なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血小板減少

2017年09月13日 | Weblog

 日曜日の日直の時に、72歳男性が前日からの右下腹部痛で救急外来を受診した。心窩部からというより、最初から右下腹部だったようだ。嘔気はないそうで、朝食を食べてから受診している。

 指の先1点ではなく、指1本分の圧痛だった。percussion tendernessがある。20歳代に右のヘルニア手術をしているそうだ。虫垂切除ではないのかと確認したが、「脱腸」という。

 虫垂炎か上行結腸憩室炎だが、所見からは憩室炎寄りだった。白血球増加・CRPがあり、腹部造影CT検査を行うと、上行結腸に沿って頭側に上がっている虫垂を認めた。糞石があり、壁肥厚・周囲脂肪織と上行結腸壁に炎症像がある。急性虫垂炎だった。外科の日直医(大学病院からのバイト)にまず診てもらって、外科の当番医に連絡がいった。その日のうちに緊急手術となった。

 普通の虫垂炎の経過だが、この患者さんにはひとる問題があった。血小板数4.3万と低下している。ふだん特に病気で通院していないのと、当院は初診なので比較するデータがない。白血球数増加は虫垂炎のためで、白血球分画には血液疾患らしい異常はなく、貧血もない。凝固検査に異常はなく、今回の虫垂炎でDICになっているとは思えなかった。特発性(自己免疫性)血小板減少性紫斑病だろうか。

 血小板3万以上で出血症状はないが、外科では血小板輸血(10単位を2日)を行っていた。その後は血小板数10万で推移している。外科でPAIgGと血小板抗体を提出していたが、ピロリ菌検査もしてもらおう。

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