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昨日記160130土(西天満 2kWギャラリー「幻想の質量」)追

2016年02月01日 18時28分32秒 | 日記(昨日記・今の思い考え・行動・情況)
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30日は午後から西天満に行った。
夕方からは、大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビルの3軒のギャラリー+1軒が集まって行うパーティーがあるので、それに参加する予定で、地下鉄を利用して出かけた。
地下鉄北浜で降りて、白 天野画廊 Oギャラリーと回ってから、若狭ビルまで歩いた。
しかし時間があるので、近くの2kwギャラリーに寄ってからサードギャラリーに戻ることにした。

さて、2kwギャラリーに入ると、ギャラリートークの雰囲気が。
入ったとたん、主な話は終わったので、これから質問の時間としますとオーナーの金子さんは言った。
当然だろう、ギャラリートークは4時から始まっていたのだ。
今回の展覧会は、「幻想の質量」というテーマで、 松井沙都子、森村誠、山本雄教の3人展だった。
森村氏はよく知っているので、2kwギャラリーには、行く予定にしていたが、ギャラリートークがあるのは見落としていた。
確かにネット情報でも載っていた。
そんなわけで、途中から入ったので、大急ぎで展覧会のテキストを見つつ、金子氏の補足説明を聞き、各作家が質問に答えるのを聞きながら、作品を眺めつつ問題点を探しながら、遅れてきて作家の説明も聴いてないのに、ぬけぬけと質問を始めた。(目立ちたがりで質問しているわけではありません。話を聞いていてその内容に触発され、自然に疑問が浮かぶのです。)
無論的はずれな質問はするつもりはなく、作品を観ながらテキストも読みつつ、その条件で私がわかる範囲の素朴な疑問を投げかけた。
展覧会の解説テキストは、金子氏の作成で、そこには吉本隆明の「共同幻想論」についても触れられていた。
実は、10年ぐらい前までは共同幻想論すら知らなかった。
ところが考古学関係の有力な学者が、本の中で前方後円墳の思想に関して共同幻想論を引用し前方後円墳成立の思想的背景・精神構造や社会の共同体の意識について考古学データに基づいて論証しようとしていた。
その教授の説は、考古学講座でも直接話を聞いていたのでほんを読んでも馴染みがありすぐに理解できた。
念のため、その論文の考えを正確に理解するために改めて「共同幻想論」について調べた。
それ以前にも概要は知っていたが、改めて「共同幻想論」を認識し、衝撃を受け、構造的にいろんな局面で共同幻想の考え方が敷衍できることに気付いた。
最近、現代美術にもそれがかなり当てはまる構造が存在することに気付いた。

以前ここでも繰り返し述べたように、すべての芸術(音楽・美術・・・)は表現であることは誰しも認めるところである。
その根底には価値観による体系があることは疑いない。
即ち、その価値観は、具体的に言うと、現代美術だけでも無数の方向性(ベクトル)があり、将来にわたり新しい価値観が生み出されるだろう。
例えばメディアアート系列は、技術の発展に伴いどのように展開するかわからない。
もっと具体的に言うなら山水画・ポップアート・ミニマル・コンセプチャル・アボリジニの絵すべて価値観が違う。

さらに、その価値観の表現方法にあった独自の表現手法を創造している。
その体系は、現代の物であれ、伝統的なものであれ、時間空間に関係なく構造的には共通している。
即ち、それぞれの分野での独自の価値観(理想の表現=評価基準)があり、その価値観に基づいて表現方法を創造し、日本画なら岩絵具を使い筆も洋画とは違うし、ロックミュージックなら電子楽器を多用するし、文楽は当時の最新の技法でというように、それぞれの価値観に基づく表現手法にあった表現のための道具や材料や環境を整備して一つの表現体を形成している。
現代美術のインスタレーションは、その場を使って表現しているし、ポップミュージックやロックも舞台すべてや、時に観客を巻き込んでの表現でもある。
それぞれの価値観で、更に詳細な評価基準<価値観>があり、優劣が存在し(うまい、へた、更にヘタウマやへうげもの)ヒエラルキーが成立している。

