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昨日記130114月( 2kwギャラリートーク 創作手法の問題 ギャラリー経営)

2013年01月15日 12時13分07秒 | 日記(昨日記・今の思い考え・行動・情況)
昨日は、2kwギャラリーの4人展(奥田文子 しまだそう 中道由貴子 奈良田晃治)「とある未来のある日」のギャラリートークを聴くために、夕方から出かけた。
会場は、超満員だった。

司会の中島麦氏が、若い作家4人の経済活動としての別の仕事を含む作家生活との関係や、様々な本音を聞きだしていた。
普段聞けない、作家生活の実態や悩みが明らかにされて、非常に興味深いものだった。
更に、作家としての創作活動にかかわる原点の、作品を生み出す創作の動機や取材・材料集めとか、モチベーションの維持方法とかも語られ、その資料の現物も見ることが出来た。

今回は4人とも写真や印刷物や書き溜めたスケッチを元に、作品を制作している。
このことに関し、現地に行かずに描くことは、描くべき生の感動が得られないのではないかといった意見もあるが、全く問題ないだろう。
彼らの作品は、自分の頭の中で抽象化し、物語や美を再構築したり、画面上の世界を構築していて、そこに彼らなりの美術としてのメッセージがこめられている。

具象美術における、過去に写実の世界(自然主義や印象派等の世界)ではそのようなことが問題になったこともある。
今も多くの自然主義や印象派の流れを汲む具象作家にはそうした意識が強く存在すると思われるが、この問題は美術上のパラダイムの問題であって、現実に存在する美術の多くは、具象ですら現実の風景に頼らず、想像で構成もののほうが多いように見える。

もっと大きい目で見れば、このような写真や印刷物や他の絵画や画像や物語からインスピレーションやヒントを得て制作することは、古今東西美術ではジャンルを問わず通常行われていることである。
例えば、写真や印刷物を使うコラージュ等はその典型であり、具象をベースにした多くの抽象絵画や新表現主義絵画もそうであり、現代絵画でも多くの作品はそうであるし、過去の洋画(ルネサンス以前を含む古典派やロマン派)のみならず、日本画や山水画や南画やイラストや漫画その他ジャンルを含む絵画類は、神話や物語やニュースを元に想像して画面を構成し制作するのが普通であったであろう。
絵画作成のトレーニングとしての、スケッチや写生と、作品とは切り離して考えることが必要だろう。

今回のギャラリートークには、多くの問題点が含まれていた。
その一つに、ギャラリー運営者で自分自身も作家活動をするK氏の発言があり、ギャラリー経営の難しさと、ギャラリー運営に参画する若い作家達に期待する熱い思いが伝わってきた。
この問題は、関西の多くの現代系画廊に、共通する問題であろう。

ギャラリーを安定的に運営するには、経営学的視点から、逃げずにまず現状を正確に把握分析し、一つ一つの問題を解決することが必要だろうと思う。
その出発点としては、ギャラリーが存立する基盤として経済問題=経営問題抜きには語れない。
ギャラリーを、経済活動として成り立たせるためにどうすればよいかというとき、経営的観点からは、ギャラリーの顧客対策抜きにはありえない。
(対策してもマーケットの規模が小さくて、ギャラリーが存続できない可能性がある。)

良くも悪くも我々は、市場経済の中で生きている。
その中で、ギャラリーが経済的に自立しようとすれば、マーケットの創造をすることが必要だろう。
現状を表面的に見る限り、関西の現代美術に関するマーケットは、現時点ではほとんどないように見える。
関西の市民が、現代美術にほとんどい興味を持っていないように見えるからだ。

しかし矛盾するようだが、市民が現代美術に全く興味が無いかと言うと、そんなことはないとも言える。
例えば、以前に行われた草間彌生展の人気振りを見てもわかる。(その前提として、メジャーマスコミによる宣伝があることは、考慮すべきだが。)
一般市民の潜在的現代美術ファンは、少数だがある程度存在するように見える。

ギャラリーで仲間内同士、慰めあい励ましあい刺激しあっていい作品を作ることは、非常に必要であるが、そのことでは経済的にはなんら変化は起こさない。
ギャラリー内の、美術関係者だけの閉鎖空間でなく、どれだけ多くの外部の一般市民を巻き込みギャラリーのファンにするか、その努力の結果がギャラリーの安定度になって現れ、ギャラリーの存続につながるのではないかと思う。

その方策を具体的に出来ることから一つずつ考え、大胆に実行すべきであろうと思う。
具体的には、現代美術に無関心であった市民に、現代美術の面白さを分かってもらうことが必要だろう。
そのようなことは、例えば、過去に成功した美術館や現在注目されている美術館の運営の考え方も、一つのヒントになるかもしれない。(いかに一般市民に興味や関心を持ってもらうかという観点からの工夫)
(金沢21世紀美術館 水戸芸術館・・・)

全く別の観点からみると、ギャラリーをNPO化して、作家や美術愛好家が集まって運営し、市場や収益を気にすることなく、画廊運営経費を負担し合いギャラリーを存続させている例もあり、こうした手法は一般市民の関心の低い分野では有効かもしれない。




参考
散歩者gooのトップページへ、 http://blog.goo.ne.jp/sksoo
参考ブログ集 散歩者gooより
(参考ブログは、数週間に1度追加削除しています。数か月以前のものは分野別<芸術 健康 エッセイ 歴史宗教思想 情報機関> に分類しています。)
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