麦、エンバク、レンゲを刈り取られて再生した夏の緑肥作物の上から混ぜて播き、刈り敷きます。
レンゲの代わりに、クリムソンクローバーでもかまいません。

ステップ4
④秋から冬にかけて、ライ麦が本領発揮できる土壌ができているため、ライ麦の自然耕が威力を発揮し、春までにはかなり深くまで細やかに根が耕してくれています。
また、レンゲやクリムソンクロバーなどマメ科が窒素固定してくれるため、土は肥沃になります。

自然菜園では、一見するとお休みしているような冬にもさまざまな生き物が生きて耕してくれたりしてくれるように、気を配ります。

ステップ5 ここは書いてないことですが、
⑤5~6月にかけてライ麦やレンゲなどが開花してきたら、ある程度細かく裁断して刈り敷きます。刈り敷いた後に、米ぬかを振り1カ月ほど草マルチしておき、刈り敷いた緑肥作物たちが、程よく腐植し始めてきたときに、浅く耕して、土に馴染ませます。

自然菜園では、耕す際には、土に中で生き物が分解しやすくなるように、米ぬかなど土の生き物のエサを補い、1カ月以上草マルチし分解が始まったころ、浅くすき込み酸素と土を混ぜ堆肥を造るように土に還していきます。

ステップ6
⑥これまでの流れで、土の生き物も増え、腐植も増え、団粒構造も発達し、水はけがかなりよくなったばかりか、熟畑のようになるきっかけを得ました。
この流れを損なわないように、8月に入る前に、早めに畝立てを行います。畝立てを行う際、肥沃度に合わせて自然堆肥などを補うと一層深くまで肥沃になることが加速します。

そして、通路に、通路用の緑肥mixであるエンバク、赤クローバー、オーチャードグラス、クリムソンクローバーなどを踏まずに育てられるように、1~3条にすじまきします。

芽が出てくるまでに鳥にやられたり、乾燥しないように、もみ殻で被覆すると、発芽が揃うばかりか、通路にクッションができ、水はけがよくなります。

自然菜園では、通常50cmの通路に1条、80cmの通路に2~3条の通路用緑肥mixを播きます。その理由は、畝立てする際に通路が低くなり、水はけが悪くなったり、通路が硬くなることも防げますし、なにより、通路に緑肥mixを育てることで、通路も野菜の根がが利用できる畝の延長につながり、生き物の住処にもなり、通路の緑肥mixを刈って野菜に株下に草マルチすることで、一層野菜も育ちやすくなるからです。

つまり、自然菜園導入に不足しがちな草を補ってくれ、同時に生態系を生物多様化し豊かにしてくれるきっかけになります。


元水田のような排水が悪いところでは、水に強い野菜しか育ちません。ちなみに、土のステージは規格外なので、0以下です。
そのような強烈な場所ですから、時間をかけ、継続的に緑肥作物のように強烈なアプローチを重ねてはじめて畑になるのです。

今後、困ったことに元水田の耕作放棄地がもっと増えていくことでしょう。
そのまま水田にし、イネを育てるのが最も自然ですが、もし畑にして存続する際には、参考にしてみてください。

久々に、長文失礼しました。


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (むらかみ)
2014-03-02 10:35:16
久々に、長文ありがとうございます!

ハウスの周りの雪が早く融けますように!
返信する
Unknown (たつき)
2014-03-03 05:54:36
増補改訂版には絶対に入れていただきたい内容ですが、倍の厚さ、額になりそうです。紙面の都合があるので難しいのでしょうね。
これだけ書かれて、現代農業の売上に影響しないか心配です(笑)

種を採ってまわしていきたいけど育土を考えると刈るべき。採種区と育土区に分ける必要がありそうです。
返信する
コメントありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2014-03-03 20:52:29
むらかみさんへ

どういたしまして。最後まで読んでくださりありがとうございます。

そうですね。長野の冬は長い。雪が溶け、新しいハウスで育苗できること楽しみです。
返信する
コメントありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2014-03-03 20:58:39
たつきさんへ