芸術的価値観という存在は、通貨が共同幻想かもしれないように共同幻想と見えなくもない。
(その意味では、人間社会の活動や権威や価値そのものが、共同幻想といえなくもないが、同時に現実の存在しているものでもある。)
文化や風土や社会組織の構成や風習や価値観は、各地域や民族や時代によりそれぞれ異なり、構成員の暗黙の了解による価値観の共有によって成り立っていて、時間的なものや環境の変化や外部要因により価値観も変化し続けている。
そうした構造を考えることは民族学・文化人類学のベースであるが、その中の文化構造については芸術の構造に重なるところがあると思っている。(そもそも芸術は、文化の中に含まれるものなので、自明の事かもしれない。)
だからこそ民族学の資料と現代芸術とのイメージ上の交差という、価値観の現代的視点、価値観の転換により、共通の美的認識としてとらえなおす(再評価)ことができるのかもしれない。(民芸運動や、民族学資料を現代美術と比較し同様のイメージを見つける。)
それは、シュールレアリズムの価値交換・変換・錯綜とは、異なる。

テキストに関連しての話が長くなったが、そういう意味でも今回のギャラリートークは面白かったし、そうしたことを論じる素材を提供してくれた3人の作品も、注目される。

山本氏の1円玉の作品は物質か一円か、デザイン的美的対象かといった様々な多義的解釈のできる作品ゆえの面白さがある。
本人の話によると、各々の1円玉の経時変化の違いも、価値の要素に入っているという。
松井氏の作品は、ミニマル的であるが、あえて生活色を出すため木目を使い、日常の風景に近いものを形成しているという。
しかし日常の照明とテーブルの関係を拒絶するために、使いやすさ即ちテーブルの高さ等も使いにくくしているといい、それ以外にも日常のインテリアではない表現にこだわっている。
森村氏の作品は、すでに注目されているが、辞書や地図その他印刷物から特定文字を消去したり切り抜いたりするもので、非常に手間のかかる作品である。
本人の話によると、パンチといった機械的な切り抜きは味がなく面白みに欠けるので採用しないという。
彼の作品も価値変換の面白さといえるのだろうが、その中に古典的美的なものへのこだわりがあるというのも面白い。
この古典的美というのは、多分古田織部の「へうげもの」の美とも関連する構造かもしれない。

今回の3人展は、様々な意味で注目してよい展覧会であろう。

ギャラリートークのあと、パーティーとなったので、そのまま居残り作家たちと話をした。
パーティーの席でスリーコノハナのオーナーの山中氏ともお話しすることができた。
実は、YODギャラリーで、以前何度も話したことがあった。

パーティー終了後2次会があったが、私は経済的にそんな身分ではないので、参加したかったが失礼してまっすぐ家に帰った。
しかし、今までもほとんど2次会は断るが、余裕があるときは2次会に参加しているので、今後も余裕ができれば二次会も行くようにしたいと思っている。


参考
昨日記160130土(西天満 2kWギャラリー「幻想の質量」)
http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/25c093eef46da3e8cdc5dfa8451e0b14
昨日記160126火(図書館 哲学 アメリカ余談 美術メモ )  http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/6c5cf64f613724ea36a54e98f4227cdb

昨日記160123土(HAPS現代アート塾 第6回)
  http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/930c8752723042a497f000fda02ed9ce
現代美術美術メモ20131020(20131115作成)
昨日記151226土(CAS金沢健一展   私的芸術論)(追)( http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/f98e6af9317ca9589a1fb0787c26b8fc )
昨日記150308日(もの派と<幻触> パラソフィア ギャラリー廻り 堀尾貞治展夜話)( http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/1ed3459a6b225f456fedf48afccfe211 )
昨日記141227土(ギャラリーZone純粋/不純美術  現代美術の構造 ジム 筋トレ)(追)( http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/87d1c5e64ee63624d298f3a1354e8292 )
昨日記131117日(三条界隈の画廊回り JARFO現代美術講座)http://blog.goo.ne.jp/sksoo/e/ed7765efed9ee8bc64bdc738f80e3afd
昨日記130114月( 2kwギャラリートーク 創作手法の問題 ギャラリー経営)


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