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【FRBのSVB預金者救済プログラムは事実上の量的緩和策】米中堅銀破綻は金融恐慌…ではなく超インフレの前触れだ②

2023-03-17 21:09:29 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のように、このほど破綻したアメリカの中堅銀シリコンバレー銀行(SVB)の預金については、連邦預金保険公社(FDIC)がすべての顧客に対してそこへのアクセスを可能としたほか、FRBはFDICの保険の対象外の預金を保護するために通常よりも条件がユルい融資プログラム(Bank Term Funding Program)を提供するとのこと・・・

 結論からすると、これFRBによる事実上の量的緩和QE)の再開というべき対応でしょう。というのも・・・このプログラムでFRBは、SVBがすべての預金の払い戻し請求に応じられるよう、価値が下がっていた同行の資産の価額を押し上げるため、あらたにおカネを刷って融通することになりますが、ではその資産は何かといえば、前回書いた事情から米国債・・・がその多くを占めていると推測されるからです。となればこの局面でFRBは、預金者保護を名目に、米国債を再び買い支えようとしている、と解されるべき・・・って、それはようするにQEですね、ということ・・・

 今回、FRBはどの程度コミットするのか、が市場の最大の関心事だったはず。もしFRBが現行の利上げ路線を維持する気ならば、SVBスケールの(中規模)破綻は同路線の想定内の出来事だから、その預金者保護などは預金保険などに任せて、自身は手を貸さない・・・というより手ならぬカネを出すべきではないでしょう。それは、同保険の対象外の預金を失った一部の顧客が、カネを返せ~!とSVBの店舗窓口に・・・武装して押しかけてくるようなアブない事態になっても、です。そのとき出ていくべきは治安部隊であって、FRBであってはならない。万一FRBが動くとしたら、それは「最後の貸し手」として、世界金融的に「大きすぎてつぶせない」(too big to fail)とされている米メガバンクが資金繰りに窮したケースのみ、といったところのはず。そこまで頑固にFRBが利上げスタンスを保つべき理由は、その苦痛等にかえても達成したい崇高な(?)目的があるからで、それこそ・・・インフレの解消。なのでマーケットは今回、そのあたりFRBがどこまで本気なのか―――おカネを吐き出さずにどこまで耐えられるか―――を注視していたのでしょう・・・

 ・・・がFRB、いとも簡単に屈してしまったね、というのが上記対応に関する大方の印象でしょう。インフレ撲滅は金融引き締めつまり利上げで行いますが、それは米国債の価格を政策的に下げることと同じこと。それなのにFRBは今回、真逆にも、こうして同価格を下支えする―――実質的に利下げを促す―――ような策を、それもSVB程度の小さな―――破綻させても金融システミックリスクの顕在化には至らないだろう(?)―――銀行に適用してしまいました。であればこのプログラム、規模の大小や財務内容の良し悪しなどによらず、公平を期すために、今後、すべての銀行&すべての預金に適用されなくてはなりません。ブルームバーグによると、FDICが上記の実質的な全預金保護を表明した際、SVBの破綻処理に関係するいかなる損失も納税者が負うことはない、と述べたそうですが、そりゃ~そうでしょうね、こうしてFRBがおカネをいくらでも出すといっているのだから・・・

 そうしたこともあって(?)アメリカの(長期)金利は同破綻前の年4%付近から急落し、現時点で3.5%前後となっています。そのあたり実際は、上記政策のアナウンス的な効果等で、預金を引き出そうという動きが収まったことなどで、同プログラムの申請は増えたりはしていないのでしょう(?)。ですが、FRBがこうして出動(マネー増発)を表明してしまった以上、もはや米国債価格はこれ以下にはなかなか下がらない(下げられない)―――(長期)金利はこれ以上にはなかなか上がらない(上げられない)―――こととなったと思われます。となれば当然、利上げも早晩断念されるしかないでしょう、上記政策の方向性と真っ向矛盾しますからね・・・

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