増補改訂版の話は今のところないので、いろいろな雑誌にところどころご紹介させていただき、
新たな本や菜園教室で公開されると思います。

「現代農業」さんからのご依頼の文字数では足りず、
かなりオーバーしての投稿でした。

ブログで加筆できてよかったです。
あくまでこれは標準的なモデルの話で、後はその農地に合わせてカスタマイズする必要はあります。

緑肥作物は、特殊な植物ですので、その役割は短く、ある程度よい場になれば、必要なくなると思います。

本当に土を育てるのは、作物と草です。そして、土の生き物たちです。

その土の生き物、草、作物がどうしても育たない場合、特別に力を貸してもらうのが緑肥作物たちです。

無為自然。ただそれだけです。
返信する
質問です。 (高橋 康晴)
2014-03-04 12:14:01
タイムリーな内容で興味津々です。
本日現代農業ネットで注文しました。

質問は現代農業のステップ3とステップ5の工程での刈取り方法です。
ステップ3 9月~10月の緑肥
ステップ5 5月~6月の緑肥
両方とも株元からしっかりと刈り取ったほうが良いのでしょうか?

宜しくお願いします。
返信する
ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2014-03-04 16:18:43
高橋 康晴さんへ

お久しぶりです。

根元からしっかり刈るのは、次の緑肥作物の種を播いたあとや、緑肥作物の役割を終えてすき込む前です。

緑肥作物を根元から刈らず甘く刈るのは、再生してほしいときなどなので、次の緑肥作物の種を上から播くまでに花が咲いてしまったときや、通路に使う緑肥mixのように何回も草マルチの材料として利用するときです。

緑肥作物を早く土にすき込見たい場合は、ハンマーモアなどで細かく裁断してしまい、米ぬかを振ったのち、腐植させてから浅くすき込みます。

緑肥作物は工夫次第で大いに土を改善しれくれますが、中途半端に使うと、効果半減します。

利用目的と風土や機械に合わせて工夫してみてください。
返信する
ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2014-03-04 16:18:57
高橋 康晴さんへ

お久しぶりです。

根元からしっかり刈るのは、次の緑肥作物の種を播いたあとや、緑肥作物の役割を終えてすき込む前です。

緑肥作物を根元から刈らず甘く刈るのは、再生してほしいときなどなので、次の緑肥作物の種を上から播くまでに花が咲いてしまったときや、通路に使う緑肥mixのように何回も草マルチの材料として利用するときです。

緑肥作物を早く土にすき込見たい場合は、ハンマーモアなどで細かく裁断してしまい、米ぬかを振ったのち、腐植させてから浅くすき込みます。

緑肥作物は工夫次第で大いに土を改善しれくれますが、中途半端に使うと、効果半減します。

利用目的と風土や機械に合わせて工夫してみてください。
返信する
有難うございます。 (高橋 康晴)
2014-03-05 18:27:40
早速のご返答有難うございます。

春に住居と畑を引っ越す予定で、今度借りるであろう畑が田んぼ地で5年ほど大豆栽培していた所です。
竹内さんの記事が大変役に立ちそうで不耕起栽培ができる畑までは1年以上時間がかかりそうですが頑張ります。

ありがとうございます。
返信する
コメントありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2014-03-06 01:03:17
高橋 康晴さんへ

そうでしたか。引っ越しすると、せっかく育てた土は引っ越しできず残念ですが、新天地で新たに育てていくのも楽しいですね。

ダイズを育てた後はラッキーでしたね。
不耕起栽培は、2~3年目がとても大切ですので、頑張ってくださいね。

また何かございましたら、コメントからご質問ください。
返信する
【質問です】田畠転換に関する緑肥種の購入について (林 健太郎)
2014-03-16 19:42:55
この度、自身の田圃を畠へ転換することとなり、水はけのことを調べていたら、4月号の現代農業を手に取る運びとなり、竹内様の記事を拝見し、是非このやり方を実践してみたいと考えております。

その際、種を入手するに当たって、できるだけ安全なもの(遺伝子組み換えや農薬漬けでないもの)を探しておりますが、竹内様のお勧めのものはありますでしょうか。

大変お手数おかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
返信する

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